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「週刊ポスト」(小学館)2015年10月30日号
「春画」はわいせつではない! ろくでなし子、鹿島茂から、小林節までが「春画」取締まりの動きに異議!
http://lite-ra.com/2015/10/post-1614.html
2015.10.23. リテラ
当サイトでも継続的に報じているが、永青文庫で行われている日本初の春画展に端を発し巻き起こった春画ブームに激震が走っている。10月8日には、「週刊文春」(文藝春秋)の編集長が「編集上の配慮を欠いた点があり、読者の皆様の信頼を裏切ることになった」として休養処分を受けたことが報じられ、さらに、19日には、「週刊ポスト」(小学館)、「週刊現代」(講談社)、「週刊大衆」(双葉社)、「週刊アサヒ芸能」(徳間書店)の4誌がわいせつ図画頒布罪にからみ警視庁から注意を受けていた事実も明るみとなった。
春画展は入場規制も行われるほど人気を博し、そのなかには女性の来場者も多数含まれている。イギリス・フランス・イタリア・ベルギーなど、これまでも春画の展覧会を行ってきたヨーロッパ諸国から遅れながらも、ようやく日本でも春画が「ポルノグラフィー」扱いから「芸術」として認められようとしている最中に起きた規制の波。早くから春画を誌面に取り上げ、今回の騒動の渦中にもいる「週刊ポスト」は、2015年10月30日号にて「春画は「わいせつ物」か 世界に誇るべき「日本の文化」か」という特集を展開。学者やアーティストなど、識者からの声を紹介し、春画が再び「わいせつ物」扱いされた今回の騒動に一石を投じている。
まず、フランス文学者の鹿島茂氏は「「作家性」の有無」という観点から春画は、わいせつ物ではないと主張する。
〈芸術とわいせつの線引きは難しいが、要するに作家表現が入ってるかどうかではないか。過去のものに関しては単なるわいせつ物だったら時代の波に洗われて、消えてしまっているはずです。春画が残ったということは、そこにやはり作家表現が確固としてあって、それがわいせつかどうかを超えて我々の目に届くのだと思います〉
雑誌に掲載されたり、春画展で展示されている春画のなかには、葛飾北斎や喜多川歌麿など、世界的にも評価されている浮世絵師の筆による作品が多数含まれている。もちろん、春画にも彼らの卓越した技術がふんだんに投入されており、美術史の観点からもそれらは大変貴重なものだ。そのことを忘れてはならない。
また、自分の女性器の3Dデータを配布したとして逮捕されたことでも話題となった、アーティストのろくでなし子氏は、「笑絵」と呼ばれることもある「春画」の本質を突き、今回の件に異議を申し立てる。
〈わいせつの意味は「いたずらに人の性欲を刺激し興奮せしめるもの」です。が、春画は、実際に永青文庫の春画展などをご覧になればわかる通り、その表現はおおらかで、滑稽で、人間の自虐的な笑いに溢れています。
そして女性自身も性をおおらかに楽しんでいる様子が伝わってきます。
性という逃れられない人間の欲望を客観的に笑う装置にした点でも、現代アート的です〉
春画のなかには、仙人の秘薬を飲んで一寸法師のような大きさになった「真似ゑもん」なる男が、日本全国を旅して、そこで起きている情事を覗きながら感想を述べる「風流 艶色真似ゑもん」なるコミカルな作品もある。また、頭部に男性器があり、股間に顔面があるモンスターのようなキャラが登場する春画もあり、当時は老若男女で集まりそれらの絵を見ながら笑い転げていたという。春画は後ろめたく、薄暗い、わいせつな用途でのみ用いられたものではない。
そして、永青文庫での春画展の委員を務めている美術史家の山下裕二氏は、展覧会の開催をめぐって関係各所と交渉した経験を交えながら今回の件への疑問を投げかける。
〈私は永青文庫の春画展の委員を務めています。春画展を実施するにあたっては、事前に警察とも話し合いをしています。結果、大人気となって、今では入場制限をすることもあります。
美術展は「18歳未満お断り」にしていますが、週刊誌は誰でも見ることができる。それが問題視されたとしても、春画は「芸術新潮」などの美術誌でもすでに何度も掲載されている。それがなぜ、週刊誌に掲載してはならないのか〉
この夏は、山下氏があげた「芸術新潮」(新潮社)のほかに、「美術手帖」(美術出版社)も、春画を大々的に特集してきた。もちろん、今回騒動の発端となった週刊誌と変わらず、性器にモザイク修正などは一切加えていない状態での掲載である。なにをもって「芸術」と「わいせつ」を分けるのか。その基準は明確ではない。だからこそ、取り締まる側はきちんとした基準を設けなければ人々は納得しないだろう。同じ「18禁」指定ではない雑誌でも、週刊誌はダメで、美術専門誌ならOK。こんな曖昧模糊とした線引きで権力が振りかざされるのであれば、いずれもっと恣意的な運用で取り締まりが行われるのではないか?という疑念を抱かざるを得ない。
さて、ここまでは美術系分野の識者からのコメントを紹介してきたが、法律家の観点では、今回の件はどう見えるのであろうか? 最後に、憲法学者・小林節氏の言葉を紹介したい。
〈春画が法的にわいせつに該当するか否か。日本のわいせつに関する法律は極めて曖昧ですが、わいせつか否かの判断については、いくつかの考慮要件があります。
例えば「ストーリー性」。ストーリー全体の中で必然性があれば、エロ表現は認められるというもの。ずっとエロだと必然性がないと考えられます。また、「芸術性」があれば、わいせつではないと判断されることもあります。ただ、芸術性をどう判断するか。作者が「私は芸術家だ」といえば、その作品は芸術作品になるのか、その人が芸術家か否かを誰がどう判断するのか。さらに「細密性」の問題もあります。露骨に性器を表現するとわいせつになるが、そうでなければ問題にならないというものです。
では、春画はわいせつか否か。春画の特徴として、性器を大きく描いている。この点は露骨であり、エロを強調していると考えることもできます。
一方、デフォルメしていることでリアリティがなくなっている。また、春画は絵ですから、細密性もない。さらに今では額に入れて展示もされているので、芸術作品といって構わないでしょう。
何より今では、春画はあちこちで見ることができる。出版物も多数ある。ということは、社会通念上、春画は違法扱いされていない。よって、春画はすでにわいせつではない。そのように考えて問題はありません〉
今回、永青文庫で春画展が開かれる前にも、春画をテーマにした展示会が企画されては、美術館側が苦情を恐れたり、イメージを気にして自主規制したりで企画倒れになるといったことが繰り返されてきた。ここにきてようやく「春画」に光が当たった。また、今回の春画展を機に春画以外の浮世絵にも興味をもった若い人も多くいることだろう。春画のみならず、江戸時代の華やかな美術作品全体にもスポットライトが当たった今回の春画ブーム。そんな意義ある流れが今回の騒動で潰されてしまうのだとしたら、本当に残念なことである。
(田中 教)
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