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多忙でも健康な人のすごい「メリハリ術」 激務の40代支える健康法〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140922-00000013-sasahi-bus_all
AERA 2014年9月29日号
仕事に家庭にボランティアに。めまぐるしい日々を送る人は多い。充実した毎日のためには、健康第一!忙しい中でも体調管理するには、考え方や時間の使い方のひと工夫が大事だ。(ライター・高山敦子/編集部・高橋有紀)
飲み会が終わったあと、みんなを帰してひとりでビッグエコーに向かう。会員証を出さなくても店員は「村田さんですね」。顔パスだ。
メガハイボールを注文し、テーブルをズルズルッと移動させる。カメラの位置をチェックして、踊っても恥ずかしくない位置を確認。
「ゲラゲラポー ゲラゲラポー」
妖怪ウォッチからももクロまで、歌って踊る時間が、トレーダー村田美夏さん(44)のストレス発散タイムだ。
年間2億円稼ぎ、テレビにも出演。そのぶっ飛んだキャラクターと、東京大学経済学部を首席で卒業したという経歴で注目を集める。トレードの仕方があまりに激しいことから、ついたあだ名は「ウルフ村田」。
20代の銀行員時代は残業続きだった。不良債権処理などストレスフルな仕事も多く、金属アレルギーを発症したり、微熱が1カ月下がらないまま点滴を打って働き続けたりした。
「得意なものと苦手なものに差がありすぎるから、得意なものに特化することが、心身の健康に最も大事だと気づきました」
独立してからは、稼げるときに集中して働き、あとは流す、という働き方を心がける。
「トレードは、集中力や勝つ自信がない中途半端な状態で入ると、一気に数千万円損してしまう。それなら寝てる方がまし。調子が悪い時には抜く、というようにメリハリをつけないと」
判断力を保つため、スキマ時間にも睡眠を取る。食べると眠くなるので、仕事の合間に食事はあまり取らない。
仕事だけでなく休みもメリハリを大事にしている。1カ月休んで海外に行ったこともある。旅先では、高級ホテルにも泊まるが、タイ・バンコクのカオサン通りの安宿にも泊まる。
「安いところと高いところが好きなんです。中間にはあまり興味がない。人目を気にせず好きなことをすることで、一番リラックスできます」
健康を保つための今後の課題は、ずばり酒量だ。多額のお金が動く緊張感ある仕事のため、ついついお酒でストレス発散しがち。ストレスフリーな酒量の減らし方を目下、思案中だ。
●自転車通勤で空を見る
多忙な人は「健康づくり」のために特化した時間をつくることが難しい。独自のストレス発散法や考え方、時間の使い方を通して、日常生活の中で体調を整えている。ドワンゴのエンジニア、岩城進之介さん(41)が活用するのは「通勤時間」だ。
自転車通勤歴はかれこれ10年になる。自宅から会社まで片道約6キロ、社屋が現在地に移転する昨年7月までは約10キロの道のり。空を見上げながら寝そべって自転車をこぐ。背もたれ付きのシートに仰向けにもたれかかった状態でペダルをこぐ「リカンベント」が愛車だ。
「自転車に乗っているときはスマホもパソコンも見ないでしょ。頭を空っぽにしてひたすらこいでいると、一切の情報から解放されて、気持ちも体も完全にリセットできる」
仕事では、ニコニコ動画のライブハウス「ニコファーレ」のイベントを企画。プロ棋士とコンピューターが戦う「将棋電王戦」のシステム開発にも携わる。一日じゅう社内にこもってパソコンと向き合うこともある。
「自転車で通勤すると朝はすっきりした頭で出社し、夜は走りながら仕事の頭を切り替えることができる。街灯と街灯の間を何回転でこげるかが、体調のバロメーターにもなっています」
仕事も趣味も体調管理も「関心のあることはとことん楽しむ」のが信条。愛車に出合ってからは、片道10キロ程度であれば自転車で出かける。
1日の最長走行記録は、東京─埼玉・長瀞間往復の約250キロ。休日には、息子(7)と娘(3)用に自転車とカートを後ろにつなげ、3人で近くの公園内をサイクリングすることもある。
「子どもと一緒に自転車でお散歩できるシステムを開発してみました(笑)」
自転車が自身の健康づくりのみならず、子どもと触れ合うツールにもなっている。
●ワーママ国際線CA
仕事でも家庭でも分刻み生活が続くのは、全日本空輸(ANA)の客室乗務員、臼井優江さん(42)だ。
国際線、国内線と乗務をこなしながら、小学1年生の女の子を育てる。取材したこの日も、朝5時に子どもの弁当を作って出社し、羽田─小松間を往復した。月に10日前後は、子育てを1級建築士の夫やシッターに託して、海外へ。例えばパリなら2泊4日、片道12時間を超えるフライト。機内では時差に加え、重たい荷物を持ち上げるため、腰痛に悩まされる。
「とにかく基礎体力がないと、調子が出ないし、いいサービスにもつながらない。健康とスタミナだけは日ごろから維持するように心がけています」
●娘とバレエで競う
モットーは、食べたいものを食べる。疲れたときは肉を、それ以上に野菜を。野菜ジュースはスーツケースに常備している。
いまハマっているのが、中学3年生のとき以来という「バレエ」だ。週2時間のレッスンに通い始めて3カ月になる。
「スポーツジムの単調な運動と違って、バレエは丁寧に教えてもらえるのが楽しくて、ストレス解消にも役立っています」
思いっきり汗をかき、日ごろ使わない筋肉を動かすことで、血の巡りや新陳代謝が良くなっている。同じ教室に通う娘とは、家で立ち方や動きを教え合う“良きライバル”。
「今はどちらが先にトゥシューズを履けるようになるかを競い合っているところです」
不規則な生活の中では、子どもと向き合う時間も簡単には取れない。娘は、今では仕事と家庭との両立生活を応援してくれるが、難しい時期もあった。
「私がやってこられたのも周囲の理解と協力があったから。私がいないときは主人が代わりに娘のお弁当を作ってくれて、家事も快く引き受けてくれます」
どんなに疲れて帰宅しても、娘の寝顔が臼井さんを一番元気にしてくれるという。
●邪魔されない時間
通常の仕事に加えボランティア活動もする、プロボノワーカーの西山典仁さん(42)は、一日のうち「唯一誰にも邪魔されない時間」を健康のために使う。早朝5時に起きだし、平日は7〜8キロ、休日は30キロを走り込む。小学生の頃から続ける腹筋と背筋も欠かさない。
日中は人材育成支援会社でマーケティングを担当。退社後は、そのスキルを生かして、障害者スポーツを支援するNPO法人「パラリンピックキャラバン」の立ち上げに関わる。
家庭では共働きの妻との間に2女。育児のほか、洗濯や食器洗いなどの家事も当たり前にこなす。忙しい毎日の中で目を付けた時間が早朝だった。
「2年前に子どもを保育園に送る役目が終わって、40歳という人生の節目に何かしたいなと思った。職場でも地域でも家庭でも、多様な役割を生かして、日常を輝かせることが僕ら団塊ジュニアの務め。アスリートとしても頑張ってみようかなと」
子どもの保育園時代のパパ友と一緒に走ったり、駅伝大会に出たりすることも、いいモチベーションにつながっている。
この2年間で3回のフルマラソンに挑戦。今年の東京マラソンでは2時間55分をマーク、目標の3時間を切った。走り過ぎてケガをしたこともある。いまは、体調と相談しながらバランスよく走ることを考えている。
■記者もハマっています
リアルに歩き回るゲームでダイエット効果は?
グーグルが提供する最新ゲーム「Ingress」がダイエットに効くと聞いたのは先月。ゲーム経験はゲームボーイどまりで、それほどゲーム好きではなかったが、最近運動不足だし、と思い、始めてみたら見事にハマった。
このゲーム、従来のゲームとは大きく違い、家にいても何もできない。現実世界と位置情報がリンクしている陣取りゲームなので、外に出て歩き回らないことには、何も始まらないのだ。
世界が青と緑のチームに二分されていて、どちらか好きなほうを選んだらゲーム開始だ。街を歩き回り、「ポータル」と呼ばれる、駅や神社、公園の遊具や街角のモニュメントに画面上でタッチしていく。それがポイントとなり、レベルが上がると、敵のポータルを攻撃したり、自分の陣地にしたりできる。
ポータルが密集していてプレーヤーが多く訪れる地域では、陣地は日に何度も取ったり取られたりを繰り返す。自分が取ったばかりの陣地が攻撃され、「むっ、近くに敵がいるな?」と辺りを見回すことも。狙ったポータルを目指して歩くうちに、こんな店があったのか、とリアルな新しい発見をすることも楽しみだ。
休日には予備の充電バッテリーを持って家を出て、ふと気づけば3時間。余裕があるときには、仕事のついでに会社周辺や出先でもポータルを巡回する。スニーカーをはく日が増えた。
なぜかダイエット効果はまだ出ていない。効率的にポータルを回ろうと自転車を使い始めたからだろうか。
グーグルのアカウントがあれば始められるが、個人の位置情報がかなり詳細に特定される心配があるので、始める際は専用アカウントをつくるのがオススメだ。(編集部・高橋有紀)
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