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THE PAGE 12月31日(火)14時33分配信
脱大型車志向はこの10年ずっと続く流れだが、ユーザーの動きを捉えたメーカーが答えを出し、2013年は特に様々な要素が出揃った。自動車業界の2013年を振り返ってみると、様々な面で軽自動車の存在が浮かび上がってくる。すでに「軽自動車大戦争」は始まっているのだ。
軽自動車の比率が40%に迫る
表1は一般社団法人日本自動車販売協会連合会調べによる、普通車と軽自動車の年度ごと販売台数を元に比率を割り出したものだ。2010年がわずかに届かなかったことを除けば、30%代後半を維持し、2013年は限りなく40%に達しようという勢いだ。
自動車の販売ははっきりと二極化を示しており、かつてファミリーカーとして一般的であったコロナやブルーバードといった家族4人乗車を前提としたクラスは、輸入車やハイブリッド、新世代ディーゼル、あるいは独自のブランド性など、何らかのプレミアム性が無いとマーケットで戦えない。結果的に家族のための普通の乗用車は販売数が激減。消滅しかねない勢いになっている。
ではファミリーカーを購入していた層は、いま何を選んでいるのだろうか? 近年の動きではヴィッツやフィットといった小型車へ流入していたのだが、「大きいものは要らない」の流れはさらに加速しており「税制面でも合理的」とばかりに国内最小クラスである軽自動車へシフトしつつある。「いつかはクラウン」的世界観のもと、誰もがより大きいクルマを目指して買い替える時代ははっきりと終わりを告げた。クルマ選びを趣味やファッションの一部と捉えるプレミアム層と、単なる移動手段と割り切る軽自動車層がくっきり分かれたのだ。
メーカー各社の軽自動車シフト
自動車メーカーでもこのトレンドは当然キャッチしており、活発な動きを見せている。象徴的なのは日産のケースだろう。2001年にカルロス・ゴーン氏が日産のCEOに就任した際、「これだけ売れている軽自動車を何故売らない!」と鶴の一声を発し、軽自動車の販売を日産・リバイバルプランの柱のひとつに据えた。元々国策企業的なカラーを持つ日産は、日本の自動車メーカーの中でも特にエリート意識が高く、それまで軽自動車に全く興味を持って来なかった経緯がある。
従来、軽自動車は入門用の代用自動車であり、いずれは軽を卒業して普通車に乗り換えると考えることが常識だったからだ。顧客として考えるのはそれからでいい ── 軽自動車を自動車未満の商品として考える風土がそこにはあったのだ。ゴーン・ショックが無ければ、日産が軽自動車マーケットに進出することは無かった可能性が高い。こうして日産はスズキからMRワゴンのOEM供給を受け、自社ブランドでの販売を始めた。
他のメーカーも黙って手をこまねいているわけではない。トヨタはかねてからダイハツを傘下に収めており、間接的には軽自動車のマーケットに参加して来たが、2011年からはついにトヨタブランドで直接OEMモデルの販売をスタートした。いずれダイハツ製ではなく、純トヨタ製の軽自動車が登場するのではないかという憶測も飛び交っている。販売力に図抜けたトヨタが軽自動車を売るとなれば、マーケットの拡大は間違いのないところ。トヨタの本気度いかんによってはやがて軽自動車の販売比率が50%を超えることがあっても不思議はない。
ホンダは2011年末にN BOXを発売し大ヒットを飛ばした。その後もN-ONEやN-WGNなど矢継ぎ早にシリーズの充実を図り、このクラスで大躍進を果たした。メーカー上位3社の中では軽自動車重視へのシフト速度は飛びぬけている。普通車に比べて販売価格の安い軽自動車は当然自動車メーカーの利益を圧迫する。ホンダは軽自動車の生産を鈴鹿工場に集約することでコストの圧縮を図り、すでに長期的な軽自動車シフトを見こんだ対応を済ませている。
もちろん長らく軽自動車マーケットのチャンピオンとして君臨してきたスズキも、双璧をなして二強を構成してきたダイハツも基幹車種のモデルチェンジやブラッシュアップを図ってこれを迎え撃つ体制を整えている。
東京モーターショーでも「主役」
こうした流れを見て行くと、2013年は各社が軽自動車マーケットに打った布石が、まさに色鮮やかに具現化してきたタイミングだった。ユーザーにとって軽自動車がより現実的な落とし所であるのと同様、日本の自動車メーカーにとって、激しい主戦場のひとつとなったのだ。
軽自動車が「主役」だった2013年 クルマ業界振り返り
それは2013年の東京モーターショーからも見えて来た。ダイハツは軽規格のオープンスポーツカー「コペン」のニューモデルを東京ショーで発表した。2002年にデビューした初代コペンは同社にとって特別中の特別なモデルだ。これだけ広く老若男女から愛され、企業イメージを押し上げたモデルはダイハツ史上にかつてなかったからだ。軽のスポーツカーという特殊なクルマは台数が売れないので、量産効果が上げにくく利益も出にくい。それでもデビューから11年に渡って赤字を度外視して生産し続けたのは、コペンがダイハツのブランド力に直結することを明確に認識していたからだ。極端に言えば、トヨタ傘下にあってダイハツの存在意義を担う役割が新型コペンに期待されており、一方でダイハツの軽自動車全体のフラッグシップの責務も果たさねばならない。それだけのモデルのフルモデルチェンジに力が入らないわけはない。
もう一台の注目モデルはホンダのブースに現れたコンセプトカーだった。事前情報で「ビート」の再来と期待が集まったこのクルマは、奇しくもコペンと同じオープン・スポーツカー「S660」である。ビートとは、1996年の生産終了以来、ほぼ20年経過した現在でもマニアに支持されているミッドシップの軽規格スポーツカーだ。
しかしながらふたを開けてみると、S660は走行できない実寸大の模型に過ぎなかった。つまりS660はあくまでもモーターショー用のデザイン提案であって、コペンの様な市販モデルでないばかりか、現実の道路を走るための法的、実用的要件を満たしておらず、製品化前提の練り込みは全くなかった。具体的な生産まではまだ遠い状態であると言える。
ところが、そのボディサイズに何やら秘密のにおいがする。実寸を計測したわけではないが、S660は見る限り軽自動車の全幅制限1.48mを超えている。何故このサイズで作ったのかについてはふたつの理由が考えられる。ひとつは純粋なショー専用モデルとして、とにかくカッコ良く見えることを優先したという可能性。もうひとつは軽自動車法制の変化への対応だという見方だ。
すでにニュースなどでご存じの向きも多いだろうが、軽自動車税は値上げが決まっている。当然、販売上不利になる自動車メーカーも黙ってはいまい。水面下で丁々発止の交渉が続けられていると見るべきだろう。もしかするとそこで検討されている新たな基準がS660のボディサイズに何らかの影響を与えている可能性も排除できない。
軽自動車が「主役」だった2013年 クルマ業界振り返り
ターニングポイントになった2013年
いずれにせよ、東京ショーの主役が軽自動車であったという事実は変わらない。ここでは詳しく取り上げなかったがスズキからは「ハスラー」と名づけられた多目的SUVも登場した。前述の2台も含め、決して実用一点張りのモデルではない。これまで「安くて広い」が唯一の価値であった軽自動車に、様々な付加価値を加えたバリエーションの展開が始まったことは「お金がないから軽自動車」という概念では軽自動車が捉えられなくなったことを表している。2013年はそのターニングポイントとなった年なのだ。
だいぶ長くなったので、前編はここまでとしよう。以下続編記事では、新たな軽自動車税制の行方と世界の小型車動向を考えてみたいと思う。軽自動車にはジャパン・アズ No.1を再び勝ち取るチャンスが隠れているのだ。
(池田直渡/モータージャーナル)
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