01. 2014年11月21日 12:26:51
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そしてデブになるのは細菌のせいらしいwhttp://jp.wsj.com/articles/SB12711975506514794531604580287951049681076?mod=trending_now_3 あなたの肥満、腸内細菌の不足が原因かも By MELINDA BECK 2014 年 11 月 20 日 15:38 JST コロラド大学の研究室で細菌を採取するロブ・ナイト氏(中央) American Gut Project 肥満は遺伝するのだろうか。だとすると、その原因は腸内細菌にあるかもしれない。 コーネル大学の研究者たちは、体形をスリムに保つのに役立っているとみられるクリステンセネラセエ(Christensenellaceae)と呼ばれる細菌種を特定した。これを移植されたマウスは、同じエサを食べていた移植を受けていないマウスほど体重が増加しなかった。この研究は今月、専門誌セルで発表された。 細菌が人間の健康にどう影響しているかという研究は急増してきたが、最も興味をそそる分野の1つが体重だ。肥満率上昇の一因は、抗生物質の使用が増えたため、人間が食べ物を効率よくエネルギーに変換する一助になりうる細菌が減っていることかもしれない、との見方が広がっている。 赤ん坊は細菌を持たずに生まれてくるが、最終的には約100兆個の極めて小さな微生物の宿主となる。その数は人間の細胞の約10倍だ。細菌は肌、口、鼻、耳、生殖器、特に消化管を隅々まで覆っている。細菌は食べ物を消化したり、侵入してきた細菌を撃退するばかりか、免疫システム、新陳代謝、そして気分までも整えるのに役立つビタミンや化学物質の生成もする。 キングス・カレッジ・ロンドンの遺伝疫学者でこの研究にも貢献したティム・スペクター氏は次のように説明する。「過去にわれわれが調べてきた主な細菌は、人を死に至らしめるような悪者だった。人間を助けたり、体形をスリムに維持したりする数千種類の好ましい細菌には注目してこなかった」 そうした細菌群は人間と共に進化してきており、わずかな乱れでさえ、肥満、糖尿病、高血圧、異常なコレステロール値、腹部脂肪、がん、動脈内にプラークが蓄積するアテローム性動脈硬化など、さまざまな健康問題と関連付けられてきた。 今や排泄(はいせつ)物、唾液、その他のサンプルで遺伝子解析を行うことでより簡単に細菌を特定したり、その数量を見極められるようになったこともあり、この分野の研究は盛んになっている。集積されたデータは人間の細菌コミュニティーがいかに複雑で異なっているかを教えてくれる情報の宝庫になり得る。 事実上の無菌状態で育てられたマウスにバクテリアを移植する方法は、科学者たちが相関関係ではなく、実際の因果関係を実証することを可能にした。 腸内細菌が動物の体重に影響を及ぼすことは数十年前からわかっていた。ニューヨーク大学の微生物学者マーティン・ブレイザー氏によると、酪農家たちは1950年代から家畜や家禽(かきん)を太らせるために抗生物質を与えてきたという。ブレイザー氏の研究では、少量のペニシリンを若いマウスに4週間投与するだけで――腸内細菌の状態が正常に見える場合でも――成長してから肥満になるということが明らかになった。 ブレイザー博士は新著の中で、抗生物質、抗菌石けん、その他の抗菌製品の激増はいくつかの耐性菌を生み出しているばかりか、人間と共に進化してきた細菌を激減させていると述べている。 ブレイザー博士は、食欲の調整を手助けする種類の細菌が人間の消化管から消えつつあることを特に懸念している。ピロリ菌は消化性潰瘍を引き起こすことで悪名高いが、研究では食欲を増進させるホルモンのグレリンの調整の手助けもすることがわかった。グレリンの働きを抑えるピロリ菌がないと、人間は体が発する「食べるのをやめろ」という合図を見逃してしまうかもしれない。それなのに、測定可能な量のピロリ菌を体内に持っている米国人の子供の割合は約6%でしかいない。 「われわれ人間は変化している」とブレイザー博士は話す。博士によると、今日の米国人が体内に保有している細菌の種類は、抗生物質にさらされる機会が少なかったアマゾンの原住民のそれの3分の2ほどでしかない。 少なくともマウスでは、エサや運動の量にかかわらず、腸内細菌を変えるだけで体重が変えられるということが他の研究でわかっている。昨年、サイエンス誌に発表された研究では、ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学の研究者たちが、片方が痩せていてもう片方が太っている4組の一卵性双生児から腸内細菌を採取し、それを無菌状態で育ったマウスに移植した。肥満のドナーから腸内細菌を移植されたマウスは数週間以内に肥満になり、痩せているドナーから腸内細菌を移植されたマウスは痩せたままだった――同じ低脂肪のエサを食べていたにもかかわらずである。 コーネル大学の新しい研究は、体重増加を調整する細菌に関して、遺伝が一定の役割を果たしていることを示した最初の研究の1つとなった。 研究者たちは416組の双子を含む23歳から86歳の1000人近い人の排泄物のサンプルを分析した。あまり知られていないクリステンセネラセエの水準は、普通の兄弟同士よりも双子同士の方が似通っていた。これは遺伝の影響が強いということを示している。クリステンセネラセエは双子の太っている方よりも痩せている方により多かった。 研究者たちがその細菌を無菌状態で育ったマウスに移植した21日後には、そのマウスの体重は移植を受けていないマウスの体重よりも大幅に少なかった。 クリステンセネラセエが人間の新陳代謝にどう影響し、どのように遺伝するのかは現時点では科学者たちにもわかっていない。種子の発育の仕方が土壌の質で変わってくるように、どの細菌が増殖し、どの細菌が減少するかには人間の遺伝子が影響していのではないかと推測されている。 コーネル大学の研究者たちが次に計画しているのは、マウスに便移植ではなく経口でクリステンセネラセエを投与し、その影響の持続期間を調べる研究だ。人間用プロバイオティクス(体にいい細菌)製品への応用に道が開ける可能性もある。それが実現する日は来るのだろうか。その研究の上席著者で、微生物学者のルース・レイ氏は「科学者という立場上、可能性はあるとしか言えない」と話す。 細菌が健康に果たす役割に関するさらなる研究は、米国立衛生研究所(NIH)でのプロジェクトの一環として現在進行中だ。責任者のリタ・プロクター氏は「この分野の研究はまだ始まったばかりだ」と話す。 このプロジェクトが資金援助している研究には、出産が近づいている妊婦の細菌群にどのような変化が起きるのかを調べるものや、離婚、失職、インフルエンザの感染といったストレスが糖尿病予備軍の人の腸内細菌をどう変えるのか、本格的な2型糖尿病が引き起こされる可能性はあるのかを追跡調査するものなどがある。 科学者たちはクラウドソーシングを通じて人間の細菌のことをさらに学びたいと考えている。コロラド大学を拠点とするプロジェクトにはこれまでに、約7000人が食事、健康、生活習慣に関する情報と共に大便や唾液のサンプルを送っている。99ドル以上を支払うと、サンプルのドナーは自分の体内細菌の統計的側面を知ることができる。一方、研究者たちは調査用のデータを大量に入手できる。 そのプロジェクトの共同創設者である微生物学者のロブ・ナイト氏は、細菌群が「年齢や抗生物質だけではなく、食べる野菜の種類数、酒の摂取量、運動量、平均睡眠時間などからも影響も受けることがわかってきている」と語った。 先月には英国版も始まった。食生活を3日間変えることで腸内細菌をどれくらい変化させられるかという予備研究に数人のボランティアが参加した。プロジェクトの創設者であるスペクター博士は「私も未加工チーズを大量に食べた」と明かしてくれた。それで博士の腸内細菌が大幅に変化するということはなかったが、「チーズを食べるのが少し嫌になった」そうだ。 プロバイオティクスが大量に入っているという触れ込みで市場に出回っている多くのヨーグルト、スムージー、サプリ、その他の製品はおそらく無害だろうが、大半は品質検査も規制もされておらず、その効果の裏付けもほとんどない、というのが大多数の微生物学者たちの見解だ。 体内の細菌について知っておくべきこと―最も一般的な細菌について研究者は以下のことを発見した ・ビフィズス菌は母乳で体内に取り込まれ、腫瘍を防ぐかもしれない。 ・クリステンセネラセエは肥満を防ぎ、遺伝する。 ・ピロリ菌は消化性潰瘍の原因になるが、食欲の調整に役立つ。 ・大腸菌はビタミンKを作るが、大病を引き起こし得る。 ・クロストリジウム・ディフィシレは腸炎や下痢を引き起こし、人を死に至らしめることもある。 ・黄色ブドウ球菌は腫れ物の原因になり、薬物耐性を持つ。 ・緑膿(りょくのう)菌は耳や目の感染症を引き起こし、病院内で広がることもある。 関連記事 減量するには1日に何口分食べるのが最適? よく噛んで摂取カロリーを減らす 効果的なダイエット法は「軽い断食」の繰り返し 朝食の比重を大きくすると、体重減が促進=米医学誌 ノンカロリー甘味料、血糖値を上げることも
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