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http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140108/ecn1401080730003-n1.htm
2014.01.08 森岡英樹の金融スクープ
「これで中小企業の開業・廃業率を10%まで押し上げられるかは、疑問ですね」
ある中小企業コンサルタントがこう指摘する。
全国銀行協会と日本商工会議所が昨年12月に公表した「経営者保証に関するガイドライン」のことである。
アベノミクスの第3の矢「日本再興戦略」で、新事業を創出し、開廃業率10%を目指すことが打ち出されたことを受けて、同年8月以降、検討が重ねられてきた。しかし、現状、4〜5%に留まる中小企業の開廃業率を2倍以上に押し上げるには力不足の感は否めない。
ガイドラインは、中小企業庁と金融庁が同年5月に公表した「中小企業における個人保証等の在り方研究会」報告書で策定が求められていたもので、経営者の思い切った事業展開や早期の事業再生を図る上において、「経営者保証」が阻害要因になっているとの問題意識があった。
ガイドラインはこの点を踏まえ、経営者保証を合理的な範囲に限定することや債務の整理における保証履行の基準が明確化された。保証金額も形式的に融資額と同額とするのではなく、保証人の資産や担保などを総合的に勘案して決められる。
一方、中小企業の7割強は金融機関から融資を受ける際に経営者本人の個人保証を付している。融資の保証については、2004年の民法改正で、保証人が極度や期限の定めなく責任を負う「包括根保証」は廃止され、特定の貸し出しについて保証を求める「特定債務保証」や、期限や債務金額に限度を設けた「限定根保証」が一般的となった。
第三者による個人連帯保証も、金融庁は11年11月に金融機関の監督指針・金融検査マニュアルを改訂し、原則、非徴収にした。残るは経営者本人の個人保証の見直しのみとなっていた。
だが、この動きに対して金融機関は「経営者本人の個人保証は、企業の経営者のモラルハザードを回避するための措置として有効であるだけでなく、仮に経営者の個人保証を廃止すれば、中小企業向け融資は縮小しかねない」(中小金融機関幹部)と危機感を露呈。「経営者の個人保証を付けることで融資金利や期間、融資金額が優遇できるのであって、それがなくなれば厳しく査定することになる」(同)と訴えていた。
もっともそれとは別に、日弁連は、個人保証した経営者が自殺するケースも少なくないことから、民法の規定に個人保証の禁止を盛り込むべきとの意見書が提出されるなど、個人保証の全面廃止を示唆した経緯もある。
中小企業はオーナー経営者が多く、企業の資産と経営者本人の資産の区別が明確ではないケースも多い。
実際、「中小企業では取締役会のチェックも甘く、企業の勘定と経営者の勘定の区分は曖昧なのが実情だ。社長の報酬や接待費なども融通無碍(むげ)なところがある」(メガバンク幹部)。
中小企業経営者のドンブリ勘定を改め、法人と経営者の関係の明確な区分や保証人の資産・収入状況の開示を促す規定が今回のガイドラインで示されている。
ただ、法的な拘束力はなく、自発的に尊重される準則の域を出ない。14年2月に適用が開始されるが、成果が上がるかは未知数だ。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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