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「みなさまのNHK」、無検証の乱暴な発信は籾井会長だけではなかった!?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39313
2014年05月21日(水) 高堀 冬彦 現代ビジネス
就任時の会見で、ろくに調べもせず、根拠なしに「(慰安婦は)どこの国にもあった」と放言し、猛反発を買ったのはNHKの籾井勝人会長だが、同局の報道・情報番組でも同じようなことが見受けられる。
■外部情報のコピペで論じた「マイルドヤンキー化」
一例は5月12日に放送されたNHK『おはよう日本』。一部の広告代理店関係者や文化人が唱えている若者の「マイルドヤンキー化」を、ほぼ無検証で確たる裏付けも取らずに伝えた。
マイルドヤンキー論は興味深い説であり、肯定する人も多いようだが、一笑に付す向きもある。それなのにNHKは検証なく報じ、一方的に拡散させた。公共放送が取り上げるからには、この説を自分たちで一から検証するべきではないのか。そう面倒な作業ではないはずだ。
NHKの調査能力は民間の広告代理店等とは比較にならないほど強大だが、番組側が示したエビデンスは僅か30人の若者のアンケート結果と声だけ。失礼ながら、サンプル数は学級新聞並みだ。
いつの時代であろうが、若者一人ひとりは千差万別。たとえば、バブル期であろうが、若者がそろって浮かれていた訳ではない。検証もせず、公共放送までがイージーに若者全体を一括りにするのは乱暴な話だ。
NHKが示したマイルドヤンキーの特徴は以下の通りだ。
●「絆」「仲間」「家族」という言葉が好き
●地元(半径5q位内)から出たくない
●車(特にミニバン)が好き
●ショッピングモールが好き
●EXILEが好き
一体、これらの事柄のどこが珍しく、マイルドヤンキーの特徴なのか? どの時代であろうが、「仲間」「家族」という言葉が嫌いな若者を探すほうが難しいはずだ。「絆」も3.11後に広まった現代人のキーワードの一つであり、この言葉を好む人が多いのは若者に限った話ではない。
地元から出たがらないのは、都心と郊外、あるいは地方との画一化や均質化が進み、わざわざ遠出しなくても済むようになったからに過ぎないのではないか。80年代までは、都会でしか買えない物品が数多くあったが、今はネットで何でも簡単に手に入る。
どこの店舗でも同じ商品を提供するコンビニが郊外や地方にもある。外食チェーンやレンタルビデオ店チェーンも広く隅々にまで出店している。「半径5q以内から出たくない」というより、「半径5q以内から出なくても生活に困らない」のではないか。
「車が好き」というが、郊外や地方では車がないと生活できない。都心部と違い、地下鉄網などが存在しないのだから。車はいわば生活必需品。地方では主婦や高齢者の車所有率も高い。マイルドヤンキーとは無関係だろう。
「特にミニバンが好き」というが、いつの時代でも車には流行があり、それは繰り返されてきた。第一、ミニバンのブームは今に始まった訳ではない。1990年にトヨタのエスティマが発売し、軽自動車でも93年にスズキのワゴンRが売り出したころから続いている。
「ショッピングモールが好き」というが、これも都心部に行かなくたってユニクロやニトリ、イケアなどの商品が簡単に買えるようになったからだろう。
コンビニとショッピングモール、さらにスマホとパソコンがあれば、都会と郊外、地方が、さほど変わらない生活を送れる時代になっただけとも言える。だが、NHKはマイルドヤンキー化という説を流布するだけに終わった。
「EXILEが好き」というが、これも特別な傾向ではないはずだ。都会でもEXILE風の若者が跋扈している。第一、『おはよう日本』はEXILEのCD購買層、ファン層の調査すらしていない。
NHKは無検証どころか、考察すらせず、自分たちの見解も放棄したのだ。これでは、まるで外部情報のコピペだ。
■街頭インタビューの手法に疑問
籾井会長は5月15日の定例記者会見でNHKの街頭インタビューの手法に疑問を呈したが、『おはよう日本』のマイルドヤンキー報道の問題点にも近く、これについては外部から登用された籾井会長の意見が正しいのかも知れない。
NHKは4月1日に消費増税率アップのニュース報じた際、街の声を取り上げたのだが、籾井会長は「アンケートでも何でもない。本当の意見であればいいが、ただ感覚的に『消費税が上がって困った』というのが多い」と苦言を呈した。(5月16日付毎日新聞より)
街頭インタビューは、ラジオの時代からある報道の基本の一つだが、声の数が少なかったり、どの場所で、どんな立場の人に取材したのかが明確でないと、お飾りやアリバイづくりに過ぎなくなる。マイルドヤンキー化の場合、話を聞いた若者は30人だけだったが、これはエビデンスと呼べるものではないだろう。
■籾井会長の記者会見を開放すべき
さて、NHKが昨年7月に実施した世論調査では、8割近くの視聴者がNHKの放送全般について「公平・公正」と回答している。そんな中、籾井会長は今年1月の就任会見で、「もっと信頼を高めるNHKにしたい」と熱弁を振い、「組織のボルトとナットを締め直す」と宣言した。しかし、具体的に何をどう変えたいのかは、まだ見えていない。
籾井会長の実像についても分かっていない部分がある。「放送法を守る」と、中立の立場を強調しながら、一方で「政府が右と言っているのに、われわれが左と言う訳にはいかない」などと政権寄りとしか思えない発言もしている。
三井物産で副社長まで務めた辣腕ビジネスマンという触れ込みだったが、一方で日本ユニシスの社長に転じたあとは5期連続で売り上げ減を記録した過去がある。ビジネスマンとして有能かどうかも定かではない。
そんな籾井会長の実像に定例会見で触れられる記者は、放送記者クラブに加盟する新聞・通信社の人間に限定されている。籾井会長の真意を広め、実像を浮き彫りにするため、いっそ定例会見を週刊誌やワイドショー、ネット系メディア、フリーの記者らにも広く開放したらどうだろう。
NHKは、週刊新潮が4月24日号で「NHK『籾井会長』の危ない『まだらボケ』」と題する記事を掲載したところ、たちまち抗議したが、会見から締め出しておいて、独自取材に文句を付けるのは一方的だ。
独立行政法人の理研は、STAP細胞に関する論文不正問題の会見を、記者クラブに加盟していない記者にも開放した。理研に所属する小保方晴子氏も同じ。受信料で成り立つ特殊法人のNHKも見習うべきではないか。籾井会長の言動に抗議する受信料不払い運動まで起きているのだから。
民放トップの定例会見も記者クラブに所属する記者しか出席できないが、私企業に過ぎない民放と特殊法人のNHKは組織の性質がまるで違う。NHKのオーナーは視聴者なのだから、情報はより広く公開されるべきだ。
記者クラブ側の事情で会見の開放が難しいのなら、クラブ非加盟の人間を対象とした会見を別に開けば良いだけの話だ。理研の会見では新聞記者より専門的な質問をしたサイエンス・ライターがいたし、一方で理研の笹井芳樹氏に対して、小保方氏との私的関係について尋ねたのも新聞記者ではなかったと聞く。NHKも理研に倣えば、情報公開度が上がることは間違いない。
「みなさまのNHK」という基本理念にも近づくはずだ。なにしろ、籾井会長の名前は連日のように活字になり、語られ、見方によっては、有働由美子氏や大越健介氏らキャスターの存在感を凌駕して、今やNHK随一のスターなのだから。
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