http://www.asyura2.com/13/hasan84/msg/630.html
Tweet |
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131226/ecn1312260724000-n1.htm
2013.12.26 経済快説
年の瀬には、判で押したように来年以降の「予想」が記事になる。記事の取材は、12月の2週目ごろを中心に行われて、週刊誌の場合、今週発売号辺りで発表される。「総予測」とか「大展望」といった大げさなタイトルで特集になる。
来年、あるいはそれ以降の何年かの展開が予測できるなら、読者としては大いに興味のあるところだろうが、この種の特集記事の予測は、残念ながら、未来の見通しとしては参考にならない。
発表される専門家の予想から読めるのは、過去と現在までの事柄だけであり、未来ではない。公開されている専門家の予測は、全て「現在起こっていることは何か?」という文脈で読み直すべきだ。
筆者も、しばしばこの種の予測特集に関連した取材を受ける。自分の限られた情報と能力を使い、それなりに努力して予想を述べるが、当たるとすれば、たまたまだ。
例えば、昨年の12月に、あるテレビ番組で、今年の年末の日経平均を1万4000円、ドル・円の為替レートを105円と予想した。振り返って、自分でも「異例に」よく当たった方だと思う。
この予想の根拠は、(1)アベノミクスが円安・株高を「手段」として使う経済政策であるとの理解(2)円高不況の後に金融緩和で株高という流れが1980年代後半と似ていると思ったこと(3)リーマン・ショック前の相場水準を考えると米ドル・円で110円程度までの円安は国際的に問題ないと考えたこと、の3つだけだ。
これらは、その時点で、筆者でなくても誰でも思いつく内容だった。そして、その後の推移にあって、これら以外に大きな影響を及ぼす事柄が起こる可能性は大いにあった。想定外に重要な出来事が起こらなかったのは幸運な偶然に過ぎない。
他方、この見解は、その時の状況を理解する参考にはなったかもしれないとも思う。「予想」の言説に価値があるとすれば、最大その程度だ。
最近翻訳が出版され、年末読書の推薦本として筆頭のネイト・シルバー著「シグナル&ノイズ」(川添節子訳、日経BP)も取り上げているが、経済や市場の予測にあたって、専門家は、一般人よりも予測に自信を持っているが(予想する「範囲」が狭い)、予想自体の的中度は一般人と変わらない。
一般に、人間は、自分の能力(特に予測力)を過大評価する傾向がある(「オーバーコンフィデンス」と呼ぶ)が、この傾向は、専門家の方が素人よりも強い(加えて、男性の方が女性よりも強い!)とされている。
また、そもそも確実に儲けにつながるような予想なら、人が他人に教えるはずがない。予想(よそう)は反対に読むと「嘘よ!(うそよ)」という程度のものなのだ。 (経済評論家・山崎元)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。