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米「出口戦略」に引っ張られる「異次元緩和」 【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
http://gendai.net/articles/view/news/146792
2013年12月20日 日刊ゲンダイ
実体経済は上向いてない
米国が量的緩和の縮小にカジを切った。米連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)で、量的緩和第3弾(QE3)の規模縮小を決定。ゼロ金利政策を続ける一方で、出口戦略に乗り出すとしている。
「異次元の緩和」を続ける日本も、いずれ出口に向かわざるを得ない。日銀は2%の物価目標を掲げている。それまでは緩和を続けるとしているが、米国が動いたことで、縮小機運が高まる可能性は大いにあるだろう。
政府は12月の月例経済報告で「デフレ」の表現を削除するそうだ。8月以降、「デフレ状況ではなくなりつつある」としてきたが、物価下落が続く状況ではなくなったと判断。4年2カ月ぶりに不採用とする。物価目標のクリアに向け、着実に前進しているとみているわけだ。
だが、はたして実体経済は、本当にデフレ克服に向かっているのだろうか。どうもそうは思えない。
国交省が発表した2013年の基準地価を見ると、全国の全用途平均は1.9%の下落。3大都市圏は上昇しているが、それも0.1%と微々たるものだ。商業地は回復したものの、住宅地は下落が続いている。
雇用もサッパリだ。所定内給与は減り続けているし、製造業の正規労働者数も下落が止まらない。増えているのは、生活が安定しない非正規社員ばかりである。
設備投資も足踏みだ。日銀の12月短観にある2013年度設備投資計画によると、製造業の全17業種のうち、鉄鋼や自動車など10業種が下方修正した。政府は盛んに設備投資減税を打ち出しているが、企業の関心は海外にある。国内で投資を増やそうという流れは生まれていない。
さまざまな指標を見れば、国内の実体経済が縮こまっているのは明らか。消費者物価は上がっているというが、これは円安に伴う輸入物価の上昇が引き金だ。需要が物価を牽引しているわけではない。現状は「デフレ」を削除できるような姿になっていないのだ。
それでも「デフレ脱出」を宣言し、そろりと金融緩和の出口に向かうようなら、いつまでたっても実体経済が元気を取り戻すことはないだろう。
【高橋乗宣】
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