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榊原英資『これから7年、先読み! 日本経済』〜第3回〜賃金が上がるにはタイムラグがある
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37938
2014年01月04日 現代ビジネス
榊原英資『これから7年、先読み! 日本経済』第1章より一部抜粋
■賃金が上がるにはタイムラグがある
ここまで消費税増税が避けられないこと、国債依存度が現在のままならば、タイムリミットは10年もないことを強調しました。財政赤字の問題を無視して日本経済のよしあしを論じても、意味がないからです。ただし、この問題は、まだしばらくは一時的に棚上げにすることができます。そして、日本経済は好調な状況が続くでしょう。
2013年11月初旬までに出そろった各社の9月中間決算(13年度上半期)の数字を見ると、トヨタ自動車・日産自動車・ホンダ・スズキ・ダイハツ工業の自動車5社が上期販売実績で過去最高を記録。電機メーカーはパナソニックが過去最高益、日立製作所・東芝・三菱電機も好調。携帯電話大手ではソフトバンクとKDDI(au)が売上高・利益とも過去最高を記録。証券大手5社も大幅増益という具合です。
こうした傾向が続くようなら、14年は、そこそこ経済がよい年になります。
ただし、13年秋の時点では、たとえばタクシーに乗って運転手さんと話すと、「タクシー業界では、景気がよくなった実感はまだまだありませんよ」という声を聞きます。テレビの街頭インタビューでも、「景気がいいというが、私たちの生活は依然として苦しい」と答えている人をよく見かけます。
右に紹介したのは日本を代表する輸出企業や大企業です。しかも、好景気は「景気がよくなり、ものが売れはじめる」→「企業が設備投資など生産を拡大し、賃上げしたり雇用を増やしたりする」→「人びとの所得が増え、さらに景気がよくなっていく」という段階を踏んで、徐々に拡大していきます。賃金の引き上げまでには、必ずタイムラグがありますし、業界や地方によって、まだら模様になることも避けられません。
安倍首相は13年2月、経団連・日本商工会議所・経済同友会のトップと会い、「業績が改善している企業には、報酬引き上げなどの取り組みをぜひ検討してほしい」と要請しました。好業績で前向きな企業もありますが、とりあえずは一時金(ボーナス)で対応するところが多いようです。日本は社会主義国家ではありませんから、政治リーダーが給料を上げてくれといっても簡単には上がりません。
ですから、賃金の引き上げはある程度は実現されると思いますが、あまり過剰に期待するのはいかがなものか、と思います。
■東アジアの経済統合で、景気とは関係なく、賃金が下がる仕事がある
あとで詳しく触れますが、日本の物価、とりわけ日本の賃金が過去10〜20年といったレンジで見て少しずつ下がってきたのは、不景気による単なるデフレーションのせいではなく、日本と東アジアとの経済統合が進んだ結果だからです。
わかりやすく説明すれば、大都市で中華料理店、大衆居酒屋、コンビニエンスストアなどに入ると、外国人の店員が大勢働いています。中国や韓国の出身者が多いと思いますが、彼らと同じ職場で同じような仕事をしている日本人の賃金は、どうしても彼らと同じ水準まで下がります。
サービス業だけが、そうなるわけではありません。繊維工業でも家具製造でも、中国や韓国で製造して日本に輸入した製品と、同じものを日本国内で製造している日本人の賃金は、(製造コストと運賃が同じであれば)中国人や韓国人と同じ水準になって当然です。
これは避けることができません。
第4回に続く
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