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写真はイメージ (C)日刊ゲンダイ
がん宣告された時から始まる「心の緩和ケア」5つのコツ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/157461
2015年2月25日 日刊ゲンダイ
大盛況だった日本緩和医療学会主催の公開講座のリポートをお届けする。
緩和ケアは、病気に伴う「体」と「心」の痛みやつらさを和らげるもの。しかし、「心の痛みやつらさ」について、よく分からない人も多いのではないだろうか?
「がん患者の心の医療は非常に重要です。気持ちや心がつらいと体にも悪影響が出ます。食欲がない、眠れないなど、患者の全般的な生活の質(QOL)が下がる。死にたいという思いにつながる。がんに対する治療意欲を奪う。それは、入院期間の長期化とも関連しています」(札幌病院精神科・上村恵一副医長)
多くの人が抱く緩和ケアのイメージは、「がん治療の後、余命6カ月と宣告されてからのターミナルケア」だろう。しかし本来の緩和ケアは、「がんと宣告された時から始まるもの」だ。
「私たちはがんと診断を受けるまでは、死を自分と距離があるものと考えています。しかし、いざ、がんとなると、生きるための人生が、死に向かうものに変化し、衝撃を受け、一度は否認し、絶望感や怒りがくる。これはどのがん患者さんでも同じです。つらい心を支えるのが心の緩和ケアで、その割合は最期の時に近づくにつれ大きくなっていきます。患者さんが亡くなった後、残された遺族の心を支えるのも、重要な緩和ケアです」
心の緩和ケアをよりよいものにするコツは5つあるという。
【1】心のサインを知る
「気持ちのつらさは、検査では測れません。日頃から心がつらい時のサインに注意し、知っておく。私の場合は、忙しくてしんどくなると、机の上をきれいに掃除してからでないと仕事をできない。そうなった時は、自分はしんどいんだと自覚し、あえてペースを落とす。気持ちがつらくなる時の前触れを知れば、対処しやすくなります」
【2】だれにでもよいので伝える
「不安や心配で心がつらくなるのは、重い病気にかかった人すべてが経験すること。がん医療に関わるすべての医療者が、心のつらさに対応するルートを知っています。がん患者さんから『精神疾患ではないのですが、いいですか?』と質問されますが、総合病院で働いている精神科医は、心のケア全般の専門家なので、どうぞ安心して相談にいらしてください」
【3】)睡眠の症状をまず伝える
「心のつらさの最も敏感なサイン。すべてのつらさは睡眠障害を伴います。眠れない、何回も起きるなどは、心のつらさの程度を表します。気合で眠るので睡眠薬は不要という患者さんがいますが、気合では眠れません」
【4】「心配な不安」と「安心できる不安」を知る
「“心配な不安”は、理由が思いつかない、表現できない、対処できない、他人に分かってもらえない、1カ月以上続く、生活に支障を来す。一方、“安心できる不安”は、理由が分かる、表現できる、対処できる、他人に分かってもらえる、長く続かない、生活に支障を来さない。どちらの不安であるかを知ることは大事です」
【5】すぐに相談しよう
「【4】の“心配な不安”に該当するなら、すぐに精神科医など心のケアの専門家に相談してください。特に、すべて自分の弱さからくると感じていたり、物事の決断に時間がかかる・決められない、すべてを投げ出したい気持ちになる、という時は要注意です」
最善のがんの治療を受けるために、絶対に押さえておきたいことだ。
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