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土曜から月曜までのバラエティ系情報番組は、みのもんた氏の記者会見に占拠されたかのような状況だった。
みのもんた氏の記者会見は、しゃべりに命を賭けていると公言するだけあって、阪急阪神ホテルズの社長やリッツカールトンホテル大阪の総支配人のあまりにひどい会見に較べればずっと気が利いたデキだったと思う。
(間合いの取り方、声の抑揚の付け方、身のこなし、質問者との押し引き具合などがさすがにうまい)
みの氏の報道系番組は朝が早いので、何かがあったときに阿修羅などに転載されるビデオを見たくらいで論評できる立場ではないが、みの氏の会見を見た感想を少しだけ書きたい。
● ご子息の行為を「窃盗未遂」という表現するのは誤り
まず、会見で子息の行為について語ったことで気になったことがある。私が聞いた限りでは2回だが、みの氏は、子息の行為を「窃盗未遂」と表現していた。
起訴はされないだろうから犯罪を行ったかどうかも確定されない可能性が高いので、容疑としての話になるが、子息は、「窃盗」(既遂)と「詐欺未遂」の嫌疑がかけられているはずである。
路上で寝ている人の鞄からモノを取り出し持って行けば、それだけで「窃盗」が成立する。そうしようとしたときに気づかれてうまくいかなかったときが「窃盗未遂」である。
子息の行為で未遂と言えるのは、盗んだ銀行口座カードを使って現金を引き出そうとした「詐欺」(銀行に対する詐欺行為)についてである。
親が子どもをかばう(できるだけ悪く思われないようにしたい)気持ちはよくわかるが、弁護士などとも事前に打ち合わせをしたはずの会見の場で、事実と違う表現を用いるのは問題である。
● みのもんた氏が報道系番組から降板する理由のおかしさ
ご子息の事件発覚後のみのもんた氏の言動でまともだと思ったのは、「息子を信じない親がいますか」と語ったことである。
みのもんた氏は、事実関係があきらかになるまでは、犯行を否認している息子を信じるという態度を見せた。
テレビや新聞といったメディアは、警察の発表をそのまま信じ、逮捕どころか重要参考人になった時点でその人物をあたかも“犯人”であるかのように扱っている。そのような状況で、多くの親が、事実が確認できなくても自分の子どもをかばえない気持ちになってしまう。
みのもんた氏が報道系番組を降りるべき理由は、番組で第三者の事件を扱ったときの言動と自分の子どもに関わる言動の“差異”(ダブルスタンダード)にあると思っていた。
容疑者が否認している事件を番組が扱ったとき、みの氏が、容疑者を“犯人”扱いしたことはなかったかという問題である。
(みの氏の会見でテレビ朝日のアナウンサーがそれに関する質問していたがうまくずらした回答をしていた)
みの氏は、報道系番組を降板する理由として、「切っても切れない親子の縁」や「間違った育て方をして息子を社会に送り出した」不始末を上げていたが、それを番組降板の理由にすることは間違っている。
“風潮”(社会の空気)にはあらがえないから降板せざるを得ないというみのもんた氏の本音が透けて見える会見ぶりではあったが、それなら、それだけをやめる理由にすべきである。
みの氏も言っていたが、事件に関与していたのなら別だが、成人した子どもの犯罪に無関係の親が責任をとる必要はない。
逆に、みのもんた氏が語った降板理由は、成人した子どもの犯罪に無関係の親が責任をとらなければならないような“風潮”を醸成することにつながりかねない危ういものである。
みのもんた氏が報道系番組を降板する理由は、番組で第三者の事件を扱ったときの言動と自分の息子の事件について触れた言動が大きく違ったことである。
そのような姿をさらしたら、今後、事件を扱う報道系番組を仕切ることができないのは自明であろう。
● 日テレがメディアの取材対象にならない不可思議
メディアは、会社勤めの人が容疑者として逮捕されると、勤務先に押しかけ、容疑者の勤務ぶりや日常生活を聞き出し、それをネタに報道する。
みのもんた氏が勤務していた日本テレビ放送網は、有数のキー局として、ニュース報道も行っているし、情報番組も放送している。
日テレも、容疑者の勤務先に押しかけ、容疑者の勤務ぶりや日常生活を聞き出し、それをネタに報道する側の一つである。
日テレ自身も、みのもんた氏と同じく、第三者が容疑者として逮捕されたときの報道ぶりと従業員が容疑者として逮捕されたときの報道ぶりが違っていていいのかと厳しく問われなければならない。(業界仲間の他のテレビ局にも同じ問いが突きつけられる)
系列の読売テレビが製作している「ミヤネ屋」などがいつもやっているように、みのもんた氏の子息が日テレに入社した経緯、解雇されるまでの仕事の内容、給与水準(おそらく1千万円超)や借金の有無、女性関係やギャンブルなどの情報がなぜ報じられないのか?
世間一般の基準に照らせば破格の高給取りである人物が、酔って寝ている人の鞄から銀行カードを盗むというさもしい行為に及んだ事情や動機は、興味津々のテーマであろう。
これは反語でありイヤミだから、別に、それらの個人情報を流せと言いたいわけではない。
メディアは、みのもんた氏を生け贄として捧げることで、自分たちは無関係という態度を見せている。しかし、これまでの第三者の事件に関する報道ぶりを顧みれば、裁判も始まっていない段階から、真偽さえはっきりしない警察情報を含む容疑者の個人情報を好き放題に流してきた自分たちの行いを思い出すはずである。
みのもんた氏が報道系番組を降板する“合理的”理由が、番組で第三者の事件を扱ったときの言動と自分の息子の事件について触れた言動が大きく違うことしかないとしたら、主要メディアは、自身の事件報道の在り方を根底から見直さなければならないはずである。
テレビ局や広告代理店は、政治家や経営者そして芸能人の“聡明な”子どもたちを数多く受け入れている。
そして、これまでも、総理大臣経験者の子息や名の知れた政治家の子息が事件を起こして騒動になっている。テレビ業界は認可が絡むので政治家とのつながりは重要だし、広告代理店も、顔が利く人なら仕事をしなくてもOKという感じの採用もあるという。
公共放送であるNHKも二世が大好きである。料理番組の講師は二世のオンパレードである。偏見だとは思うが、もっと能力があるとひとは数多くいると思わせる某有名司会者の子息を執拗に使い続けている。
せっかくの「みのもんた氏事件」も、親子の縁や子育て論を語るみの氏の独擅場ともいえる記者会見で幕引きになり、メディア界の宿痾ともいえる問題は触られることさえなく封印されてしまった。
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