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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131226/dms1312260724005-n1.htm
2013.12.26 「日本」の解き方
米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、量的金融緩和の縮小を決定した。具体的には、来年1月から市場から購入する債券の金額を現在の月850億ドル(約8兆8000億円)から100億ドル減らし、月750億ドルとする。緩和のスピードをダウンさせただけで、緩和傾向であることに変わりはない。
足元の11月の経済指標をみると、基本的な物価動向を示す米国コア消費者物価指数(食料・エネルギーを除く)は前年同月比で1・7%、失業率は7・0%だ。それを踏まえた上で、今回の決定の背景、縮小のタイミングや縮小幅、市場へのメッセージの送り方を解説しよう。
FRBの金融政策はフレームワークが簡明で、しかも政策のための条件を数量的に明示しているので、方向性はクリアだ。また、ここ数カ月で失業率が急速に低下して、11月には7・0%にまで下がった。これも、量的緩和の効果がはっきり出ているもので、これを踏まえた上での政策決定である。
本コラムの読者なら、金融政策の効果には遅れ(ラグ)があることをご存じだろう。マネタリーベース(中央銀行が供給する通貨)を拡大しても、予想インフレ率の上昇・実質金利の低下が実現するまでにはラグがあるし、それを受けた消費、投資、純輸出の増加など実物経済の変化や、その後のインフレ率上昇、失業率低下にもラグがある。
米国経済の場合、リーマン・ショック後のマネタリーベースと失業率の関係には1年程度のラグがある。FRBがマネタリーベースを増加させると、1年ぐらいたって失業率が低下し始めるのだ。その関係は相関係数0・9程度と高い。
つまり、その関係を使うと、ほぼ1年後の失業率を予測することができるのだ。今のマネタリーベースの増加では、来年末の失業率は6・5%程度である。ここあたりで、緩和スピードをダウンさせないと、失業率が6・5%を大きく下回り、その代わりにインフレ率が高くなる可能性がある。
当面の失業率はそれほど下がらないし、インフレ率も高くならないが、1年先をみると、そろそろ緩和スピードの調整が必要になっており、今回の政策変更になったということだろう。こうした先の見通しは、FRBの公式資料にも出ている。2014年の失業率見通しは6・3〜6・6%になっている。
ただし、あまりに急激な政策変更は実体経済に悪影響を与える恐れもある。そこで定量的には微量であるが、緩和スピードダウンのメッセージとして、切りのいい「100億ドル」だけ減らすことになった。
今回がバーナンキ議長の最後の会合であることから、花道論という見方も日本のマスコミには多いが、それはFRBの資料を読んでいない。学者議長のバーナンキ氏らしく、あくまで最近の雇用情勢の改善を踏まえ、1年後の経済状況を定量的に見通した上での経済合理的な判断である。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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