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萎縮せずに前進できるか/(C)日刊ゲンダイ
報ステにBPOが意見…真価が問われる古舘伊知郎の“覚悟”
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/157127/1
2015年2月10日 日刊ゲンダイ
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は9日、審議入りしていた「報道ステーション」(テレビ朝日系)の“川内原発誤認報道”の一件について、「事実誤認と不適切な編集のいずれも、客観性と正確性、公平性を欠き、放送倫理に違反している」と判断。「勧告」や「見解」に比べると軽めの「意見」という形での発表ではあったが、BPOは今回のテレ朝の報道に対し、お灸をすえた格好となった。
対象となったのは、昨年9月10日の放送。原子力規制委員会の記者会見で、「竜巻の審査基準」を「火山」の基準だと伝えたり、田中俊一委員長と記者とのやりとりを省略し、あたかも複数の質問への回答を拒否したかのような編集を行ったというもの。報ステは放送の2日後に訂正・おわびの放送を行い、翌月には28ページに及ぶ再発防止策や報告書をBPOに提出。番組プロデューサーら計7人を「異例中の異例」(テレ朝関係者)といえる減給やけん責処分にしていた。
「追い込み作業の中でチェック機能が働かなかった」(放送倫理検証委の川端和治委員長)
「番組制作の間違いには『捏造』『誤報』『単純なミス』の3つがある。今回の一件は捏造には当てはまらない。誤報と単純なミスによるものだ」(藤田真文委員)
こういった発言が象徴するように、同委員会は故意や作為的な編集はなく、複数のスタッフによる分業作業の中での過失と検証したが、これらが何を意味し、今後どんな影響を及ぼすのか。
放送ジャーナリストの小田桐誠氏はこう言う。
「『3・11』からまだ4年という歳月の中で、原発や震災報道に真摯かつ継続的に取り組んでいるのは、民放では報ステと『報道特集』(TBS系)ぐらい。テレ朝の一連の誤報は初歩的なミスで肯定すべきものではないが、同局に限った問題でもない。どの局も分業作業による番組制作をしており、いわば、テレビ局全体が抱える課題ともいえるだろう。BPOの意見書の“まとめ”にあるように、今回の委員会決定によって制作現場が『萎縮』するのではなく、失敗からの教訓とし、『前進』することこそが大事だと考える」
古舘伊知郎(60)は昨年、11年ぶりに復活させた「トーキングブルース」でこんなことを言っていた。「人に向かって責任ある言葉を発するというのは嫌なことがあっても覚悟を持って向かわないといけない」――。
反省すべきは反省すべきだが、今回の一件で矛先を鈍らせることなく、覚悟を持って真相に迫る有言実行の報道ができるか。テレ朝、そして古舘自身の真価が問われている。
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