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もしかして…/(C)日刊ゲンダイ
いつもの症状が実は…肩凝りは心筋梗塞のサイン
http://gendai.net/articles/view/life/146730
2013年12月17日 日刊ゲンダイ
Aさん(52)は、若い頃から肩凝りがひどく、それに慣れていた。ある時、電車に乗るため駅の階段を駆け上ると、左肩が強く痛んだ。
残業続きだったこともあり、Aさんは「疲れがたまった」くらいに思っていた。その後も、何度か左肩が強く痛む時があったが、特に気にしないでいた。Aさんは3カ月後、心筋梗塞を起こした。
もし、胸の辺りが激しく痛んだなら、Aさんは重大病と疑っていただろう。しかし、重大病のサインは、臓器そのものずばりの場所に出るわけではない。それが「放散痛」だ。九段クリニック・阿部博幸理事長に話を聞いた。
「内臓にはさまざまな神経系統があります。痛みはそこを伝わって生じるので、思わぬ場所に表れることが少なくありません」
心筋梗塞の前兆は、狭心症だ。階段を駆け上る、駅のホームを軽く走るといったちょっとした動作で症状が表れる。通常は、胸の中心辺りが痛む。しかし、それが違うところに出るのだ。
「狭心症の場合、左の肩や顎などが痛みます。狭心症は心筋梗塞の前兆とよくいわれますが、典型的な訴えは前胸部の真ん中あたりの圧迫感、焼けるような痛み、締め付けられるような感じです。いずれにしても、胸周辺に起こる。そのために、肩や歯が痛んでも、肩凝りや歯の痛みと勘違いするケースが珍しくないのです」
■意外な場所に痛みが生じる放散痛に注意
狭心症は、高血圧、喫煙者、肥満の人にリスクが高い。少なくともこれらに該当するなら、左の肩凝り、左の歯痛は要注意だ。
「狭心症の症状は、長く続くわけではありません。数分から20〜30分で症状が消えますが、労作に伴って何度も症状が表れます。そういった時は、循環器内科を受診してください」
解離性大動脈瘤で突然死したBさん(58)は、亡くなる直前、腰痛を訴えていた。「これまでの腰痛と違う感じ」と何度も言い、「様子を見て、この痛みが続くようなら病院に行ってみる」と話していた。しかしその数時間後、突然倒れ、そのまま息を引き取った。
「腰痛は、解離性大動脈瘤の症状だった可能性が高い。解離性大動脈瘤は、放散痛として背中に痛みが表れます。それを腰痛などと勘違いする人がいるのです」
一般的には、解離性大動脈瘤の痛みは強烈だ。しかし、ジワジワくる痛みの場合もある。糖尿病を患っている人なら、神経に障害が生じているので痛みを感じにくく、本来は強烈な痛みと感じるところを、そう思わずにいることもある。
「放散痛で命にかかわるといえば、狭心症や心筋梗塞、そして解離性大動脈瘤に関連した痛みになります。Bさんもそうですが、少しでも『いつもと違う』と思ったら、病院で検査を受けるべきです」
命にかかわらない放散痛としては、胆石によるものがある。この場合も、腰が痛くなる。腎臓結石も、腰痛として放散痛が表れる。
どちらも緊急性を要する病気ではないが、治療が遅れれば人工透析になり、週数回、一日の大半を病院へ通う時間と透析に取られることになる。
急に痛みが生じた――。そんな時は病院で検査を。
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