http://www.asyura2.com/13/hihyo14/msg/599.html
Tweet |
1975年4月。
水前寺清子の舞台公演の最終日に、脇役の女優があらわれなかった。女優とは『連想ゲーム』などでもお馴染みであった家庭的なキャラの菊容子であった。
チーターの舞台をすっぽかしたのには理由があった。寝坊ではない。タクシーが事故ったわけでもない。容子は死んでいたのである。殺したのは交際のあった無名俳優の藤沢陽二郎であり、薄れつつある二人の関係への悲嘆に嫉妬のからんだ無理心中沙汰であった。男のほうは翌日自動車事故を起こして怪我をするにとどまった。
TBSで先月放送された爆報!THEフライデーでこの事件がとりあげられた。どういうわけか二人の名前は伏せてあり、事実も大幅に捏造されて番組がつくられている。
二人が格差を乗り越えてつきあいだしたこと、そしてそのことが容子の父親の反対にあったこと、そのうち売れっ子の容子につきまといだして男関係の詮索をはじめる仕事のあまりない藤沢、そこまではいいだろう。
切羽詰まった藤沢がとうとう容子のアパートを訪れた4月末の深夜。容子は早朝3時に父親にそのことを報告、「きっぱりこれ以上の付き合いを断れ」という父にとりあえず翌朝起床のためのモーニングコールを頼んで電話をきる。The フライデーでは容子は実は否定的な父をたしなめ結婚を望んでいるかのように振る舞っており、それをよそにその電話を男との浮わついた会話だと考えた藤沢が激昂して殺害におよんだ顛末を再現ビデオでえがいている。
そして殺人犯として裁判に挑む藤沢が、最後の電話の相手が恋敵ではなく父親だったということを法廷で知り愕然とするようなドラマ化がなされているのだ。翌日の新聞に出ていた情報であり藤沢が知らなかったはずはないのだが。全ては嫉妬に狂った男の勘違いで行われた殺人だったというのが番組側の説でありストーリーのオチである。
しかし、それは本当だろうか。本当のわけがないではないか。
朝3時に実家の親に電話して、男がきていることを話すのはどういう場合か?容子からすれば、まずい展開になることを予期し恐怖を覚えており、助けが欲しかったからなのではないか?それ以外に3時に20代前半の娘が父を起こして電話で話すような必然性はありえないだろう。おそらく男が風呂に入ったかタバコを買いにいった隙に電話をし、後半の会話をしのび足で隠れていた藤沢にきかれてしまったのだろう。はじめから父親と話すといってから電話しなかった理由は、やはり来られたことが迷惑で助けを求めていたからである。
男は23歳。仮面ライダーV3などの人気番組に出演する機会を得るも、日の目をみないままの脇役専門である。藤沢の遺書らしきものには「愛し合ったことが悪い」と悲劇の結末が決まっていたロミオとジュリエットのように二人の間柄をとらえている傲慢さがさらけだされている。残念なことに容子はそこまでして添い遂げたいとは思っていなかった。
菊容子の名付け親である石森章太郎は、容子が自分相手に枕営業をしていた過去も容子の死後に発表しているくらいで、決してNHK『連想ゲーム』どおりの清純キャラではなかったのである。おそらく幼少からの芸能活動に飽きがきていた頃で、プロデューサーかスポンサーの実業家の嫁入り先でも捕まえる時期にきていたのかもしれない。いまさら売れない俳優の卵と共有できることなどあったのか・・・・・・
TV番組はどうせ誰も検証できないことだし、昔の話だし、適当にストーリーをこじつけてドラマタイズしてしまえばそれでいい、ということで殺されてしまった容子の代弁にはとてもならないような奇妙なカップルの『勘違い殺人』ということで歴史に葬ってしまった。私はどう考えてもそのときの状況から容子はとっくに破局を望んでおり、ストーカーの別の意味の勘違いで無理矢理殺された被害者でしかないと思うのだ。
非道な暴力テロに対して、報われない愛のような情緒的解釈を加えるのはやめてほしいものである。
藤沢の出演した仮面ライダーでは、藤沢の言うことをきかない子供の首をロープでしめるシーンがでてくるが、まさに菊容子を絞殺したことにそれはかぶる。現実とヒーロードラマの区別のつかない万年幼児であったようである。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > マスコミ・電通批評14掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。