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NHK放送センター(原田史郎撮影)(写真:産経新聞)
NHK「クロ現」重大な放送倫理違反 BPO「やらせ概念は視聴者と距離がある」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151106-00000536-san-ent
産経新聞 11月6日(金)15時12分配信
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会(委員長=川端和治弁護士)は6日、記者の指示によるやらせが指摘されたNHKの報道番組「クローズアップ現代」などについて、「事実と著しく乖離した情報を数多く伝えた」として、「重大な放送倫理違反があった」とする意見をまとめた。
委員会は、NHKが「事実の捏造につながる『やらせ』」を認めなかったことを踏まえ、「NHKの『やらせ』の概念は視聴者の感覚と距離がある。深刻な問題を矮小化することになっていないか、と疑問を持たざるを得ない」と批判した。
意見書では、実際には知人同士だった「多重債務者」と「ブローカー」の相談場面を隠し撮り風に放送したことについて、「事実を歪曲したもの」と指摘。記者が親しくしていた取材相手の情報に依存したことや、撮影スタッフ間での意思疎通が不十分だったことも非難した。
問題となったのは、昨年5月に放送された「追跡“出家詐欺”〜狙われる宗教法人〜」。同じ内容を扱った同年4月の関西ローカル「かんさい熱視線」も対象となった。多重債務者が、ブローカーに相談し、出家して名前を変えることで融資などをだまし取る手口を紹介した。
詐欺に関わるブローカーとして番組に登場した大阪府内の男性が今年、「自分はブローカーではない」「映像から自分を特定できてしまう」などと訴え、NHKが調査を開始。NHKの調査委員会は4月、放送内容に一部誤りがあり、「過剰演出」「誤解を与える編集」を認めた調査報告書をまとめたが、事実の捏造につながるやらせは認定しなかった。
番組をめぐっては、BPOの放送倫理検証委に加え、放送人権委員会(委員長=坂井真弁護士)も男性からの申し立てを受けて人権侵害の有無を議論している。
■BPO意見書の骨子
一、2番組は重大な放送倫理違反があった。
一、隠し撮り風の撮影は事実を歪曲するものだった。
一、記者は取材者としての自立性を失っていた。
一、スタッフ間で健全なチェック機能が働かなかった。
一、NHKの調査報告書は放送倫理の観点からの検証が不十分だった。
一、NHKの「やらせ」の概念は視聴者の一般的な感覚とは距離がある。
一、総務相による文書での厳重注意は放送法が保障する「自律」を侵害する行為。
一、自民党によるNHK幹部への聴取は政権党による圧力そのもので厳しく非難されるべきだ。
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