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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 見せかけの高額所得者課税
http://wjn.jp/article/detail/9895457/
週刊実話 2014年1月9・16日 合併号
来年以降の税制の大枠を決める、自民党の税制改正大綱が明らかになった。
4月からの消費税率引き上げで庶民の重税感が高まることに配慮したのだろう。今回の税制改正では、高額所得サラリーマンの増税を同時に打ち出した。サラリーマンには収入の一部を必要経費とみなして所得から差し引く「給与所得控除」が認められている。
この給与所得控除の額を高額所得者に限って見直すことにしたのだ。現在は年収1500万円を超えた時点で給与所得控除は245万円の頭打ちとなるが、これを平成28年から年収1200万円を超えた時点で230万円の頭打ちにし、平成29年からは年収1000万円を超えた時点で220万円の頭打ちにするという。
控除額が減るのだから、当然高額所得者は増税になるが、平成29年の時点でも、夫婦と子供2人の4人家族の場合、年収1500万円世帯の増税額は11万円にとどまる。年収の0.7%を増税されるだけなのだ。実は安倍政権は、本気で高額所得者の税金を増やそうとはしていない。その証拠に、本当の金持ちの優遇策には手を付けようとしていないのだ。
例えば証券優遇税制だ。現在の税制では上場株式の配当や売却益には10%の税金しかかからない。所得税だけでなく、住民税も含めて、たった10%でよいのだ。しかも一番の問題は、この優遇税制適用に年収の上限がないということだ。
具体例で言おう。最近、楽天の三木谷会長が保有する自社株を売却した。売却額は100億円にも及んだという。ところが、この100億円の所得にかかる税金は、たった10億円なのだ。いま、普通のサラリーマンの給与には所得税が5%、住民税が10%、そして社会保険料が15%ほどかかっている。つまり、一生懸命汗水垂らして稼いでも3割も持って行かれてしまう。
ところが、三木谷会長の天文学的な所得には、たった1割しか課税されない。税制の基本は、勤労所得には薄く、不労所得には厚く課税するということだ。ところが、今の税制はまったく逆になってしまっている。なお証券税制に関しては、来年から特例がなくなるので、売却益の税率は20%になる。それでも、サラリーマンより低いのだ。
高額所得者の優遇はまだある。退職金の優遇税制だ。現在の退職金課税は、2分の1軽課といって、退職所得控除を差し引いた後の課税所得を2分の1にして課税する。これにも適用金額の上限はない。だから、退職所得が10億円だった場合、半分の5億円にしか課税されないのだ。このことの節税効果は半端でなく大きい。ところが、この2分の1軽課を廃止しようという意見は、今まで出たことがない。この税制優遇でトクをしているのは、高額退職金をもらえるエリート官僚となぜか日本政府に強い発言力を持っているアメリカ系の投資ファンドの社員くらいなのだ。
その他にも、医師の優遇税制や相続税課税の特例制度など、金持ちを優遇する税制が掃いて捨てるほど今の日本にはある。それらには、自民党も政府も一切手を付けようとしない。それは高級官僚や外資や富裕層が、自民党の政治を支えているからだ。結局、税負担増の標的になったのは、庶民の嫉妬が集まりやすいプチ金持ち層だけなのだ。
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