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クロ現「やらせ」 BPOが強調した「居酒屋での打ち上げ」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20151107-00051218/
2015年11月7日 11時4分配信 水島宏明 | 法政大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター
11月6日にBPOの放送倫理検証委員会が公表したNHK「クローズアップ現代」”出家詐欺”をめぐる「やらせ問題」。
BPOが公表した「意見」という名前の報告書は28Pにわたる長いもので、一般の読者は読んでもわかりにくい代物だ。
ただ、いわゆる「やらせ」かどうかが一般の人にもわかりやすい重要なポイントを解説しておきたい。
BPOの報告書では、
これまでNHK内部の検証ではほとんど強調されてなかった”事実”が指摘されている。
それは、取材をしたNHK記者と、「ブローカー」として番組に登場したA氏や「多重債務者」として登場したB氏が、撮影後に
「一緒に飲みに行き、B氏の知人女性も参加していた」という事実だ。
BPOが公表した「意見」(調査報告書といえるもの)には以下の記述がある。
(4)撮影終了後の、居酒屋での打ち上げ
撮影が終了した後、記者は、ディレクターら撮影スタッフには帰っていいと言い、
自らはA氏及びB氏を連れて、居酒屋で、取材協力へのお礼を兼ねた打ち上げを行っ
た。打ち上げの席には、後からB氏の知人の女性が合流した。
出典:BPO放送倫理検証委員会によるNHK「クロ現」”出家詐欺”報道に関する「意見」
http://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/kensyo/determination/2015/23/dec/0.pdf
これほど、B氏の知人の女性が合流したことも含めて、これほどNHK記者とA氏、B氏との「関係」を物語るエピソードはない。
彼らは一般的な言い方をすれば「つるんでいた」と言える一種の”共犯”関係だったのだ。
B氏が女性を連れてくるほど、NHK記者とは気心知れた関係だった、ということだ。
「多重債務者」のB氏と記者は長年の付き合いがあった。
しかし番組では、「多重債務者」B氏は「ブローカー」のA氏に金についての相談をした後で事務所から出てきた直後に追いかけてきた記者の直撃インタビューを受けたような場面になっていて、これが「やらせ」場面ではないのかという疑念が指摘されていた。
ここの場面について、BPOが公表した「意見」を読んでみると、
(3)B氏の追跡インタビューの撮影状況
その後、共用スぺースで待機していたB氏が相談場所から帰る背後から、記者が走
って追いかけて呼び止め、事務所内で直接聞いた相談内容に基づき、犯罪につながる
話だという認識はお持ちですか、とただす場面が撮影された。
これに対してB氏は、生きて行くためには仕方ないなどと答えた。
この場面の撮影についてB氏は、記者より、この後に行く打ち上げのための店を探
してくださいと言われ、スタスタ歩いていたところ、突然背後から記者とカメラマン
が追いかけてきてマイクを向けられ、驚いたが、アドリブで対応したと述べている。
また、B氏は、記者からの突然の質問の趣旨について、出家により多重債務者が新
たに金銭の借り入れができるようになるのは問題であり犯罪にも近いと指摘して、広
く番組の視聴者に対して警鐘を鳴らすことが目的であると理解し、その趣旨に添うよ
うにアドリブで答えたと述べている。
出典:BPO放送倫理検証委員会によるNHK「クロ現」”出家詐欺”報道に関する「意見」
http://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/kensyo/determination/2015/23/dec/0.pdf
記者ときちんと打ち合わせがなかったとしても、
B氏は記者の撮影意図を瞬時に理解し、生活に困窮して切羽詰まって”出家詐欺”の拠点に相談にきた人間を「演じていた」のだ。
これを「やらせ」と呼ばないなら、なんと呼ぶのだろう?
そう考えるのが、一般の視聴者の素朴な感覚に違いない。
今回、BPOが指摘したのはそういうことである。
この疑惑の調査が、もしもNHKが行う調査報道のドキュメンタリーの取材だったとしたら、と考えてみよう。
ドキュメンタリーの取材で取材者がこの事実をつかんでいたら、番組制作にあたってその場面をわざわざ作品から落としたり、見逃したりするわけはない重要な場面のはずだ。出席者は誰でどんな会話がなされたのか、でNHK記者とのA氏、B氏との関係が明らかにできる重要な場面のはずだ。
それにもかかわらず、NHKの内部調査の報告書ではわずかにふれてはいるものの事実をくわしく説明していない。
また、NHKの内部調査ではBPOが深く考察した「打ち上げ」の意味についても考察していない。
BPOが指摘した「居酒屋での打ち上げ」について、NHK内部の調査報告書ではなぜくわしく書かなかったのだろうか?
重要な出来事だとは見なさなかったということか?
調査報道では一流の人たちが並ぶNHK。
「居酒屋での打ち上げ」を強調しなかったのは、あえて過小評価した、としか思えないのである。
上層部からの意向が働いた、という理由以外には思い当たらない。
今回、BPOが指摘した問題は「NHKがなぜずさんな調査報告書を出したのか」という疑念に行きつく。
BPOの「意見」が後半で指摘した、政治や行政の介入の影が垣間見える。
それを徹底検証しない限り、NHKの再生はない。
水島宏明
法政大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター
1957年生まれ。東大卒。札幌テレビで生活保護の矛盾を突くドキュメンタリー『母さんが死んだ』や准看護婦制度の問題点を問う『天使の矛盾』を制作。ロンドン、ベルリン特派員を歴任。日本テレビで「NNNドキュメント」ディレクターと「ズームイン!」解説キャスターを兼務。『ネットカフェ難民』の名づけ親として貧困問題や環境・原子力のドキュメンタリーを制作。芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。2012年から法政大学社会学部教授。近著に「内側から見たテレビーやらせ・捏造・情報操作の構造ー」(朝日新書)
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