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「長寿」の視点で日本全国の食習慣を調査した名著
「白米・果物の大食」短命の元と42年前に警告した本があった
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140816-00000017-pseven-life
NEWS ポストセブン 8月16日(土)16時6分配信
最近、身近なところでも「糖質制限ダイエットを実行して痩せた」という声をよく聞く。白米や麺類、ビールなどを控え、糖質摂取量を減らして効率的に痩せるというこのダイエットは、今やポピュラーな減量法として受け入れられている。
科学的には諸説あるようだが、同ダイエット法で減量に効果があると感じる人は少なくない。毎日の食生活が私たちの身体に与えている影響の大きさを見せつけられる。
その視点は何も最近“発見”されたわけではない。毎日知らず知らずのうちに私たちの身体に影響を及ぼしている食習慣を、「寿命」という視点で調査した1972年初版の1冊の本を紹介しよう。『日本の長寿村・短命村』(サンロード出版)だ。
十数版重ねた初版は絶版となり、現在は「新版」として生まれ変わっているこの本は、東北大学名誉教授(衛生学)であった近藤正二博士(1893-1977)が36年の歳月をかけて日本全国の990か村を訪問調査した結果をまとめたもの。
近藤博士は「専門は栄養学ではなく衛生学。その研究をしているうちに、日本人の長生きの問題に目をつけた。昭和2年のことです。やってみるうちにこの研究はもっと続けなければならないと思うようになった」と述べている。当時、長寿の研究者はいなかったという。
近藤博士のユニークなところは、平均寿命で考えるのではなく、住民人口における70歳以上の割合を「長寿率」という独自の概念もとにしている点だ。乳幼児の死亡なども含んでしまう平均寿命とは一線を画する考え方だ。
主にどういうものを食べる風習の村なのかを調べ、長寿率との相関関係を調べたわけだ。その結果、長寿なのか、短命なのかは恐ろしいほど、しかもちょっとした違いで明暗が分かれた。
たとえば、糖質制限ダイエットでもやり玉に挙げられている白米。同書でも「白米を大食する村は短命」と結論づけられている。
近藤博士が訪ねた秋田県の米どころでは、塩辛いおかずで白米ばかり大量に食べるため40の声を聞くと男たちは脳卒中に「あたる」のをビクビクして暮らしている。「60まで生きるのが目標」だと村人が話すほどの短命ぶりだ。
だが同じ秋田県でも、男鹿半島にある戸賀村(現・男鹿市)では海藻を常食する習慣があるため、隣村と比べても脳卒中が非常に少ない。「少しずつでいいから毎日常食することが重要」と近藤博士は説いている。
海藻のほか、博士が重要だというのは緑黄色野菜と大豆だ。米どころで白米ばかり食べたり、海沿いで魚ばかり食べてもダメ。果物が豊富なところで「野菜がわりに」と果物ばかり食べているところも、短命になる傾向があるとしている。
魚を食べる漁村は長寿者が多いような印象があるが、さにあらず。同じ魚でも、どのような食べ方をするかで大きな差が出ている。
石川県の塩屋村(現在の加賀市塩屋町)では、売り物になる大型魚は朝市で売ってしまうため、自分たちが食べるのは小魚だけ。そのために長寿になっている。大型魚を切身で食べる村より、小魚を丸ごと食べる村が長寿というわけだ。
逆に、静岡県西伊豆町の田子地区は、伊豆節という鰹節の産地。鰹のあがる期間は脂身の多い腹肉が不要になるので、村中こればかりを食べて野菜は全然食べない。その結果、心臓疾患で40〜50歳で倒れる人が多い。
この本の中には、現代でも通用する「食生活と長寿との相関関係」がふんだんに盛り込まれている。
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