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今はなき雪印/(C)日刊ゲンダイ
02年に社名変更 アクリフーズの隠蔽体質は雪印の“亡霊”
http://gendai.net/articles/view/newsx/147094
2014年1月8日 日刊ゲンダイ
マルハニチロHDの子会社「アクリフーズ」の群馬工場(大泉町)で製造された冷凍食品から農薬が検出された問題で、「マラチオン」は基準値の260万倍に当たる2万6000ppmだったことが7日、分かった。群馬県警は内部犯行も含めて工場従業員への聞き取りや監視カメラの解析を進めているが、周辺からは“雪印の亡霊”という声が出ている。
■「雪印冷凍食品」から社名変更
アクリフーズと社名変更しているが、同社はもともと、雪印乳業グループの「雪印冷凍食品」だ。
00年6月に雪印乳業の集団食中毒事件が起き、さらに02年1月に雪印食品の牛肉偽装が発覚。親会社の雪印乳業は廃業・解散となったが、子会社として分社化していた同社は02年10月に社名を変更して生き残った。「雪印の名は再建の足手まといになる」(当時の社員)という理由だった。
しかし、看板を掛け替えても、中身は一緒だ。
「アクリは、03年にニチロ(現マルハニチロHD)に買収されましたが、雪印の企業風土は消えていなかった。今回も被害を過少申告し、商品回収を何とか避けようとする姿勢が垣間見えた。消費者第一と言いながら、実際は利益第一でした」(消費者問題研究所の垣田達哉代表)
なにしろ、アクリ社は消費者からの苦情を把握してから商品回収の公表まで1カ月半も要した。行政側も激怒し、森雅子消費者行政担当相は8日、同社の幹部を消費者庁に呼びつけて改善を指示するほどだ。
そして最大の関心事は、誰が農薬を混入させたかだ。群馬県警によると、外部から混入した可能性は低く、内部犯行説が高まっている。
■ニチロへ身売り直前にリストラ
「アクリ社は、ニチロに買収される直前、神戸市の工場を閉鎖しました。約100人の従業員には、群馬工場に移るか、転職するかの二者択一を迫り、ほとんどをリストラした。恨んでいる元従業員も多いはず」(企業ジャーナリスト)
残った群馬工場も徹底したコスト削減で、操業開始から39年も経った老朽化設備を使用。雪印時代はそれなりに社員にはやさしい会社だったが、現在の従業員280人の雇用形態はほとんどがパートと嘱託(半年更新の期間工)に変わっている。その募集案内を見ると、勤務は朝5時〜深夜23時の交代制で、月額基本給は約14万2000円である。過酷な労働条件だ。
そんなリストラの結果なのか、アクリフーズの親会社のマルハニチロの冷凍食品部門は、業界で市販用と業務用の両方で2年前にシェアのトップに急成長している。
「ある取引業者が話していたが、雪印の社員はスノーブランドにあぐらをかき、鼻持ちならない社員が多かった。そうなると、会社に恨みを持つ内部犯行の疑いが高まりますが、アクリフーズの食品管理体制も問題です。大手の工場はすべて残留農薬などを自主検査する仕組みがある。アクリがコスト削減などでそれをやっていなかったとしたら、さらに悪質です」(食品問題に詳しいジャーナリストの吾妻博勝氏)
果たして恨みを抱く従業員の犯行なのか。アクリフーズはまだ何かを隠そうとしているのか。
群馬県警は工場を実況見分し、約300人の従業員から聴取するなど捜査を進めているが、意外と早く犯人を絞り込めるかもしれない。
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