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変調来す日産の内幕、なぜ一人負け?「ゴーン・ショック」でくすぶるルノーとの提携解消
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140112-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 1月12日(日)8時7分配信
カルロス・ゴーン氏が日産自動車の本社(横浜市西区)にいるのは「月に1週間くらい」である。仏ルノーの社長兼CEO(最高経営責任者)、日産の社長兼CEOに加え、2013年6月からはロシアの自動車最大手、アフトワズの会長に就任したためであり、ビジネスジェットで世界中を飛び回る日々を送っている。
日産・ルノー連合の戦線はさらに拡大している。13年9月、フランクフルトの自動車ショーに、ゴーン氏はダイムラーCEO兼メルセデス・ベンツ会長のディーター・ツェッチェ氏とともに出席。「両社のパートナーシップは急速に進展しており、協業の範囲がますますグローバルになってきている」と胸を張った。日産、ルノー、ダイムラーのパートナーシップは10年4月に締結し、欧州における共同事業としてスタートした。現在は北米や日本で10の重要プロジェクトが進行中という。
ゴーン氏は13年11月12日には日産メキシコ工場の開所式に出席した。同社は16年までに同工場の生産能力を日本に匹敵する年間100万台規模に引き上げる方針だが、14年にはブラジル工場(同20万台)、タイ工場(同15万台)などを次々と稼動させる。
●中国でねじれる、日産・ルノー連合
同年12月にはゴーン氏は中国に飛んだ。ルノーと中国の国有自動車大手、東風汽車集団(湖北省)は12月16日、中国での合弁会社、東風ルノー汽車(資本金:47億600万元<約800億円>)設立で正式に合意した。77億5560万元(1300億円)を投じ、年15万台の生産能力を持つ完成車工場を立ち上げ、16年から量産を始める。多目的スポーツ車(SUV)などを投入し、世界最大の市場である中国でルノーは巻き返しを図る。
ルノーは1990年代初頭に別の中国国有企業と合弁会社を設立したが、販売不振で現地生産を断念。現在は年3万台程度のルノー車を輸出して販売しているだけだ。
一方、日産は03年から東風汽車と乗用車合弁会社を展開しており、中国の乗用車市場では独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)の合弁会社に次いで日本勢トップの4位グループを形成している。
中国市場で決定的に出遅れたルノーが同国市場に参入するということは、日産にとって決してプラスにはならない。日産はすでに東風との合弁会社で生産や部品調達を担当している社員を、競合他社である東風ルノーに派遣させられているからだ。
東風汽車集団は日産、ルノー以外にも本田技研工業(ホンダ)や韓国・起亜自動車とも合弁会社を持っている。本国フランスでルノーの最大のライバルであるプジョーシトロエングループ(PSA)とも合弁提携しており、東風はPSAに資本参加する方向で交渉中だ。
PSAのトップには、ルノー時代にゴーン氏の右腕でCOO(最高執行責任者)を務めたカルロス・タバレス氏が今年就任する。テストドライバーとしてルノーに入社し、COOまで上り詰めたタバレスは、ルノー本社を留守にすることが多いゴーンに不満を募らせていた。自身の権限拡大を要求したが、ゴーン氏がこれを拒否し、2人の対立が決定的になった。「自動車産業に熱意を持つ者なら、いずれナンバー1になりたいと考えるのが普通だ」とタバレス氏は米メディアの取材で発言。激怒したゴーンは13年8月29日、タバレスを解任しCOOの職位を廃止した。
PSAは三菱自動車と提携してロシアに合弁の拠点を持つほか、電気自動車(EV)を三菱自からOEM(相手先ブランドの生産)で調達している。そのため、ゴーン氏とタバレス氏は中国やロシアで全面対決することになり、EVでも競合することになる。
●日産、脱ルノーに向けた動きも
13年11月18日夕、横浜市の日産自動車本社1階の「グローバル本社ギャラリー」で、日産創立80周年を祝うパーティーが開かれた。11月1日にCOO職を解かれ副会長に就任したばかりの志賀俊之氏を、元日産社長の塙義一氏ら有力OBが呼び止めて、「おまえ、会社が変にならないように最後まで責任を持てよ」と異口同音に語った。日産でもCOOはなくなり、ゴーンのワントップ体制になった。同社内からは、この体制に危機感を抱いた若手幹部社員らが、ルノーが保有する日産株式を買い戻す動きを見せ始めているという情報も聞こえてくる。
加えて、日産OB幹部らの間で検討中だとといわれているのが、ルノーの出資比率を引き下げる工作だ。ルノーは日産の発行済み株式の43.4%を保有するが、この持ち株比率を拒否権の及ばない33.4%未満に圧縮し、ゴーン氏以外の経営トップの下で日産として経営の独自性を取り戻すというシナリオだ。ルノーCEOのゴーン氏にとっても、保有株の売却収入を原資にしてルノーの経営立て直しに専念できるという大義名分も立つ。
ルノーが保有している日産株は19億6203万株。出資比率を33.4%未満に下げるには4億5400万株を市場で売却させるか、相対で日産が自己株として取得すればいい。現在、同社株価は900円前後であるため、単純計算でルノーには4100億円のキャッシュが転がり込む計算だ。
ルノーの日産への投下資本は、第三者割当増資とワラント債の引き受けで、合わせて66億ユーロ。現在、持っている日産株式の時価総額は200億ユーロ。差し引き134億ユーロのキャピタルゲイン(日産の株価上昇による利益)を得た。日産からのインカムゲイン(配当金)は30億ユーロほどだ。円安が進んでおり、現在の対ユーロ相場の1ユーロ=140円で計算してみると、9240億円を投資して2兆2960億円の利益を得た勘定になる。ルノー側から見て、投資は大成功だったということになる。
ルノーの業績が良かったのは、日産を買収した当初の、ほんの一時期だけ。その後は、ずっと低迷が続いている。今のルノーは、日産の配当金でなんとか生き永らえている状態だ。13年3月期にルノーが吸い上げた資金は、配当金だけで454億円。14年同期は545億円に達する見通しであり、日産からの配当金と持ち分利益がなければ赤字だ。
日産株を売れば経営権を失うものの、売却による特別利益でルノーの経営再建のための原資を得ることができる。ルノーの大株主であるフランス政府も、国内経済に大きな影響を与えるルノーが立ち直ってもらわなければ困る。だが、周囲に危機感が高まっている一方、ゴーン氏もルノーも、“打ち出の小槌”である日産の経営権を手放す気はないとみられている。
日産は13年9月中間決算の発表時点で、14年3月期決算(通期)の業績について、日本の大手自動車メーカーの中では唯一、下方修正になることを明らかにし、市場関係者やメディアからは「ゴーン・ショック」といわれた。かつての「ゴーン・ショック」は構造改革断行による業績のV字回復に対する称賛だったが、今回は円安の追い風が吹く中での失速に株式市場が驚いたわけだ。この決算発表会見では志賀氏のCOO解任も同時に発表されたが、記者からゴーン氏には「晩節を汚すという日本語を知っていますか」という厳しい質問も飛んだ。
変調を来し始めた日産の動向に、注目が集まっている。
編集部
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