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(回答先: 遺伝子組み換えは世界を飢餓から救うのか?:消費者だけが知らない農業工業化の暗部(3) 投稿者 あっしら 日時 2015 年 3 月 25 日 02:42:50)
モンサント マリー=モニク・ロバン著
米企業通し食糧の未来に警鐘
人口増加と食糧供給の問題はマルサス以来、人類の課題となっている。世界人口は約70億人。2050年には96億人になると予測されるが、食糧の未来については悲観的にならざるを得ない。農地は増加せずもっぱら収量の増加に依拠してきた。収量増には遺伝子組み換え作物(GMO)も貢献してきたといわれる。米モンサント社はその遺伝子組み換えに関わる最先端の企業だ。除草剤と、その除草剤を散布しても枯れない遺伝子組み換え作物を主力商品とする。
遺伝子組み換え作物に関しては、自然界にあるものとの同一性、従来の農業との共生性をめぐって議論がある。人類の希望の星か災禍をもたらす疫病神か。膨大な科学論文や論評があるものの、相互に納得はしていない。結論が出ないまま、先進国では食品ラベル表示などで違いを明示する対応をとっている。
不思議なのは、先進国の米国でGMOの食品ラベル表示がされていない点だ。著書はそこにモンサントの政治工作を見る。それを可能にしているのが、米国の規制官庁と同社の人事交流だ。モンサント告発本ともいえる本書によれば、同社の商品には公害など社会的災禍をもたらすものが多く、遺伝子組み換え種子等の普及の仕方も強引で、各地で多くの犠牲者を出してきたという。あまたの訴訟を抱え、敵も多い。生産性の面では、GMOの綿花や大豆の収量は必ずしも高いものではないという。
著者はフランスのジャーナリスト。ドキュメンタリー映像作家で、自身が作った3作品に期せずしてモンサントの名前が出てきたことが、この本を著すきっかけとなった。同社への取材は拒否されるが、訴状や内部書類、報告書、学術書、インタビューなどで迫っていく。そのさまは、さながらスパイ映画のようにエキサイティングで、モンサントが生物特許を武器に「世界の食料を支配」しようとしていると警鐘を鳴らす。
著者によれば、過去にモンサントにGMO小麦を断念させたのが、遺伝子組み換え表示で、米国人の8割以上が遺伝子組み換え食品の表示を望んでいるという。これが真実なら、遺伝子の表示義務を課しているEUや日本のルールこそ、世界貿易機関(WTO)や環太平洋経済連携協定(TPP)のルールとならなければならないだろう。遺伝子組み換え作物をめぐる問題は、結局はエンドユーザーの選択の問題となる。だが、そうなったとしても、増加する人口を養うだけの食糧供給問題はなくならないのがやっかいだ。
(村澤真保呂・上尾真道訳、作品社・3400円)
▼著者は60年生まれ。本書は世界16カ国で出版され、同テーマのドキュメンタリーも42カ国で公開された。
《評》宮城大学特任教授 大泉 一貫
[日経新聞3月22日朝刊P.25]
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