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「低カロリーの食事で痩せる」の間違い&危険な愚行?菓子パンやマーガリンは厳禁!
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150502-00010004-bjournal-bus_all
Business Journal 5月2日(土)6時1分配信
一時ほどではないようですが、いまだに「ダイエット中だから、カロリーの高いものは食べない」などと意味のないことを言っている人を見かけることがあります。そもそも、こういう人はダイエットの意味を取り違えているのです。それも無理のない話で、ダイエットという言葉が日本に入ってきた時に、意図的かそうでないかは別として、ねじ曲げられた解釈で伝わってしまったために、誤解した人がほとんどだったのです。それがいまだに続いているのです。
ダイエットについては、本連載の第1回目で取り上げましたが、ここでおさらいをしておきましょう。ダイエットの本来の意味は、広義には食品全般あるいは飲食物ということですが、限定的に「健康的な食事のシステム」という意味でも使われます。アメリカの医師と管理栄養士がタッグを組んで、肥満の人たち向けの食事による健康改善プログラムを考案したのが始まりです。後々、健康な人たちも実践するようになったわけですが、当時そのダイエットに目をつけたのが日本の女性を対象とする雑誌でした。
ダイエットをセンセーショナルに取り上げ、特集を組み「痩せる」ための方法として紹介したのです。雑誌を作る側は売れなければ困るので、できるだけ刺激的に、可能な範囲で過激に書きます。それを読んだ人たちは、自分流に解釈して、短絡的に理解できる範囲で実践しようとします。それが「痩せるためにはカロリーさえ少なければよい」という単純発想になったのかもしれません。しかし、本来はダイエットによって「痩せる」というのは一つの結果であって、それを目的とするものではありません。肥満の人たちが、健康的な食事(ダイエット)を続けることで、さまざまな良い影響が出て、結果として肥満が解消されたということなのですが、それが「痩せる」ための方法論のように受け止められてしまったため、逆にそれを利用しての物品販売などのビジネスがはやりだし、ブームのようになってしまったのです。
●ダイエット中でも油の摂取は必須
今や無数といっていいほどのダイエット法が存在していますが、それらのダイエットの中では、「油(オイル)」はどうやら悪者扱いされているケースが多いようです。しかし、それは間違いです。適正な種類と量のオイルを必ず摂取してください。古い栄養学では、油は1グラム9キロカロリーの物質でしかなく、その種類にまで言及しません。これがそもそもの間違いです。油には種類があります。とはいえ、サラダ油や天ぷら油といった種類ではありません。ここではオイルを構成する脂肪酸の種類を重視します。
基本的に脂肪酸には、自然界に存在する「シス型脂肪酸」と、自然界にほとんど存在しない「トランス型脂肪酸(トランス脂肪酸)」があります。トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングや、それを使った菓子パン、市販されている揚げ物の油を使った加工食品などに含まれていて、私たちの体に多大なるダメージを与えるので、食べてはいけません。
シス型脂肪酸は、大別すると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つがあります。飽和脂肪酸は動物の脂など大気中では固体のもの、不飽和脂肪酸は植物系の大気中では液体のものです。飽和脂肪酸もまた、多量に摂取すると私たちの体に悪影響を及ぼすことがわかっていますので、なるべく控えるようにしましょう。
不飽和脂肪酸には3つの種類があり、そのうちの2つが必須脂肪酸と呼ばれ、私たちが日々の食事を通じて必ず摂取しなければならないものに指定されています。その2つとは、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸です。必須とはなっていないもう1つの不飽和脂肪酸がオメガ9脂肪酸ですが、なぜ必須ではないのかというと、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸が体内にあればオメガ9脂肪酸は合成されるからです。したがって、私たちは食事を通じてオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸を摂取すれば生命を維持できるというわけです。
オメガ3脂肪酸の代表格はアルファ-リノレン酸、オメガ6の代表格はリノール酸、オメガ9脂肪酸の代表格はオレイン酸と呼ばれているものです。これらの脂肪酸は体内で細胞膜を作る原材料となったり、ホルモンなどの体内調整物質の原材料となってさまざまな代謝に関連するなど、重要な役割を果たしているので確実に食事を通じて摂取しなければなりません。しかし、「油はカロリーが高い」というおかしな理由から、「ダイエット中は極力油を摂らないように」という妙な理屈がまかり通ってしまっているのです。
カロリーというのは、物質が持っている熱量のことで、栄養価とはなんら関係はありません。カロリーは栄養ではないのです。1キロカロリーというのは、1グラムの水の温度を1度上げるために必要な熱量で、カロリーの計測は実際に物質を燃やして測ります。しかし、それと同じことが私たちの体の中で起きるわけではありません。したがってカロリーを中心に食事を組み立てても、何の意味もないのです。
要するに、「1日の食事全体で何キロカロリー以下がいい」「それ以上は悪い」というのは、単なる幻想にすぎません。重要なのは、私たちが食べる食品の中にどれだけの栄養素が含まれているか、ということです。その栄養素の密度のことをN/Cレートといいます。Nは栄養素という意味のニュートリション(nutrition)を表し、Cはカロリー(calorie)を表しています。N/Cレートの高い食品を積極的に摂取したほうがよいわけですが、それは難しいことではありません。お米でいえば、白米より玄米のほうがN/Cレートが高いですし、野菜であれば皮をむかないほうが高くなります。砂糖は、カロリーはありますが栄養素はほとんど含んでいないのでN/Cレートは最低の食品ですし、海藻類はカロリーがほとんどないのに栄養素がぎっしり詰まっているため、N/Cレートが最高の食品といえます。
正しい意味でのダイエット中であれば、なおさら油を選ぶ時はオメガ3脂肪酸をどれだけ含んでいるか、という点を重視するべきです。最新の栄養学の研究でわかってきたのですが、体に必要なオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、その摂取バランスが重要なのです。しかし、日常的な私たちの食事を通じてオメガ3脂肪酸を摂取することが難しく、その摂取比率にアンバランスが生じていることが指摘されています。私たちは圧倒的にオメガ6脂肪酸偏重の食生活を送っています。油を摂取する総量も大事ですが、それよりもっと大事なのは油の摂取バランスです。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の理想的な摂取比率は1:4といわれています。このバランスが崩れていることが、さまざまな疾病、特に生活習慣病の原因になっていると指摘されています。
オメガ3脂肪酸を多く含んでいるのが、亜麻仁油、しそ油、えごま油などです。最近これらのオイルに注目が集まっているのは素晴らしいことだと思います。品質を見極めて、積極的にオメガ3脂肪酸を摂取することをおすすめします。ただし、オメガ3脂肪酸は熱に弱いという性質があるので、できるだけ生の状態で摂取するのがいいでしょう。サラダのドレッシングに使ったり、豆腐や納豆、パスタを食べる時に振りかけるといいでしょう。
体重を減らしたいと思っても、必要な栄養素はきちんと摂取しなければ健康を損ねることになってしまい、それこそ本末転倒だと知っていただきたいと思います。油はダイエットの敵ではありません。むしろ心強い味方なのです。繰り返しますが、重要なのは摂取する油を慎重に選ぶことです。
南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
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