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特別読み物ザ・テレビ局プロデューサーを1日やると、一生やめられません
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37774
2014年01月11日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
「テレ朝」のPだけじゃない、「制作会社はお財布」が当たり前「ほこ×たて」みたいなちょっとした「やらせ」はどこにでも権力を持てばすごい接待が待っている
面白い番組を作りたい―プロデューサーはみな、テレビ局に入社したとき、そんな希望を持っていたはずだ。しかしいまやそんな誠実さは一切ない。テレビ業界には、人間をダメにする仕事がある。
■制作費は流用するもの
「土日のゴルフは、すべて制作会社持ち。賭けゴルフで100万円単位のカネが動くのですが、勝つのはもちろんプロデューサーです。また、彼が『車を買い換えたいなあ、ベンツなんかどうかなあ』と飲み会の席で一言つぶやけば、ベンツが届く。麻雀が大好きで、一晩で100万円くらいやりとりする特別ルールで打っていましたが、これも彼が負けることは絶対になかった。当然それらのカネはすべて、我々下請けの制作会社が分担して支払っていました。
テレビ界ではこうやってプロデューサーが制作会社を『お財布』にするのはよくあること。クビになったテレ朝のPも、やってるって前から有名でした」(制作会社元社員)
『銭形金太郎』や『ミュージックステーション』などの人気番組を担当してきたテレビ朝日プロデューサー(45歳)の制作費着服事件。世間では驚かれたが、テレビ関係者にとっては「ありがちなこと」だったようだ。着服した総額は、実に1億4100万円に上る。
このプロデューサーが解雇された翌11月20日、テレ朝は早河洋社長名で「当社元社員による不正行為に関するお知らせ」と題したメールを社員に送信している。その中に、こんな文言がある。
〈社内調査の中で当該元社員以外に、番組制作費の不適切な処理を行っていた事例を複数件確認いたしましたが、私的流用の事実はありませんでした〉
私的流用がなかったとしても、経費の不正処理が「常態化」していることを、社長自ら認めている。
かつて同じようにキックバックを要求されていた制作会社の元社員が、プロデューサーの豪遊振りを証言する。
「私が関わっていたのは、7年前。そのプロデューサーはテレ朝の『視聴率男』とか『天皇』と呼ばれ、年間50億円の予算を握って制作会社に君臨していた。わが社を含め、6社から接待を受けていたんです。彼の一日は局に夕方4~5時に出社して始まる。その後、愛人のママがいる高級クラブに『出勤』し、そこを拠点としてハシゴをする。月曜から金曜まで順番に回る店が5軒ありました。いずれも彼が目をつけ、『店をもたせてやる』とか『ママにしてやる』と口説いた子のいる店です。
こうした店への支払いが、1日2軒で40万~50万円。すべて下請けに請求書を回させる。20日間で800万から1000万円です。さらに貸し切りでやる愛人ママの誕生日会と自分の誕生日会の経費が600万~700万円。これも6社が分担して受け持っていました。彼の口ぐせは、『接待で下請けの力量が決まるよ』でしたね」
■予算は水増しするもの
制作会社はどうやってそれほどの「上納金」を捻出していたのか。キー局元プロデューサーが語る。
「レギュラー番組だと制作費がだいたい決まっているので、あまり『抜け』ないんですが、『事件の最前線』や『年末スペシャル』といった特番は水増ししやすい。特番なら2000万~3000万円の予算が組めますし、年に3~4回やるので、こうした特番を3本抱えていると年に9~12本やることになる。そこで水増しした制作費を請求させるわけです。視聴率が取れると認められたプロデューサーならば、特番の担当も回ってきやすいし、編成にも企画が通りやすい。だからやりたい放題ができるんです」
そんなに遊んでいて、いつ仕事をするのか不思議になるが、局のプロデューサーの仕事は金勘定や接待・慰安がメインで、番組そのものは企画から何から制作会社に丸投げというのが実情だ。
「大手の制作会社は、もともとテレビ局にいた優秀なスタッフが局を出てつくったところが多く、番組制作に関してはプロフェッショナルなんです。とはいえ、大切になんてしません。制作会社は所詮、我々が仕事を与えないと何もできない『奴隷』ですからね。
下請け会社のADやディレクターは全体会議で座る椅子がない。床に座るんです。一方、僕ら局の社員はADも、ちゃんと椅子に座っている。また、下請けの社員は意見を言うチャンスもない。そもそも下請けのADは、局のプロデューサーどころかディレクターにさえ直接話しかけてはいけない。制作会社のADが緊急の用事でディレクターに電話をかけたが、『誰に電話してんだ!』と切られたこともありました」(前出のキー局元プロデューサー)
プロデューサーが受ける恩恵は、カネだけではない。グラビアアイドルや女優の卵などによる「枕営業」もいまだにある。
実際に強要されたという現役グラビアアイドルが、自身の体験を語る。
「以前所属していた事務所の社長から『プロデューサーと寝てこい!』と度々接待を強要されたことがあります。最初は先方と事務所社長と私の3人で食事をし、相手の顔を覚えさせられるだけで終わり。しかし後日、そのプロデューサーから社長に電話が入り、今度は私一人で行くことになるんです。その際、社長からは『何を求められてるか分かっているな? 断るなよ!』と厳命されます」
車でプロデューサーが待っているレストランの目の前まで送られ、逃げ出すことは許されなかった。
「ただ、私はどうしてもできなくて、相手に謝り、何とか『最後』まではしないようにしていました。でも、グラビアアイドルの友達の中には、自分からすすんで枕営業をしていた子もいます。それだけテレビ局のプロデューサーの力は絶大で、気に入られれば仕事には困らなかったんです」
■やらせはバレずにやるもの
まさに芸能界では「神」と同等である、テレビ局プロデューサーという肩書。しかし驚くべきは、それなりに仕事ができれば、社員なら若くしてその地位につけるということだ。
「キー局に入社し、バラエティ部門に配属された新入社員は、まずアシスタントディレクターになり、制作会社と共に現場で働きます。しかし、その修業期間はわずか1年しかない。その後、3年ほどディレクターをやり、すぐにプロデューサーになる。つまり30歳前後には、もうプロデューサーになっているんです。そんな男盛りのときに、グラドルだの女優の卵だのが『売り込み』に来るんだから最高です」(フジテレビ元プロデューサー)
当然、実務経験がわずか4~5年であるプロデューサーは、番組づくりの「現場」をわかっておらず、制作会社に無理難題をふっかける。その期待に応えるため、演出と「やらせ」の境界も曖昧になるのだと、制作会社社員が言う。
「フジテレビの『ほこ×たて』のやらせが問題になり、結局番組が打ち切りになりましたが、似たようなことはいくらでもあります。たとえば日テレの『深イイ話』。この番組は、視聴者から投稿されたエピソードを、出演者が深いか否か判定するという内容です。投稿は、視聴者の実名という形で発表されます。しかし実は、その投稿者の9割が架空の人物なんです。我々が考えたエピソードに、社員ディレクターが友達やお気に入りのキャバ嬢の名前をつけているだけ。放送直前に、キャバ嬢に『〇〇の名前つけたから見てね』とメールする奴までいました」
一大ブームとなった「大家族もの」でも、極めてやらせに近い演出はあった。フジテレビ元プロデューサーが語る。
「4~5年前にうちでやった大家族ものの特番では、ドキュメンタリー風に家族を追っていましたが、しっかり『裏台本』がありました。そもそも部屋にカメラがあると分かっていて、派手に夫婦喧嘩をしたりするんだから、演出以外の何ものでもないですよ。『ここは喧嘩して』とか『泣いてくれ』とか、ディレクターが指示するんです。都合の良いナレーションを入れて、こちらの思惑に沿ったシーンをつくることも当たり前でした。『大家族もの』は視聴率がそこそこ取れたので、演出はどんどんエスカレートしていった」
さらにたちが悪いのは、プロデューサーのほとんどが、「やらせをしないと面白い番組は作れない」と居直っていることだ。
「過剰な演出がやらせと言われるなら、報道以外の映像はすべてやらせですよ。現場ではいまでも『ほこ×たて』は仕方なかったという感覚です。深夜時代は、対決2本だったものが、ゴールデンに移り、4本作らなくてはならなくなった。それを全てガチンコで面白くなんてできるわけがない。まあ今後も『やらせだ』と告発されたら、その制作会社を外せばいい。そのための制作会社なんですから」(フジプロデューサー)
カネも女もやりたい放題で仕事は丸投げ。そんな傍若無人のプロデューサーにも、唯一恐いものがある。それは視聴率だ。
「テレビ局で何より重要なのは数字です。テレビ業界で起こるすべてのことは、視聴率に起因すると言ってもいい。制作費を出すスポンサー様は、結局数字でしか番組の良し悪しを判断しないからです」(キー局幹部社員)
3%という史上最低の視聴率を記録したTBS系『夫のカノジョ』の場合は、広告効果はほとんど期待できなかった。当然、スポンサーは激怒する。
「『夫のカノジョ』については、代理店を通じてスポンサーからガンガン圧力がかかってきました。1話から4%台の視聴率ではそれも当然です。矢面に立たされた営業がひたすら頭を下げまくっていました」(TBS社員)
■視聴率が一番怖いもの
だからこそ、プロデューサーは数字のためならなんでもやる。
「日テレの『天才! 志村どうぶつ園』。チンパンジーのパン君が、まるで人の言葉が分かっているんじゃないかというほどの演技力で大人気となりましたが、実際はそんなに賢いわけじゃない。カメラに映っていないところで調教師がバンバン殴って教えていたんです。見物人が『動物虐待だ』と騒ぎ、局にも苦情がきていました。専門家からも、『チンパンジーの擬人化はよせ』という警告があった。でもプロデューサーは『面白けりゃいいんだよ』とまったく気にしていませんでしたね」(日テレ社員)
そうして、「視聴率男」になってしまえば、業界では天下をとったも同然。やり手のプロデューサーに対しては、さまざまな企業が媚びを売ってくる。
「情報番組で自社の商品を紹介してもらえば、次の日にはその商品が完売になる。テレビのCM効果は昔ほどではなくなったと言われるけれど、やはりまだ他のメディアより圧倒的に強いんです。
このご時世ですから、裏金を渡すということまではやりませんが、紹介してもらうために接待にすごい金額をかけている。プロデューサーの趣味をリサーチし、ゴルフが好きとわかれば休日に車を出して送り迎え。女が好きとなれば、キャバクラ三昧といった具合です」(健康食品メーカー社員)
最近ではみのもんたの横暴ぶりが話題を集めたが、みののような大物ですら、売れっ子プロデューサーには態度が全く違うという。
「大御所と言われるタレントたちは、その地位まで上がってきただけあって、処世術を心得ている。たとえどんな年下のプロデューサーであれ、『こいつは偉くなるな』と察知すれば下には置きません。むしろ話のわかる兄貴分のような顔をして、親密な関係を築こうとします」
カネ、オンナ、そして自己顕示欲、そのすべてが満たされるのがテレビプロデューサーという仕事。
しかし、そうやって世間の常識から乖離した人間がつくるからこそ、テレビが「つまらない」と言われていることに、そろそろ気づくべきだろう。
「週刊現代」2013年12月14日号より
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