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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
おでき、虫歯、水虫…長引く深い症状の犯人は血糖値だった
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/157655
2015年3月3日 日刊ゲンダイ
「昨年は散々な年だった」と話すAさん(43)。年明け早々、後頭部にひどいおできができた。時間がかかってやっとよくなったと思ったら、腕におでき。やはり時間がかかって治ったら、今度は足に大きなおできができた。半年の間に、体の3カ所に、治りの悪いおできができたのだ。このAさん、病院で意外な病気が見つかった。
病院嫌いのAさんは、おできをすべて市販の塗り薬で対処していた。妻から「しょっちゅうおできができるのはおかしいから、病院に行って」と強く勧められ、重い腰を上げたのは昨年秋。検査の結果、医師から告げられたのは「糖尿病。何年も前から血糖値が高かったはず。もっと早く受診すべきだった」という言葉だった。
忙しさを理由に健康診断を受けてこなかったAさんは、一言も返せなかった。
おできは感染症の一種で、風邪、虫歯、歯周病、水虫なども感染症だ。これら感染症は、糖尿病と密接な関係にある。
「血糖コントロールがうまくできていないと、免疫機能が低下し、感染症にかかりやすく、重症化しやすい。最悪、命を失います。身近なものでいえば、風邪が挙げられます。しょっちゅう風邪をひき、なかなか治らなければ、もしかしたら血糖コントロールの不良と関係しているかもしれません」(東邦大学医療センター大森病院 糖尿病・代謝・内分泌センターの弘世貴久教授)
弘世教授が、世界5大医学雑誌のひとつ「ランセット」の感染症版に掲載した症例は、こういうものだ。
50歳の男性は、39度の高熱で大森病院を受診。原因は、重症の腎盂腎炎(細菌感染から起こる腎盂の炎症)だった。
腎盂腎炎では、炎症の原因のほとんどが大腸菌だ。しかし男性は、非常に珍しいことに黄色ブドウ球菌が原因になっていた。その理由は分からないまま、抗生物質を処方。腎盂腎炎は改善に向かった。この時、ヘモグロビンA1c(=糖尿病の指標。6.2%未満が正常)が14.7%という重症の糖尿病も判明し、その治療も開始された。
1週間後、男性はまた高熱で来院。「実は以前から肩が痛かった」と言うので調べると、肩の筋肉の中に膿がたまっていた。そこには黄色ブドウ球菌があり、最初の高熱は、肩の黄色ブドウ球菌が血液に入って腎臓に至ったことによるものだとわかった。
「男性はそば打ち職人だが、荒れ性で手の傷から黄色ブドウ球菌が入って、肩で感染。膿がたまり、それが腎臓に運ばれ、高熱を引き起こしたのです。その背景には、重症糖尿病があります。健康な人なら、肩に膿がたまり、さらに重症腎盂腎炎に至ったり、ということは決してなかったでしょう」
■ほとんどが自覚症状なし
糖尿病は重症化すると、口渇、多飲、多尿、倦怠感などの自覚症状があるといわれる。
「血糖値が急激に上がって糖尿病を発症した人は、自覚症状に気づきやすいですが、ジワジワと血糖値が高くなってきたような人は、重症でもほとんど自覚症状がありません。本来は強烈な痛みに襲われる場合でも、糖尿病の合併症で神経障害をすでに患っていれば、痛みを察知できません」
足裏のタコから細菌感染し、潰瘍ができていても無自覚。「その潰瘍が骨まで達していて、気が付いた時には、足の切断しかないという唖然とするケースも珍しくない」と弘世教授は指摘する。
最悪の事態に至る前に、手を打つべきだ。
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