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「健康と長寿」の根源を語る13 なぜ、体は老化するのか?
http://takedanet.com/2014/06/post_97a7.html
平成26年5月25日 武田邦彦(中部大学)
私が子どもの頃は「人間は歳を取ると老化する」と言われていた。何事も新しいことを言う人はやや得意げに話すもので、「人間はね、加齢で老化するのは仕方が無いんだよ。体力も頭も20歳がピークであとはダメになって行くだけなんだ」などと言ったものだ。
そう言われるとガックリくる。なにしろ平均寿命が80歳を超えるのだから、人生というのは最初の20年だけが発展し、あとは衰退するだけというのだから夢がない。
特に、「脳細胞は20歳から年々、脱落していって、再び回復することはない」と長く言われてきた。この間違った説明でどのぐらいの人が「歳のせいだ」と錯覚して、何も対策を打たずに、結果として間違いの犠牲になったかと思うと、学問も罪作りだ。
最近の研究によると、このような学説の多くが間違というっていたことが判ってきた。頭脳や心についてはまた別の機会にするけれど、今回は「体は老化するか」ということについて最近の研究も含めて整理をしておきたい。
簡単に言うと、「体はかなりの年齢まで老化しない」ということだ。そのうち、人体の筋肉や運動神経を極限まで使用する激しいスポーツでは、40歳ぐらいで衰えが来る。
この現象を、「最大のパワーを100として」整理すると、普通の生活では100のうち、30ぐらいを使う。でもスポーツの一流選手は遺伝的に、また訓練によって少なくとも瞬間的には80ぐらいまでその能力を出すことができる。
しかし年を重ねると、年齢にもよるけれどフルパワーが60ぐらいになるので、80から60へと落ちる。そこで引退する。それを見て「俺も歳だから」と普通の生活をしている人が錯覚する。でも、普通の生活をしている人はもともと30ぐらいしか使っていないので、60になっても何の変化もないはずなのだ。
筋肉は継続的に鍛えればほぼ一定の状態を保つことができる。私の知り合いの武道家にお聞きしたら、むしろ歳と共に筋肉は向上しているという。それは自分で鍛錬できる筋肉が増えるからと説明された。
骨の医療の研究会に出てみると、骨は日々、交換され新しいカルシウムの層を形成する。だから良質のカルシウム(吸収しやすいカルシウムで、食物から摂取する)を豊富にとり、適切に骨に負荷を与えれば、若々しい骨を維持することができる。
もちろん内臓もそうで、お酒やタバコを飲みすぎたり、栄養のバランスを欠いたり、臓器の病気にならないように注意すれば適切に交換していくので老化を防ぐことができる。ただ一部の繊維組織などであまり交換されないとされているものもあるが、「更新されない」のか「更新する仕組みが発見されていない」のかは明確ではない。
このような体のことを簡単にまとめると、
1)過度な負荷をかけ続けると、代謝量がふえて若干、寿命が短くなる傾向が見られる、
2)適度な負荷(運動)やストレッチなどの刺激、柔軟性などのケアーをすると、70歳ぐらいまではほとんど変化がない、
3)体の老化の多くは、「高校の時より体を動かしていない」と言うことに尽きる。
「歳だから」とあまり動かなかったり、かつては電車で席が空いても座らなかったし、若いときでも疲れは同じだったのに、楽をするので体が老化するということとまずは考えるべきだろう。
最近、私は15分ほど日光浴をして、若干の運動もしています。あまり劣化していないようです。
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