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尿酸値と肥満は比例!「ウマいものにはトゲがある」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140531-00012666-president-bus_all&p=1
プレジデント 5月31日(土)12時15分配信
■カツオは魚類でプリン体含量トップ!
カツオが出回っている。いつであったか、銚子港へ足を運び、水揚げからセリ、発送、地元での加工作業など一連のカツオにかかわる見聞をしたことがある。
新鮮な刺身から角煮、なまり節、酒盗とひと通り試食にかこつけてかきあつめ、やがて日も暮れて、せっかくだから夜の埠頭で一杯、と仲間たちが地酒を3、4銘柄入れてきて、酒盛りとなった。
ぞんざいに発砲スチロールの皿に載せてあるだけで風情もなにもあったものではないが、さすがに鮮度がいいからカツオは旨い。このように血の気の多い魚は酸化も速いとみえて、包丁を入れた端からどんどん腥(なまぐさ)さが増してくる。生姜(しょうが)、大蒜(にんにく)、玉葱(たまねぎ)、青(あお)紫蘇(しそ)、茗荷(みょうが)など葷菜(くんさい)を添えてあるのも、臭みを抑えつつ香味で中和させようとの魂胆であろう。
魚類のなかでも一癖ある個性的なカツオだけに、対抗するためにはそれなりに強力な肝のすわった酒でなくてはいけない。ところが、仕入れてきた地酒はどことなく腑抜けていて、カツオや大蒜に負けてしまう。
探せば、すっきり辛口の酒があるのかもしれないが、もともと千葉県は甘口の蔵が多いと聞く。そういえば、土佐も似ていて、切れ味鋭いのが少ない。それでも『千代登』は珍しく辛口であったが、現在は醸されていない。
白髪の 友ら健啖 初鰹 滝春一(しゅんいち)
小骨がないからがつがつ食すことができるのも、この魚の魅力であろう。
「よし、今夜はカツオで」
と、勢い込んでみたものの、
「待てよ」
と、すでに手は書架のファイルにかかっている。「食品中プリン体含量」(帝京大・金子希代子教授)の一覧表を出して、見た。
「カツオ 211.4mg/100g」
魚類では堂々のトップである。ウナギなんぞは92.1しかない。
「はてさて、どうすべぇか」
■プリン体が痛風発作の元凶
プリン体とは、DNAやRNAを構成する物質で、プリン塩基とも称される。ゲノムではアデニン(A)、グアニン(G)の成分で、脳の活動や生体エネルギーに必須のアデノシン三リン酸(ATP)なども含まれる。
細胞のある食物には多かれ少なかれプリン体が含有される。プリン体は旨味成分とも考えられているそうだ。これを食べると、体内で消化、代謝される過程で尿酸となる。尿酸は屎尿(しにょう)となって体外へ排出されるが、過剰に生産されたものは血液に混じって体内をかけめぐり、ナトリウムと結合、尿酸塩となる。この尿酸塩こそが、痛風発作の元凶なのだ。
尿酸塩を電子顕微鏡でみると、鋭い棘をもったウニのような形状で、これが1億、10億と集合して神経に突き刺されば、もう、痛いに決まっている。
血液中の尿酸が7mg/dlを超えると高尿酸血症と診断される。この状態を放置していると、どんどん尿酸塩が生成され、蓄積されてゆく。私の場合、尿酸塩は右足首にとりついていて、ついには大爆発、炎上した!
痛風発作を避けるためには、まず、尿酸の管理をしなくてはならない。医者からは、
「血液検査で尿酸値が7以下になるよう、食生活を改善するように」
と、プリン体の含量一覧表を渡された。
「野菜に関しては、いくら食べてもだいじょうぶと言われています。気をつけるのは、肉、魚ですね。なにより、あなたの場合は、まず体重を落とすこと」
尿酸値は肥満に比例するのだそうな。
「アルコール類も控えて、しばらくは禁酒したほうがいいでしょう」
合点です、と私は当初、殊勝にも1カ月間1滴たりとも酒を口にしなかった。が、喉もと過ぎればなんとやら。
「いざとなったら、クスリがある」
さあ、カツオだ、カツオだ。
作家 山本亥(がい)=文
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