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ライセンスなく「TED」講演会のパロディ版を放送 フジ「27時間」の無断使用、問題化する可能性
http://www.j-cast.com/2015/07/29241471.html?p=all
カナダで毎年行われる「TED」講演会は、世界的な著名人らがプレゼンしていることで知られる。フジテレビの「27時間テレビ」では、そのライセンスなしに、講演会のパロディ版を放送したとして、ネット上で物議を醸している。フジテレビでは、事実関係を確認中だとしている。
アマゾン創始者のジェフ・ベゾス、U2のボーカルのボノ、元米国大統領のクリントン...。TEDの講演会には、そうそうたる顔ぶれがこれまでに登壇し、大きな話題を集めてきた。
■「フジテレビのコンプライアンスはどうなっとる?」
2015年7月26日の27時間テレビでは、そのTEDをフジテレビでも開催するとして、「超人気お笑い芸人 本気のプレゼン大会」と題して生放送した。ただ、番組では、本気のTEDとは違い、こちらのテーマは「テレビが えらいことなってるけど どーすんの?」だとした。つまり、その頭文字を取ってパロディ版のTEDということだ。
プレゼンには、ナインティナインの岡村隆史さん(45)ら芸人が次々に登壇し、「テレビの危機」についてそれぞれの持論をぶった。岡村さんは、「ある意味、お笑いというのは一番マジメな職業だ」として、お茶の教室の先生がおちゃらけを嫌ってロケが中止になったことに怒りをぶつけるなどした。しかし、落ちは、交通費が自己負担になったことへの不満といったように、芸人のプレゼンは、講演会というよりはお笑いそのものに近かった。
とはいえ、番組でTEDと称してプレゼンをすることについて、放送前後から、「フジテレビのコンプライアンスはどうなっとる?」などとネット上で次々に疑問の声が上がった。
日本でも、ライセンスを受けた「TEDx」のコミュニティが、東京では「TEDxTokyo」といったように、そのイベントを開いている。TEDのホームページを見ると、ブランドガイドラインとして、イベントにはライセンスが必要で、ロゴも勝手に使ってはいけないとしている。
■フジ「先方から連絡をいただいております」
ところが、27時間テレビは、「TEDx」のイベントとしての登録がないにもかかわらず、「TEDx27hTV」と称し、同じようなロゴも使っていた。
これに対し、TEDxSapporoオーガナイザーの鈴木卓真さんは、27日のフェイスブックで、次のような見方を示した。
「今回、TV局のような著作権やコンプライアンスを重視しなくてはいけない企業からこのような形で、『TED』を模した番組が行われたことは大変残念です。今回のことはすでにTED本国には報告されていますので、今後の動きを静観したいと思います」
ライセンスが必要なことについては、「ブランドを守る使命」があるからだと説明している。また、「ライセンスを取っても、現状のルールではそれをテレビで放送することはできません」ともしている。
弁理士の栗原潔氏がヤフー・ニュースに投稿した記事(下記参照)によると、栗原氏が商標登録について調べたところ、TEDは日本国内で商標を取得していなかった。しかし、栗原氏は、「商慣習として、商標が登録されていないからといって他人の業務に関するマークや名称を勝手に使ってよいとは限りません」と指摘している。
フジテレビの広報部では、取材に対し、TED側から何か言ってきたかについて、「先方から連絡をいただいております」と認めた。しかし、対応などについては、「現在、事実関係を確認している最中ですので、詳細については回答を控えさせていただきます」とコメントした。
[J-CASTニュース 2015/7/29]
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上記記事に掲載されていたYahoo!ニュースの記事はこちら。
フジテレビがパロディネタにしたTEDの商標登録について
栗原潔 | 弁理士 ITコンサルタント 金沢工業大学客員教授
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20150729-00047961/
「フジテレビが27時間テレビで開催したTED、公式ライセンスを取得していなかったとの指摘が相次ぐ」というtogetterのエントリーを読みました。
一応説明しておくと、TEDとは世界中の識者やユニークな体験を持つ人々の講演会を提供する非営利団体です。コンテンツのおもしろさに加えてプレゼンスタイルの良い勉強になるので私もよく見ています。
これのパロディネタをフジテレビの27時間テレビでやったそうなのですが(私は未見)、これがTEDのライセンスを受けていないのではないか疑惑が持ち上がっているということのようです。現段階では事実関係がはっきりしない(ちゃんと裏では話を通してやっているのかもしれません)のでこの件にはコメントしませんが、TEDはイベントのライセンスには厳しいというのは確かそうなので、ちょっと調べてみました。
TEDのサイトのBranding Guidelineを見ると確かに厳しそうです。コンテンツ自身はCCで提供しているのですが、ブランドはしっかりと守ろうという戦略が見えます。これ自体は真っ当な戦略です。
では、当然ながら、TED運営元(TED Conference LLC)は、日本でTEDの商標を登録しているのだろうなと思って調べてみると何と登録がありません。
世界的にはどうかということでWIPOのデータベースROMARINをサーチすると、2011年に米国の登録をベースに国際登録がされており、オーストラリア、中国、韓国が指定国とされていました(韓国では先願があったので拒絶、また米国本国基礎登録の消滅により国際登録一部取消)。いずれにせよ日本は蚊帳の外だったようです。
もちろん、商慣習としてというか業界の礼儀として、商標が登録されていないからといって他人の業務に関するマークや名称を勝手に使ってよいとは限りません。また、商標が登録されてなくてもライセンスをお願いすることは可能です(契約するかしないかは当事者の合意次第です)。しかし、商標が登録されていないと万一勝手に使われた場合の対抗措置が限定的になるのは確かです。なので、ライセンス商売をやる以上は関連する商標は登録しておくのは当然と言えます。
では、TEDがこれから日本で商標登録することはできるのでしょうか?調べると2013年に東和薬品がTEDの文字から成る商標を「セミナーの企画・運営又は開催」が含まれる範囲で登録してました。ということで、本家TEDがもたもたしている間に日本でTED商標をセミナー運営関連で登録することはきわめて困難になってしまいました(東和薬品から商標権のライセンス、あるいは、一部譲渡を受けるという手もないわけではないですが)。さらに言えば、東和薬品がTEDの名称を使ってセミナービジネスをやっても、本家TEDがそれを差し止めることは(不正競争に該当するような態様でない限り)困難です。
2011年の段階で(あるいはそのちょっと後に)日本に出願しておこうとは思わなかったのでしょうか。TEDは非営利団体とは言え、商標登録出願の費用はせいぜい10万円くらいなんですが。
[Yahoo!ニュース 2015/7/29]
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