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あなたは何も知らずに食べますか 2倍の速度で成長させる「フランケン・フィッシュ」と、毛が生えない「ヌード・チキン」「人工食品」の技術はここまで進んでいた!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38632
2014年03月15日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
食品を作る技術は、すさまじい進歩を遂げている。もはや「工業製品」とでも言うべき食べものが次々と登場しているのだ。美味しくて安いならいいと思うか、気持ち悪いと思うかは、あなた次第。
■食べても違いはわからない
「フランケン・フィッシュ」―人間の手によって、こんな新種が生み出された。
これは、遺伝子操作によって、通常の2倍の速度で成長するように仕組まれた魚のこと。24年前から続けられてきた研究成果が実り、ついに、アメリカのアクアバウンティ・テクノロジー社(以下、アクア社)がサーモンで開発に成功した。
天然のアトランティック・サーモンとフランケン・フィッシュ。どちらも同じ生後18ヵ月で体長が約2倍、重さは約3倍もの差がついている。
「通常、アトランティック・サーモンは冬の間は成長ホルモンが分泌されず、暖かい半年間のみ成長します。ですが、一年中成長ホルモンを分泌するゲンゲという深海魚の遺伝子を組み込むと、寒い時期にも成長を続けるようになる。その結果、2倍の速度で成長させることが可能になったのです」(「食政策センター・ビジョン21」主宰・安田節子氏)
出荷するまでに3年かかっていたものが、半分の1年半に短縮でき、その分、エサ代も減らせる。養殖業界にとっては、安く、効率的に育てられる夢の食糧が実現したわけだ。
大豆やトウモロコシなど、農産物の遺伝子組み換えはかなり普及しているが、魚や肉など動物の遺伝子組み換え食品としては世界初となる。それゆえ、人体に危険は及ぼさないのか、生態系への影響はどうなのかなど、さまざまな不安から反対運動も起こっているのだが、アクア社の広報担当デイブ・コンレイ氏は、こう断言する。
「海から離れ閉鎖された場所で養殖されているので、魚が逃げるということはありません。だから生態系に影響を与える心配は無用。そして、我が社の社員は、実際にこのサーモンを食べています。私が『美味しい』と言うと客観性に欠けた意見に聞こえてしまうかもしれませんが、いい商品ですよ。健康にいいし、安全です」
アクア社は食品としての販売許可を得るためにFDA(米食品医薬品局)に申請しており、「認可する方向に向かっています」(前出・広報担当者)という。
見た目は変わらない。味も一緒。でも実際は自然界にいるサーモンとは遺伝子レベルから異なる「人工生物」を食べることになる。私たちが、フランケン・フィッシュの「シャケ弁」を食べる日は、すぐそこに近づいている。
遺伝子組み換え生物を作ることに反対している米国の作家、ポール・グリーンバーグ氏はこんな点に不安を抱いているという。
「ここでアメリカが認可してしまうと、中国などがさまざまな動物で技術を応用し始めるでしょう。それに、遺伝子組み換え食品は、現状アメリカでは表示義務がない。私たちは、知らない間に、フランケン・フードを口にしてしまうことになるのです」
サーモンだけでなく、2倍のスピードで成長するマグロや鯛、牛や豚……そんな本物とは似て非なる人工的な魚介や肉が、近い将来、知らないうちに食卓に並ぶようになるのは、もはや止められない。安さを求める消費者がいる限り、より安く食品を作るために、こうした技術も日々開発されていく。
■深海魚の遺伝子をトマトに
生産効率を上げるための人工食品には、こんなものも開発されている。
「ヌード・チキン」。その名のとおり、生まれたときから体に一本の毛も生えていない素っ裸の鶏だ。
「イスラエルで開発されました。首に羽毛が生えない種類の鶏と、ふつうのブロイラーを掛け合わせて品種改良されたものです」(前出・安田氏)
食肉用に加工する際、羽毛をむしり取る作業は大変な手間がかかる。その作業が省けるうえに、羽毛にいく栄養が肉に回るため、成長も早くなるという。丸焼きにしたらそのまま食べられて便利、かもしれないが、食欲はなかなか湧いてこない。こんな鶏が庭を歩き回っているのを想像してみてほしい。不気味以外の何物でもないだろう。
植物と動物の遺伝子を掛け合わせた人工食品もある。
「アメリカで開発された、寒さに強くて冬でも枯れないトマトです。これは、南極の氷の下でも血が凍らない、オヒョウというカレイ科の遺伝子に目をつけたもの。この魚には血液を凍らせない酵素を作り出す遺伝子があって、それをトマトに組み込むと、寒さに強い新種ができる。本来、夏に実をつけたら秋には枯れてしまうのが、冬にも収穫できるようになるのです。
技術的には、このような『人工食品』を作ることも可能になっているんです」(前出・安田氏)
前回、本誌では、見た目は「本物」だが中身が「別物」という食品の数々をレポートした。普段、当たり前のように口にしている食品がどのように作られているのか、その実態を知って驚いた人も多いのではないか。今回は、遺伝子組み換えをはじめとして、食品加工の現場でどんな最新の技術が駆使されているのか、紹介していこう。
遺伝子を操作することで生産効率を上げる技術は、すでに日本ではこんなところに使われている。
「醤油や味噌、納豆、日本酒、かつお節など、日本の文化である発酵食品には、麹菌、納豆菌、酵母菌などの菌が欠かせません。ですが、これらの食品で、天然菌が使われていることはほとんどない。その多くは種菌メーカーが製造した『人工培養菌』で作られています。
たしかに味にムラが出ず、生産のスピードを上げるのには適しているのかもしれませんが、化学物質過敏症の人の中には、これらの菌で作られた発酵食品で頭痛やめまいなどを起こす人もいます。また、目的にあった菌を作りだすために、菌を放射線や化学物質などで遺伝子操作し、薬剤などを使った培養液で作られた『遺伝子操作菌』を使っているところもあります」(ナチュラル・ハーモニー代表の河名秀郎氏)
■「コク」や「深み」も自由自在
生産スピードを上げるために、急速に広まっているのが水耕栽培の畑、いわゆる「野菜工場」だ。
閉ざされた部屋の中、天井まで連なった棚に整然と並んでいるのはリーフレタス。太陽の代わりとなる眩しい人工照明に照らされ、温度や湿度、二酸化炭素濃度は24時間体制で管理されている。野菜の状態を確認するのは、頭から足先まで白衣に包まれた作業員。実験室のようなその空間には、農機どころか、土さえ見当たらない。
「化学肥料を水に溶かした液肥で野菜が育てられます。土壌よりも養分の吸収がよく、効率もいい。たとえばほうれん草だと、土壌栽培の2倍の速度で成長します。作業も楽で、年間の収穫量も格段に上がる。見た目や味は変わらないですが、100%化学肥料で栽培されているのです」(消費者問題研究所代表・垣田達哉氏)
種の品種改良も進み、形や色が整って、長距離の輸送にも耐えうる強度を持った野菜が容易く作れるようになっている。こうして作られた野菜は、もはや「農産物」と言うより、一種の工業製品のようだ。
添加物が進化したことによって、「人工食品」は飛躍的に幅が広がっている。たとえば食べものの「コク」。シチューやカレーなどは、火を通して寝かせるほど、食材からうま味が染み出して複雑な味に仕上がるものだが、時間をかけてしか出せなかったこの「コク」も、あるクスリを入れることで一瞬にして演出できるようになっているという。
「ピラジンという合成化合物です。本来は煮込むことで自然に生成されるものなのですが、これも人工的に作れるようになっています。あっという間に味にコクと深みが出ますし、素材が煮崩れすることもないので仕上がりも美しい。光熱費や人件費の削減にもなります。
煮込み料理だけでなく、天ぷらの衣に入れれば、味に深みが出たように感じる。加工食品や外食産業では非常によく使われています」(元食品メーカー研究室室長・小薮浩二郎氏)
スーパーや惣菜店で売られている天ぷらなどの揚げ物。これらは、なぜすべて同じような美しい揚がり具合で、時間が経ってもカラッとしているか、考えたことがあるだろうか。
「天ぷらは、揚げる油が古くなると黒くなってきます。ところが、売られているものはみんな衣の色が同じ。これは、油をこまめに替えているからではありません。衣に合成着色料のβカロテンを混ぜることで、黒い油を使っても衣の色を綺麗な黄色に保つことができるんです。
それでも古くなったら、油はトンカツなどのフライものに回される。衣の色が濃くてもごまかしがきくからです」(小薮氏)
さらに、サクサク感が保たれるのは「衣に、界面活性剤と同じような働きをする乳化剤や、リン酸塩が混ぜられているから」(食品ジャーナリスト・郡司和夫氏)だという。職人の腕ではなく、科学技術によって生み出されたものなのだ。
比較的新しい添加物で、さまざまな食品に活用されているものに、トランスグルタミナーゼという酵素がある。
「これは、たんぱく質の中のアミノ酸とアミノ酸を分子レベルで強力に結合させることができる。非常に画期的な技術です。極端なことを言えば、ミンチ肉から大きなステーキが作れる。加熱しても、従来の結着肉のように崩れることがないんです」(鈴鹿医療科学大学薬学部客員教授・中村幹雄氏)
言ってみれば、分子同士をくっつける瞬間接着剤のように強力な酵素。一度結着させると離れないため、食品の食感を出すことにも利用されている。
「パン生地にこの酵素を入れると、グルテンとグルテンを結合させるので、もちもちした食感に焼き上がります。また、かまぼこなどの練り物にも使われる。安い原料のサメの身などを使うと、そのままでは水分が多く、食感が悪い。ですがこのトランスグルタミナーゼを入れることでプリッとした歯ごたえを出すことができるんです」(前出・中村氏)
■「本物を超える味」を作る
甘味料や酸味料、乳化剤、防腐剤、着色料……日本で使われている数々の食品添加物の中で、もっとも高度な技術を持っているものといえば、香料だろう。
「いま日本で使われている人工香料の成分は3000種類ほどあります。一つの香料に10種類くらいの成分を使い、複雑な香りでも作り出すことが可能になっている。加工食品を美味しく感じさせるために、香料は欠かせない添加物なのです」(前出・郡司氏)
身近なところでは、缶コーヒーから香ばしい豆の香りがするのも、スーパーなどで売られているケーキから美味しそうな甘い香りがするのも、香料が使われているから。果汁が一滴も入っていなくても、甘味料と酸味料、香料を駆使すれば、オレンジジュースでもブドウジュースでも簡単に作ることができる。
ちなみに、インスタントのとんこつラーメンには、「隠し香として、靴下の匂いの成分が入っている」(香料メーカー関係者)とか。
「香料は、ファストフードにも大量に使われています。たとえば、フライドポテト。あの香りはほとんど香料でつけられたものです。以前、実験をしたことがあるのですが、フライドポテトの香料をつけたティッシュペーパーを口に入れただけで、美味しく思ってしまったほどです」(ジャーナリスト・椎名玲氏)
香料一つで、食べ物でないものまで美味しいと感じさせることができるのだ。
逆に言えば、人間の味覚なんてそれほどいい加減ということ。本来の自然の味ではもの足りないと思う消費者がいるからこそ、「本物の味」よりハッキリした「本物を超える味」を作り出してきた。
「フランケン・フィッシュ」のように、遺伝子組み換えでできた「本物」とは違う生物の肉を、「本物を超える」調味料で味付けして食べる。こうした技術を人間が求め続けていけば、いずれ、「本物」の食べものが消えていってしまうかもしれない。
「週刊現代」2014年3月15日号より
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