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伊藤忠、商社トップ3定着に向け“異色”社長が進める独自経営〜朝残業、非資源シフト…
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140105-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 1月5日(日)7時23分配信
夜の残業禁止など「社員の働き方」改革に積極的な伊藤忠商事社長の岡藤正広氏が、12月1日放送のテレビ番組『Biz+サンデー』(NHK BS1)に出演し、番組内で岡藤氏が発した数多くの“語録”が話題になっているという。その語録とは、「商社は水」「か・け・ふ(稼ぐ、削る、防ぐ)」「経営はハングライダー」「現場主義」「予習型」などユニークなものばかりだ。
特にビジネスパーソンたちを惹き付けたのは、重要な決断をする時の注意点について語った次の言葉だ。
「決断は夜とか天気の悪い時にしないこと。非常に悲観的になるんですよ。特に夜。いろいろ考えていると寝れなくなる。その時に出す結論はどんどん悪くなるんですよね。
やっぱり、さんさんと太陽が照っている時に考えれば、非常に良いアイデアが出てくる。私はこれを実践しなさいと社員に言っているんです。あとは体調も大事ですね。やっぱり、どうも頭が痛いという時に決断したら、正しい決断はできないですね」
伊藤忠では午後8時以降の残業は原則として禁止となり、午後10時には全フロアの照明が消える。「猛烈商社マン」にとって午後8時などいわば宵の口だったが、夜の残業を禁止したのは「太陽が照っている時に考えれば良いアイデアが出てくる」という岡藤氏の経営哲学にもとづくものだといわれている。
「朝バナナ 剥きて輝く ノルマかな」。伊藤忠の若手社員が詠んだ川柳だ。同社本社地下の社員食堂では、夜の残業禁止を受け早朝から勤務する社員に無料でバナナやヨーグルトなどの軽食が振る舞われる。バナナは2013年、同社が1350億円で一部事業を買収した米食品大手、ドールの商品だ。ドールの缶詰・果汁飲料事業とアジアでの青果事業を買収した。
『Biz+サンデー』で岡藤氏は、この買収の狙いについても語っている。
「私は繊維部門でブランドビジネスを手がけてきました。ぜひ食料分野でもブランドビジネスをやりたいというのが、そもそものきっかけです。ブランドは商社にとって非常に大事な役割があり、ビジネス上のイニシアティブが取れるんです。『商社、中抜き』などと言われますが、商社が外されないためにどうするんだと考えた時、ブランドは非常に強いツールになるんです」
岡藤氏は繊維業界では「伝説の繊維マン」の異名をとる辣腕で知られる。1987年、激しい争奪戦をかいくぐり、イタリアの高級ブランド「アルマーニ」の輸入販売権を獲得したのを手始めに、「トラサルディ」「ハンティングワールド」といったブランドの輸入販売を独占。業績を上げ続け、86年度から13年連続で社長褒賞を受賞した。実は総合商社では、岡藤氏のように営業の第一線にずっといた人物が社長に就任することは極めて稀なケースだ。営業を長くやっていると、大きな失敗などでキャリアに傷を負いやすいからだといわれている。
岡藤氏は10年4月に伊藤忠社長に就いた。繊維部門の営業一筋でほとんどの期間が大阪勤務。海外駐在も、社長への登竜門といわれる経営企画部門の経験もなかった。繊維商社から出発した伊藤忠でも、繊維部門出身の社長誕生は36年ぶりのことだった。業界内では、ブランドビジネスで圧倒的な実績をあげた彼の手腕が、会社全体の経営でどこまで発揮できるかに注目が集まっている。
岡藤氏が社長に就任して打ち出したのは「業界3位を目指す」というだ。売上高や純利益の目標を数字で語っても社員は実感が持ちにくい。トップがシンプルに「3位だ」と言えば、社員は競争を意識して、現場で勝負し始めるはずだと岡藤氏は考えた。
●非資源部門シフトで、業界3位を定着狙う
ここ数年、純利益ベースで業界3位は住友商事だった。「住商を抜く」というストレートな表現が社内に浸透していき、12年3月期に連結純利益3005億円を上げ、ついに住商を抜き去った。3位返り咲きは、実に03年3月期以来9年ぶりのことだ。目標達成を受け伊藤忠幹部は「3位、3000億円、3社目(三菱商事、三井物産に次ぐ3000億円超え)と3づくし」と喜びを隠さず、岡藤氏は社員に「特別ボーナス」というかたちで報いた。
これまで大手商社のドル箱事業は資源関連事業であり、伊藤忠も資源ビジネスの鉄鉱石で稼いできた。3005億円という数字が、単なる資源価格高騰による一時的なものなのか、全社的に筋肉質になってきた証拠なのか、それが問われたのが13年3月期決算だった。同期は新興国の景気減速のあおりを受けた資源価格下落の影響をストレートに受けて、大手商社は軒並み減益となった。その中で伊藤忠の連結純利益は6.7%減の2802億円と、資源依存度が高い三菱と三井の落ち込みが大きかったのに対して、減益幅は比較的小さかったが、非資源部門の稼ぐ力が増してきた結果にほかならない。
そして今期(14年3月期)は、非資源分野が貢献し業績回復が鮮明になる。13年9月中間期の連結純利益は前年同期比16.1%増の1651億円。ドール買収の効果も出て過去最高益を更新した。14年3月期の連結純利益の予想は、三菱が4000億円、三井が3700億円、伊藤忠が2900億円、住商が2400億円、丸紅が2100億円。上位2社との差は大きいが、3位の座が定着した。
総合商社が資源の権益を、先を争って買う時代は終わった。岡藤氏の目標は繊維や食品など資源以外の分野で「トップ商社」になることだ。もともと強かった繊維部門は圧倒的な1位であり、食料部門では三菱とトップを争う。繊維、食料の2枚看板に加え、住生活・情報部門を加えた生活消費関連で業界首位を目指す。
伊藤忠は13年4月から始まった新中期経営計画では、8000億円を新規投資し、この内3分の2を非資源分野に充てるとしている。これまでは資源と非資源に1対1の割合で投資してきたが、これからは1対2の割合に逆転させる。ドール買収は投融資を非資源分野にシフトしたことの象徴である。
そして今年、伊藤忠がどのような次の一手を打ってくるのかに注目が集まっている。
編集部
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