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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA0603U20140107
2014年 01月 7日 14:37 JST
[ロンドン 6日 ロイター] -昨年のユーロ圏は、ギリシャで巨額の財政赤字隠しが発覚した2009年以降で最も静かな1年だった。わずか1年あまり前に単一通貨圏の崩壊を予測したエコノミストらも含め、市場のコンセンサスは、ことしも昨年同様に穏やかな1年になるというものだ。
改革の実行に向けた政治的意思は固く、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏を支えると公言して以来、債券市場からの圧力は食い止められており、ことしのユーロ圏は小幅ながらプラス成長が見込まれる。
スペイン、イタリア、ポルトガルが景気後退を脱し、ギリシャも年内に後に続く見通しだ。
それでも警戒すべき理由は十分にある。
<欧州議会選挙>
高失業率と財政緊縮疲れに加え、芳しくない域内の経済成長を背景に、5月の欧州議会選挙は少数政党が躍進する絶好の機会となる。
識者の間では、仏極右政党・国民戦線(FN)、英国独立党(UKIP)、ギリシャの左派連盟シリザなど欧州統合に反対する政党が20%かそれを上回る議席を獲得するとの予想も出ている。
そうなれば、法案の議決が多数決により行われる以上、欧州連合(EU)の主要党派は路線変更を迫られ、欧州の統合プロセスを前進させる能力に疑問符が突き付けられる可能性がある。
野村証券のシニア政治アナリスト、アラステア・ニュートン氏は「議会選挙の結果、主要党派がEU懐疑色を強め、年後半に予定されている欧州委員長の選任や、銀行同盟関連の法案成立作業は複雑化するおそれがある」と指摘する。
<ストレステスト>
EUの銀行同盟創設に向けた当初の計画は薄められたのが明白だ。
つまり、少なくとも今後数年間にわたり、経営難に陥った銀行の資金支援は究極的には自国政府の枠にとどまる。その結果、不健全な銀行と債務国の「死の連鎖」を断ち切れない状況は続く。
11月からユーロ圏の銀行監督権限が一元化されるのに先立ち、ECBは欧州の大手行を対象とするストレステストの結果を公表する。
銀行が資本増強を実施済みであることを考えれば、結果が大きな衝撃を与える可能性は限定的だ。それでも、ストレステストが終了するまで銀行貸し出しは抑制的な状況が続く公算が大きく、景気回復にも妨げとなる。しかも現在の銀行同盟の構造のままでは、将来に危機が再燃する余地が残されたままだ。
<ドイツ憲法裁>
ユーロ圏について明るい見方が広がっている主な原因は、市場がECBの設けたセーフティーネットを試すことに後ろ向きなためだ。ただ、1点のほころびによって事態が急変する可能性もある。
ドイツの憲法裁判所は近く、導入以来一度も活用されたことがないECBの債券買い入れプログラムの合法性について判断する。
同憲法裁はこれまで、ドイツ連邦議会の動きには監視の姿勢を強めながらも、危機対応策を真正面から否定することはなかった。
だが、もし憲法裁が極端な判断を下せば、債券市場は再び単一通貨圏の弱小国への攻撃再開を宣言し、危機は再燃するだろう。
<改革意欲>
ECBは常々、財政難に陥った国が成長に向け必要な債務削減と経済改革法案の成立によって経済立て直しを図るため、ECBが時間稼ぎをしているのだと強調してきた。
一番の火種は10年間にわたる景気停滞と団結力に欠ける連立政権を抱えたイタリアと、新たな景気後退のがけっぷちをさ迷っているフランスだろう。
ベレンベルク銀行はユーロ圏の年次レビューの中で「フランスは欧州の主要国の中で唯一、健康状態に深刻な問題を抱えており、多くの対応策が実施されていない」と指摘している。
オランド大統領は年頭演説で、雇用を増やした企業に対する税負担を軽減する提案を明らかにした。しかし、オランド大統領の支持率は過去最低水準で、大幅な改善は見込めない状況だ。
緊縮疲れが最も強く表れているのは、債務危機の火付け役となったギリシャだ。
連立政権は議会内で過半数を3議席上回るのみで、公的支援に反対する野党シリザは世論調査で支持率を上げている。このため政権は一段の歳出削減を容認しない方針で、財政を持続可能な軌道に回復させるにはさらに債務負担の軽減が必要になるだろう。
<デフレの懸念>
可能性は低いものの、仮にデフレが定着すれば欧州にとって最大の脅威となる。日本型の失われた10年の到来の可能性が高まり、国家債務の返済は一段と困難になるだろう。
ユーロ圏の物価上昇率が0.7%にとどまったことで、ECBは昨年11月に利下げを迫られた。だが、日本が最終的に息を吹き返すきっかけとなった大規模金融緩和策のような対応に加盟国の多くは公然と異を唱えている。
デフレに陥ることがなくても、債務削減計画や構造改革の遅れによって、ECBによる追加の対策実施が必要になる事態も予想される。
ユーロ圏が過去に示した歴史というのは、市場の圧力がいったん和らぐと政策当局者は緊迫感を失い、圧力が強まるとぎりぎりの段階で防御策の強化に走るという事態の繰り返しだ。
コンサルタント会社ルウェリン(ロンドン)のエコノミスト、ラッセル・ジョーンズ氏は「意外なほどに平穏だった2013年と比較すると、2014年はユーロ圏の金融市場にとって一段と困難で危険な年になる。しかし、差し迫ったユーロ圏崩壊の危機を予測するのは体系的に的外れであることが既に証明済みだ」と話している。
(Mike Peacock 記者)
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