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http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYEA0803B20140109
2014年 01月 9日 13:15 JST
田巻 一彦
[東京 9日] -政府が外国人労働者受け入れ拡大の検討に本腰を入れ始めたようだ。国内の労働者不足が景気拡大のボトルネックになる構図は、震災復興事業が集中する東北地方だけでなく、大都市圏でも顕著になっている。
2020年の東京オリンピック開催に向けた景気浮揚への期待も、このままでは労働者不足が原因となって「絵に描いた餅」になりかねない。私は、規制緩和の1つとして、外国人労働者に対する門戸を大胆に開放する政策を提案したい。
海外の市場参加者も、日本の労働市場の閉鎖性を強く意識しており、もし、安倍晋三首相が門戸開放を決断すれば、日経平均.N225は大幅上昇するとの見方が多い。「第3の矢」の中心に外国人労働者の受け入れ拡大を掲げれば、海外からの日本株投資は急拡大すると予想する。
<深刻な人手不足、公共事業の執行に影響>
大胆な金融緩和を起点に株高/円安が進展したことで、企業や個人のマインドが好転し、アベノミクスの1年目は、安倍首相や菅義偉官房長官がその成果を大々的に強調する展開となった。
だが、ここにきて経済にマイナスの影響を与える現象も目立ってきた。その1つが人手不足による公共事業の執行の遅れだ。2012年度の東日本大震災復旧・復興関係経費の執行率は64.8%にとどまり、13年度への繰越額2兆2030億円・不用額1兆2240億円という巨額が使われないままとなった。
13年度に入っても人手不足がネックになっている執行の遅れは続いていると見られ、いくら巨額の公共事業経費を13年度補正予算案や14年度予算案に計上しても、実体経済に波及しない構図ができ上がりつつある。
<五輪効果20兆円の試算、人手不足なら画餅に>
加えて14年度以降は、東京オリンピックの開催に間に合わせるためのインフラ整備のための公共事業が、首都圏で矢継ぎばやに実施される計画となっている。民間シンクタンクの都市戦略研究所では、全国で121万人の雇用を生み出し、経済効果は約20兆円になり、国内総生産(GDP)を年0.3%押し上げると試算している。だが、労働力不足が顕在化してしまえば、この試算の実現性も大幅に低下することになるだろう。
同研究所の所長で、政府の国家戦略特区諮問会議の民間議員でもある竹中平蔵・慶應義塾大学総合政策学部教授は、昨年12月のロイターとのインタビューで「経済財政諮問会議では、2%の経済成長が必要としている。その場合どれだけの労働人口が必要か。足りないなら責任は内閣府なのか厚生労働省なのか」と指摘。さらに「改革を進めるには既得権益を持つ人々を追い詰める必要があり、今そのプロセスだ。2020年の五輪に向けて、高速道路を作り直すにも労働者が足りない」と述べていた。
政府は、2%成長を達成するために今の労働力では足りない、と率直に宣言するべきだろう。「不都合な現実」を糊塗したまま、好循環の経済を実現すると言っても、説得力に欠けることになると指摘したい。
政府が取るべき方針は、多くの識者から「力不足」と指摘されている「第3の矢」の中心的課題に「労働人口の減少に対応する」と掲げることだ。
<単純労働者も受け入れるべき>
具体的には、政府の産業競争力会議の「雇用・人材分科会」が昨年12月26日にまとめた中間整理の中で示された「技術労働者を受け入れる外国人技能実習制度の滞在期間の現行3年からの延長」について、そこで示されているように2014年央までに結論を出し、法律改正に踏み込むべきだ。
また、その中間整理では「少子高齢化に伴う労働人口減などを踏まえ、持続可能な経済成長を達成していくために必要な外国人材活用のあり方について、必要分野・人数等も見据えながら、国民的な議論を進めていく」と明記された。
政府はこの点を踏まえ、単純労働者についても一定の枠組みを設け、外国人に門戸を開放する「規制緩和」を決断するべきだ。
首都圏の建設現場では、すでに語学研修を名目にした東南アジアなどからの入国者が、かなりの規模で現実に働いているという実態もあるようだ。ブラックボックスの中で不法な長期滞在者が増加するなら、合法的な枠組みを新設して、透明性を高めた対応をする選択肢があり得ると考える。
<外国人労働者受け入れ増なら、株価暴騰の予想も>
政府部内には、法人税率を大胆に下げることで国内での設備投資が活発化し、それを見込んだマネーの流入で株価が上がると期待する声があるようだ。
だが、海外の投資家の中には、高齢化と人口減少が進む日本に対し、市場としての将来性を危ぶむ声が多くなっている。ある外資系証券の関係者は「生産年齢人口の減少に対応した政策を打ち出さなければ、法人税率引き下げの玉も、効果を出さないだろう」と予想している。その関係者は「もし、外国人労働者に門戸を開放すれば、それが日本の大胆な変化と映り、日経平均は暴騰するだろう」と述べている。
安倍政権は、高い支持率と株価の上昇に支えられ、安定した政権運営ができる態勢となっている。もし、ここで外国人労働者の受け入れ拡大を明確に打ち出せば、株価が大幅に上がり、一段と政権基盤が安定化することになるだろう。
政府部内には、外国人労働者の受け入れ拡大に慎重な声が多いようだが、日本経済の活性化には、避けて通れない検討課題であると強調したい。
*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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