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2013年08月07日 日刊ゲンダイ
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が2日、虚偽VTRを制作・放送した関西テレビの報道番組に対し「放送倫理に違反する」という意見書をまとめ、公表した。
問題の番組は、昨年11月30日放送の「スーパーニュースアンカー」。特集した「大阪市職員 兼業の実態」で内部告発者にインタビューした際、その告発者がカメラに映ることを拒んだため、撮影スタッフを当人に見立て、スタッフの後ろ姿にモザイクをかけた偽装映像を放送したというもの。関テレはBPOの意見書を受けて、「取材や番組制作における放送倫理の確立に改めて努め、信頼回復できるよう全力で取り組む」とコメント。しかし、虚偽の事実を放送直後から把握していたにもかかわらず、今年3月、新聞報道で発覚するまでの3カ月間、シラを切り続けていたのだから悪質だ。
同局は07年の情報番組「発掘!あるある大事典II」でデータの捏造(ねつぞう)問題を引き起こしているだけに、BPOが「教訓が風化したのか」と糾弾したのも、もっともである。
さる放送関係者が言う。
「今回の一件がBPO委員会メンバーの満場一致で審理入りしたのは、『あるある』から続く関テレの隠蔽体質が問われ、各局への戒めだと受け取られている。今回、BPOが最も問題視したのは同局の事後処理。後手後手に回り、視聴者に不信感を与えた失態を重くとらえたようです」
それにしてもなぜ、関テレは替え玉を用意してまで告発者のモザイク映像にこだわったのか。録音機や現場のイメージ映像をはめ込み、証言VTRとして流していれば、こんな騒動にはならなかったはずだが。
同特集には、単独取材に応じた橋下徹大阪市市長の映像も流れた。そして、「収まる様子がない大阪市職員の不祥事。橋下市長はこれを払拭できるのでしょうか」というナレーションで締めくくっている。やらせ映像は橋下市長が改革の対象としている大阪市職員の怠慢ぶりを際立たせるための過剰な“演出”だったとしたら、権力と報道の関係や距離間も問われるだけに、病巣は深い。
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