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写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
痛くも痒くもないのに気になる 「危ないしこり」の見定め方
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/153940
2014年10月9日 日刊ゲンダイ
風呂で体を洗っていたら、二の腕にコリコリした「しこり」ができていることに気が付いた。痛くもかゆくもないが、なんとなく気持ちが悪い。放っておいても大丈夫なのか。
しこりは「軟部腫瘍」と呼ばれ、体の軟部(内臓、骨、皮膚を除いた部分)のあらゆる場所にできる。大きさは米粒程度から30センチを超えるものまでさまざま。成分も脂肪、筋肉、神経など多岐にわたり、「良性」と「悪性」がある。
慶応大学医学部専任講師の森岡秀夫医師(整形外科)は言う。
「しこりの多くは、自然発生的にできます。一部の特殊な病気によって遺伝する場合や、体質が関係するケースもありますが、なぜできるのか理由ははっきりわかっていません。食生活なども関係ないといわれています」
しこりはいつでも誰にでもできる可能性があるのだが、そのほとんどは「良性」だという。
「中高年の方に多く見られるのが、脂肪性腫瘍と呼ばれる良性のしこりです。名前の通り脂肪細胞でできていて、感触は軟らかい。太もも、臀部、二の腕などの皮膚と筋肉の間にできることが多いのですが、骨の近くや筋肉の間など体の深部にできると、大きくなるまで気付きづらいのが特徴です」(森岡医師)
しこりが徐々に大きくなり、周囲の神経や骨が圧迫されることで痛みを感じて受診する人もいるが、痛みや運動障害などの原因になることはまれ。大半は「良性」で、命にかかわらないものがほとんどだが、中には「悪性」の場合もあるから甘く見てはいけない。
「しこりの種類は、良性を含めると140種類以上もあり、そのうち悪性は35種類ほど存在します。悪性のしこりは『軟部肉腫』または『サルコーマ』と呼ばれ、希少がんに含まれています。発生は年間1500人程度と多くはありませんが、しこりを発見したら良性か悪性かの判別はしておくべきです」(森岡医師)
■急激に大きくなったら悪性の可能性も
しこりを見つけたら、まず短期間で大きくなっていないかどうかをチェックする。1カ月前に1センチだったしこりが今は3センチになっているなど、急激な増大傾向が見られる場合は悪性の可能性がある。子供の頃からしこりがあり、大きさにあまり変化がなければほぼ心配ない。
「しこりの硬さや痛みの有無では、悪性かどうか判別することは難しい。急に大きくなったり、すでに大きさが5センチを超えていたら悪性の疑いがあるので、すぐに整形外科で相談してください」(森岡医師)
受診したらまずMRI検査でしこりの成分を確認し、その後、確定診断のために生検による組織検査を行う。悪性が疑われる場合や、良性と思っても5センチ以上のしこりや日常生活に支障を来すケースは、手術によって摘出を行う。
しこりは体のさまざまな場所にできるため、患者はどこの科を受診すればいいか分からず、専門知識がない医師も多かったという。現在でも、軟部腫瘍の専門医は全国で200〜300人程度とかなり少ない。
気になるしこりを発見したら、まずは整形外科医にかかり、その後に適切な医療機関を紹介してもらうことになる。日本整形外科学会ホームページの「骨・軟部腫瘍相談コーナー」から専門医を調べてみてもいい。
しこりがある人もない人も、入浴時などに自身で時々体を触ったり、背中などを家族に見てもらって確認したい。
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