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百田氏ももう言い逃れできない!?(「やしきたかじんメモリアルサイト」より)
百田尚樹『殉愛』の嘘を徹底暴露する検証本が! 当事者が続々証言、メモの筆跡鑑定も
http://lite-ra.com/2015/02/post-889.html
2015.02.23. リテラ
「百田さん、これが本物のノンフィクションやで!」(Amazonの内容紹介より)──。昨年11月の発売直後から騒動になってきた『殉愛』(幻冬舎)の嘘を徹底的に暴く書籍が本日23日、発売された。『百田尚樹『殉愛』の真実』(宝島社)だ。
執筆陣は、〈月刊誌『宝島』編集部を“管制塔”としたフリーランス記者、週刊誌記者、テレビ・音楽業界関係者、法曹界関係者、ネット系ニュースサイトの横断的ネットワーク〉である宝島「殉愛騒動」取材班を中心に、『ゆめいらんかね やしきたかじん伝』(小学館)の著者である角岡伸彦氏、『マングローブ ─テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』(講談社)などの著作で知られる西岡研介氏という、ともに神戸新聞記者を経て講談社ノンフィクション賞を受賞した2人のジャーナリストが名を連ねている。
多くの出版社系マスコミやテレビが百田氏の文壇タブーに触れることを恐れ、「週刊文春」(文藝春秋)や「週刊新潮」(新潮社)、「FRIDAY」(講談社)などが百田氏の言いなりとなって偏った情報を流すなか、冒頭で紹介した言葉の通り、百田氏が“ノンフィクション”を謳う『殉愛』に対して、ノンフィクションのプロが検証に乗り出したという格好だ。
すでにAmazonでは21日の予約段階から売り上げランキングで1位を獲得。発売前にもかかわらず、早売りで同書を手に入れた人びとによって80を超える高評価のレビューが投稿される事態に(23日0時現在)。いかに同書が注目を集めているかがわかるが、肝心の内容も、さまざまな角度から念入りに取材を行っていることがうかがえるもので、本サイトでは迫りえなかった衝撃的な記述がいくつも掲載されている。
なかでも注目したいのは、『殉愛』のなかで百田氏によって徹底的に悪者扱いを受けなから、これまで沈黙を守っていたたかじんの元マネージャー・K氏や前妻の反論が掲載されていることだろう。
K氏については、『ゆめいらんかね』で同氏を取材した角岡氏がその証言を記述しているのだが、そこで書かれている内容は、『殉愛』で書かれている記述とは大きくちがうものだった。
まず、たかじんとさくら夫人が出会った経緯からして、『殉愛』の記述とK氏の話は大きく食い違う。『殉愛』では、さくら夫人がフェイスブックに犬の写真を載せていたところ、“家鋪隆仁”という見知らぬ男性から「可愛い犬ですね」というコメントが届き、やりとりをするなかでオフ会に参加しないかと誘われた──という流れになっている。ところが、K氏はふたりの出会いをこう語っていた。
「彼女(さくら氏)とは、フェイスブックで知り合って、彼女の方から、猛アタックがあったと師匠(たかじん)に聞きました。師匠が(フェイスブックで)顔写真を載せない人は承認しませんとメールを送ったら、載せたものがきた。むかし好きやった女性に似ていたので、付き合いを始めたということを教えてくれたことがあります」
また、2012年1月末にたかじんが東京の山王病院で食道ガンだと判明したとき、『殉愛』ではたかじんとさくら夫人の電話のやりとりしか記載されていないが、実際は〈たかじんが付き合っていた東京の女性も付き添って〉いたという。そして『殉愛』では、大阪の自宅マンションに戻ったたかじんがさくら夫人を前にしてK氏に「さくらちゃんを秘書にするから、名刺を作れ」と言っているのだが、K氏の証言では、たかじんはこの席でこう話したのだという。
「これからガン撲滅を、俺とお前とこの子(さくら氏)の3人でやってもらおうと思てるねん」
『殉愛』では終始、K氏は無能でたかじんを貶めるような行動ばかりとる人物として描かれているが、この「ガン撲滅チーム」発言が事実なら、たかじんはK氏を信頼していたことがよくわかる。逆にいえば、このたかじんの発言が『殉愛』に出てこないのは、何か不都合があるからだろう。
『殉愛』の嘘はまだまだある。国際医療福祉大学三田病院に入院した理由を、『殉愛』では、たかじんとさくら夫人が考えた末に選んだことになっているが、〈実際は、たかじんと古い付き合いのある京都の会社社長の紹介で、地元の代議士の口ききで三田病院に入院することが決まった。京都の会社社長も私の取材でそれを認めていた〉といい、入院時にたかじんが用いた偽名の「林一」も、百田氏は〈林という字は人が二人立っているようにも見える。それで、「たかじんとさくらの二人で一人」という思いを込めたのだ〉と書いているが、こちらも角岡氏によれば〈たかじんが数十年前から考えていた名前〉であり、〈ファンには知られたたかじんの持ちネタだった〉という。さすがにこれには、角岡氏も呆れ気味に〈殉愛物語にはめ込み過ぎである〉とつっこんでいる。
しかも、『殉愛』では、13年4月30日にたかじんのガンの再発をさくら夫人とK氏のふたりが医師から告げられ、「半年から、よくて来年の夏」と余命宣告を受ける場面があるが、K氏によれば〈医師から、ガンが再発したことは聞いたが、余命については言われた記憶はない〉という。しかも、たかじんの長女が医師に確認したところ、医師がさくら夫人に余命を告げたのは夏ごろだったそうで、この点も『殉愛』とは食い違う。
他にも、K氏がたかじんから病院を探すようにいわれたのに冷たく断ったこと、たかじんのがん再発後、K氏とU氏が勝手に番組名からたかじんの看板を外すように各テレビ局担当者に通達したこと、さくら夫人にたかじんの事務所P.I.Sが所有するマンションからの退出を迫ったこと……K氏によれば、これらもまったく事実でないという。
こうした『殉愛』の嘘を指摘するのは、たかじんの前妻の智子氏(仮名)も同様だ。
『殉愛』では、たかじんの骨上げの前に智子氏がさくら夫人に対し「見たことある? 人体模型みたいで、結構グロいよ」と耳打ちする場面が描かれているが、これを智子氏は「これまでの人生で、「グロい」という言葉を使ったことがないんです。これ、若者の言葉ですよね」と反論している。
また、密葬後の食事のシーンでも、『殉愛』は智子氏とともに長女のH氏が〈きつい調子で〉(『殉愛』より)たかじんの死を知らせなかったさくら夫人を責め立てるシーンがあるが、「まず、Hちゃんは、こんな関西弁でワーッというような言い方はしてませんでしたね。「おばあちゃんとおじさんたちは、どこに手を合わせればいいんですか?」っていう感じで、さくらさんに聞いたんですよ」と、H氏も脚色して描かれていることを指摘。そして、「むしろさくらさんのほうが、急にキレて豹変するような感じでしたね」と印象を述べている。
さらには、たかじんの実弟である家鋪渡氏も同書に手記を寄せている。そのなかで、たかじんと親族の関係は、百田氏が書いたような〈縁が切れているのと同じ〉という状態では決してなく、交流がつづいていたことを、家族と笑顔で写真におさまっているたかじんの姿で実証。入院する病院すら教えてもらえなかったことの悔しさを滲ませている。
また、たかじんの死後に盛大に開かれた「偲ぶ会」についても、さくら夫人は親族に〈マスコミの目もあり、ご招待は控えさせていただきますので、ご理解いただけたらと思います〉とメールで報告。これに怒った親族は、テレビ局関係者との話し合いによって、なんとか参加できることになるが、『殉愛』では〈(H氏が)強引に出席した〉と記述。これに対して、渡氏は〈(たかじんの実母は)「私、(偲ぶ会に)行けんのかな……」言うてね。そんなお袋の姿見て、姪も私らも気切のうなってね……。(中略)それをあの本では姪が〈強引に出席した〉と書いてるわけでしょ。そもそも、偲ぶ会に親族が出席するなんて当たり前の話やのに。それをああいうふうに書く、百田さんの神経を疑います〉と、当然の批判を行っている。
K氏や前妻の智子氏の証言、渡氏の記述は、『殉愛』が意図的に省いた“不都合な真実”をここぞとばかりに暴いているが、しかし同書の追及はこれだけに終わらない。百田氏が取材を怠った人物がぞくぞくと登場。『殉愛』がいかに事実とは違う物語であるかを語り尽くしているのだ。その最たる例が、さくら夫人の2番目の夫であるD氏へのインタビューだ。ここでD氏は、『殉愛』では描かれなかったさくら夫人の信じがたいエピソードを語っている。
そして、同書のなかでもっとも衝撃的なのは、たかじんメモの筆跡鑑定結果を掲載していることだ。
筆跡鑑定にかけられたのは、たかじんが桃山学院高等学校(以下、桃山学院)の温井史熏Z長に宛てたとされるメモだ。桃山学院はたかじんの母校であり、学長の温井氏は同期の人物である。たかじんは遺言書に、たかじんが立ち上げたボランティア団体「OSAKAあかるクラブ」に2億円、桃山学院に1億円を寄贈することを明記。だが、すでに「週刊朝日」(朝日新聞出版)や「サンデー毎日」(毎日新聞社)が報じているように、さくら夫人と百田氏はOSAKAあかるクラブに対し、遺贈の放棄を迫ったという。
そして今回、同書は、桃山学院への1億円の寄付についても、さくら夫人が温井校長と面談し、寄付の放棄を求めていたという関係者の証言を掲載。さらに、その面談後、さくら夫人は再び温井校長のもとを訪ね、「家鋪が生前に書いたものです」と言って件のメモを見せたのだという。その内容は以下のようなものだ。
〈知っての通り、娘たちが欲出して、さくらにありもないことを言うてくる。桃山に寄付受口になってもらい(弁護士もちょっと頼りないねん)、さくらの生活にかかってきそうなら、戻してやってほしい〉〈弁護士は決まり事しか言わんから 気持ちでやってくれ、約束は、さくらにさせる〉(メモより抜粋)
同書の取材班はこのメモのコピーを独自のルートで入手。このメモに書かれた文字と、親族から提供を受けた信用保証委託契約などにサインされたたかじんの直筆サインや、ファンクラブ会報誌に寄せた直筆の挨拶文という〈間違いなくたかじん本人が書いたものという裏付けが取れている〉真筆を筆跡鑑定にかけている。しかも、鑑定を行ったのは「東京筆跡印鑑鑑定所」の代表・かわのかずよし氏で、全国の裁判所からも選任依頼を受けているという高い信頼性を誇る筆跡鑑定士だ。
そのかわの氏の鑑定の結果、文字のハネやトメの違い、バランス、「自」という字の「2画の書き順が違っている」点や、数字の「0」の「書き順が逆」などという細かな違いを指摘した上で、温井メモの字はたかじんの書いた文字ではないと断言。“たかじんの文字を見たことがある、あるいはよく知っていて、そのマネをして書いたのではないか”とも推測している。
こうした同書が明かした事実関係について、取材班は百田尚樹氏とさくら夫人には配達証明郵便で取材の申し込みを行ったが、両名の弁護士は編集部に「警告書」を送付。警告書には〈記事を掲載、配信等することがないよう〉と書かれていたという。だが、同書の取材班は訴えられることも覚悟で、今回の出版に踏み切ったようだ。
奇しくも、同書の発売日は百田氏の誕生日でもある。この大きな“プレゼント”に対し、百田氏はTwitterでこう反論している。
〈Amazonには「これがほんまのノンフィクションやで」と派手に謳っているが、私の本を「当事者に取材せずに書いた」と非難した人たちが、同じように当事者に取材しないで、事実の検証もしないで書いている。「お前がやったようにしてやったんだ」と言うつもりかな。当事者でもないのに。〉
同書の取材班が取材を申し込んでも百田氏が受けなかっただけの話だと思うが、こういう論理がまだ反論として通用するとでも考えているのだろうか。ともかく、このぶつけられた新事実に、百田氏とさくら夫人はどう出るのか。今後の行方に注目だ。
(田部祥太)
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