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http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131227/ecn1312270723002-n1.htm
2013.12.27 「お金」は知っている
ことしの日本経済を大きく動かしたのは、本連載のタイトルのように「お金」であり、「少しは先見の明ありだな」とひそかに自賛したくもなるが、その原動力はもちろんアベノミクス。とりわけ「第1の矢」、日銀の異次元金融緩和策である。お札を大量に刷る緩和策の効果やいかに。
日銀は11月までの1年間で65兆円もカネを発行して、金融機関から主に国債を買い上げてきた。市中にあふれるカネはどこに向かうか、まずは株式市場である。もちろん、直接に日銀マネーが金融機関経由で株買いに充当されるわけではないが、量的緩和はドルなど他通貨に対する円安を招き寄せる。米欧の投資ファンドを中心にした外国投資家は円安=日本株買いという自動売買プログラムを稼働させるので、株高が導き出される。かくして、日経平均株価は75%上昇し、東京証券取引所の株式時価総額は11月末で187兆円膨らんだ。
ではわれわれが働いて所得を得て、消費する実体経済にどれだけカネが回ったのかをグラフで追うと、まず銀行の資産は37兆円、預金は25兆円増えた。日銀が銀行から国債などを買い上げた分、銀行は資金を受けとるが、その97%、63兆円はそのまま日銀の当座預金にとどめ置かれる。
なにしろ、日銀はこの銀行の余剰資金に0・1%の金利を払ってくれるので、銀行は積極的に貸し出しに回さなくてもよい。従って、貸出増加額は日銀資金供給増加額の22%以下の14兆円にとどまっている。
ところが、多くの金融機関は国内よりも海外向けに融資するのは熱心である。企業の対外投資を含め、日本の対外金融資産は9月末で総額130兆円、海外の対日金融資産増加分を差し引いたネットで24兆円増えた。要するに、日銀がお金を刷れば株式市場は活気づくし、ニューヨークなど国際金融市場から大歓迎されるのだが、国内の消費や生産には少ししか回らない。
実体経済を表す名目国内総生産(GDP)はこの7〜9月期で前年比9・7兆円、率にして2%強上がったが、それに寄与したのは主に公共投資である。1〜9月の同伸び率は0・58%にとどまる。量的緩和が民間消費や企業の設備投資を押し上げるには至っていない。
そんなありさまだから、4月に消費税が大幅に引き上げられる来年の景気が気掛かりだ。「消費増税はアベノミクスを殺す」とみて、増税の見送りを強く安倍晋三首相に進言してきた筆者として、改めて消費増税を撤回しろ、と言いたくなる。
ここまで増税路線を推進してきた手前、後戻りするわけにいかないのが政治の現実だろうが、機動性という本来の経済政策原則に回帰すればよい。来年4〜6月期以降、景気が急下降するなら、安倍政権は急遽、中間層向けの所得税減税など、大胆な方向転換に踏み切るべきだ。そして、2015年10月の消費税再引き上げを撤回すべきだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)
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