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食品添加物、残留農薬…体内で相乗毒性、人体に異常起こす可能性 食品安全委員会は静観
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140728-00010000-bjournal-bus_all#!bnTOhr
Business Journal 7月28日(月)0時10分配信
人は食生活の中で、多種類の食品添加物や残留農薬を体内に取り込んでいる。しかし、これまでは食品添加物にしろ残留農薬にしろ、その安全性評価はそれぞれの食品添加物、残留農薬の単独の安全性評価に終始していた。そのため、体内に取り込まれた多くの食品添加物や残留農薬が、相互にどのような影響を与えるのか、相乗的に毒性を現出しないのかという問題については、ほとんど触れられず現在に至っている。
そんな中、今年の2月に開催された環境省主催の「化学物質の複合影響評価に関する公開シンポジウム」で、さまざまな化学物質の相乗毒性に関する科学的事実が明らかにされた。報告者の一人、バックハウス博士(スウェーデン・イエーテボリ大学)は、藻類の増殖阻害率を殺虫剤でみた時、単体の殺虫剤(25種類)では0%〜最大17%であったのに対して、25種類の殺虫剤の混合物では阻害率が46%にもなったことを明らかにした。
ちなみにこれに先立ち2009年、EU環境長官のスタブロス・ディマス氏は、「各単独物質の影響は考慮するが、実際のところ、我々が最も多く曝露されるのは多数のさまざまな物質のカクテル(混合物)である。知識と評価に関して重要なギャップが残されている領域の一つがこれである。今後数年のうちに、これらのギャップを埋める必要がある」との見解を明らかにした。そして、EU理事会は同年の第2988回ブリュッセル理事会で「リスク評価では化学物質の複合的曝露を考慮する」「化学物質の複合作用に対処する化学物質政策、研究、および評価方法の分野で追加措置が必要」「この後の提案書の作成に当たっては、化学物質の複合作用の予防原則と潜在的リスクに対し、適切に配慮する」との結論を打ち出した。
また、このシンポジウムで報告した大嶋雄治九州大学農学研究院教授は、メダカを使ったポリ塩化ビフェニル(PCB)と有機スズ(TBT)の複合曝露実験で、オスの性行動が抑制され、メダカ胚の奇形率が増加した実験結果を公表した。さらに、ミジンコにおける3種類農薬(ダイアジノン、ベンチオカーブ、フェニトロチオン)の複合毒性実験では、低濃度では毒性がないが、複合で毒性が増加することを明らかにした。結論的に大嶋教授は、毒性のない(=単独低濃度で毒性が観察されない)ものが、複合曝露では毒性があるとし、複合毒性研究のフレームワークの確立が必要としている。
また、環境省環境保健部・山崎邦彦氏は、同省が12年度から化学物質の複合影響についての予備的検討を始め、13年度には複合影響評価ガイダンス(仮称)の検討を始めたことを明らかにし、正面から化学物質の複合影響問題に取り組んでいることを強調した。
●食品安全委員会は静観の構え
実は環境省の取り組みに先立ち、食品安全委員会は06年、三菱総合研究所に「食品添加物の複合影響に関する情報収集調査」を委託し、07年3月に調査結果を公表している。その結論は、次のようなものであった。
「食品添加物の複合曝露による健康影響については、多数の添加物が使用されていても、実際に起こりうる可能性は極めて低く、現実的な問題ではなく、理論的な可能性の推定にとどまるものである。直ちにリスク評価を行う必要のある事例も現時点ではなく、個々の添加物として評価されている影響を超えた複合的な影響が顕著に出ている事例は見いだされなかった。現在、食品添加物はADI(一日摂取許容量)の考え方を基本として個別に安全性が審査されているが、複合影響の可能性を検討する際にもこのアプローチは有効であり、個々の食品添加物の評価を十分に行うことで、食品添加物の複合影響についても実質的な安全性を十分確保することが可能であると考えられた」
食品安全委員会はこの報告書に基づき、相乗毒性について、さらに検討する構えもない。
●英国などでは問題の着色料の使用を禁止
もともと相乗毒性で問題とされているのは農薬を中心とする化学物質であるが、私たちは残留農薬というかたちで、農薬成分を摂取している。この残留農薬の相乗毒性問題は、1990年代から科学者が問題視し、さまざまな研究が行われてきた。97年度厚生科学研究「残留農薬の相乗毒性に関する薬物動態学的研究」(主任研究者・大野泰雄)、97年厚生科学研究「農薬の低濃度曝露による影響に関する調査研究―農薬の複合作用による神経毒性に関する研究」(同・黒川雄二)の研究成果では、複数の農薬同士や農薬と薬物との相互作用、相乗毒性の可能性があることが明らかにされた。
さらに、07年には「食品中の合成着色料や保存料が子どもの多動行動を増加させる」という報告が、英医学誌「Lancet」(9月6日号)に掲載された。食品添加物と多動との関係はこれまでも疑われてきたが、直接の関与を示した研究はこれが初めて。
この研究は英国食品基準庁(FSA)の資金で、英サザンプトン大学のジム・スティーブンソン氏らが行ったもの。3歳および8、9歳の2グループ、297人の小児に食品添加物(保存料、合成着色料)を含む混合飲料を与え、対照群として一部の小児には添加物なしの飲料を与えた。添加された保存料の安息香酸ナトリウムは、「コカ・コーラ」や「ダイエットペプシ」ほか、多くのフルーツ飲料に含まれるもので、過去の研究で細胞の損傷や癌(がん)の増加につながることが示されている。
着色料は、サンセットイエロー(E110、黄色5号、フルーツ飲料に含有)、アゾルビン(Carmoisine 、E122、日本指定外、赤色、ジャムに含有)、ポンソー4R (別名ニューコクシン、E124、赤色102号)、タートラジン(E102、黄色4号、炭酸飲料に含有)、キノリンイエロー(Quinoline yellow、E104、日本指定外、黄色)、アルラレッド(E129、赤色40号)であり、添加物の量は市販の飲料と同様で、おやつ1、2回分の菓子類に含まれるのと同程度とした【編註:E番号は主にEUで用いられる添加物の分類番号】。6週間の試験期間で、どちらの年齢グループも、添加物入り飲料を飲んだ場合、多動行動(通常の小児以上に動き回ったり落ち着きのない行動を繰り返すこと)を示すことが有意に多く、注意持続時間が短いという結果が得られた。特定の添加物が特定の行動を生じさせるかどうかは不明であった。
この知見に基づきFSAは、食品添加物に関連した多動行動に注意するよう保護者への勧告を出した。多動性の徴候を示す子どもの食生活から合成着色料を除くことが、よい効果を及ぼすかもしれないと助言している。
この報道は世界的な反響を呼び、英国などでは問題の着色料の使用を禁止した。これも保存料の安息香酸ナトリウムと着色剤が飲料に含まれ、それを飲んだ子どもに影響を与えたと想定され、相乗的な作用が否定できないとされたためである。
食品安全基本法第5条は、「食品の安全性の確保は、このために必要な措置が食品の安全性の確保に関する国際的動向及び国民の意見に十分配慮しつつ科学的知見に基づいて講じられることによって、食品を摂取することによる国民の健康への悪影響が未然に防止されるようにすることを旨として、行われなければならないこと」としている。食品安全委員会も環境省と同様に、食品中に含まれる化学物質の相乗毒性について真正面から取り組まなければ、その存在意義が大きく揺らぎかねないといえよう。
小倉正行/国会議員政策秘書
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