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市場規模は5兆円 「BOPビジネス」で成否を分けるもの〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140112-00000004-sasahi-bus_all
AERA 2013年12月30日−2014年1月6日号より抜粋
貧困層向けのビジネス「BOPビジネス」がここ最近、注目されている。「Base of the Pyramid(ピラミッドの底部)」の略で、世界の所得別人口構成の中で、最下層の人たちを対象にしたビジネスを指す。日本総合研究所の創発戦略センターで、企業のBOPビジネスのコンサルティングを手がける渡辺珠子マネジャーによると、世界のBOP層の市場規模は約5兆ドル。そのうち約7割をアジアが占め、世界中の企業が注目しているという。ただ、短期的に利益を求めては成功しない、と渡辺さんは指摘する。
「途上国向けに栄養補助食品を製造できないか」
「電気が乏しい国でソーラー・ランタンを販売したい」
渡辺さんのもとには、日本企業からのこういった相談が相次ぐ。だが、食品製造は水質の問題がハードルになる。工業製品の販売はアフターサービスまで担保できるかが課題だ。それでも、答えは現地にしかない。
「大上段に構えず、現地の生活や悩みに寄り添えば、ヒントは見えてくるはずです」
世界各国の化粧品の広告に、ヘアケアやフェイシャルなど、アイテム別のランキングが載っている。会員数が24万人にのぼるタイの化粧品口コミサイト「コスメネット」からは、キラキラした躍動感が伝わってくる。
運営するのは「バズマーケティング」の若井伸介CEOだ。米国の大学を卒業後、タイへ移住。eラーニングを活用した英会話スクールで働いていたが、2007年に辞め、コスメネットを立ち上げた。きっかけは、上昇志向が強い女性たちとの出会いだった。
「タイでは、女性の方が転職やビジネスチャンスをつかもうという向上心が強い。だから、彼女たちは給料を美容やエステなど自己投資に使う。アッパーミドル層以上では、日本よりも購買力があると感じました」
そこで着目したのが、消費者の「口コミ」だ。化粧品はある程度使い続けないと、肌に合うかどうか分からないが、ブランドイメージで商品を選ぶ人が多かった。使い心地や悩みを共有できるサイトがあれば、支持を得られると考えた。開設から6年。サイトの影響力を無視できなくなった世界の化粧品会社から、新商品アンケートなどを依頼されるようになった。
ただ、気になるのは日本メーカーの存在感の低下だ。欧米の高級ブランドの人気は根強い。だが、主戦場の中価格帯では韓流ブームも手伝って韓国の商品が、低価格帯では有名女優を宣伝に起用する現地企業の商品が圧倒的に選ばれる。
「日本の大手メーカーはいまだに百貨店での対面販売や雑誌広告頼み。メード・イン・ジャパンだから支持される、という時代ではなくなっている。どんなニーズがあるかは、現地の人に直接聞くべき。それは日本もタイも変わらないはずです」
若井さんはそう言う。相談を受けたメーカーには、SNSを使った仕掛けや若者に受ける見せ方の提案をしたり、サイト会員の座談会に招いたりしているという。
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