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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131220/dms1312200720001-n1.htm
2013.12.20
北朝鮮で金正恩第1書記に次ぐ事実上のナンバー2だった張成沢(チャン・ソンテク)前国防委員会副委員長が粛清された。クーデターを企てたという名目で死刑とされ、即時処刑された。
こうした粛清は、独裁国家では日常茶飯事だ。特に新たな独裁政権が誕生した際には、将来自分を脅かしそうな存在に対して行われる。そして、粛清は関係者すべてに徹底的になされるのが特徴だ。もし取り逃がしたら、その反撃を食らうからである。
11月に張成沢氏と会談したアントニオ猪木参院議員は、「よく分からない。北朝鮮も神経質になっているときなので余計なことを話さず、言葉を控えたい」というが、当然だろう。発言によっては、張氏の関係者をあぶり出すことになりかねないからだ。訪朝時に打診した国会議員団訪問の受け入れなどについては、北朝鮮側から「約束はまったく変わらない」と返答があったというが、果たしてどうだろうか。対外的には、そう言わざるを得ないが、従来と同じというわけにはいかないだろう。担当窓口役の交代などがこれから始まるだろう。
今回の粛清で思い出されるのが、2009年11月30日に通貨の価値を100分の1にするデノミ政策を実施し、それによる経済混乱の責任で粛清され、公開処刑された朴南基(パク・ナムギ)氏だ。デノミは張成沢氏が主導したが、トカゲの尻尾切りに終わった。当時、張氏が金正恩氏の指導係であったからだ。それが今回は、当時のことまで処刑の理由とされている。
本来ならばデノミの失敗は、経済や物流などの分析をして経済政策を立案することができない政府の無能さを示すもの。担当者を死刑にしたところで、政府が組織としての体をなしていないという問題は変わらない。
張成沢氏は、北朝鮮の経済改革や対中外交・貿易を担ってきたので、その関係者の粛清が出てくると、北朝鮮の経済運営がうまくいかなくなる。ここが市場経済と国家統制経済との違いだ。市場経済なら、分権的なので中央の担当者がいなくても問題はないが、国家統制経済は中央集権的であるから中央の管理者の不在は大きな損失につながる。これから北朝鮮は経済で行きづまるのは確実だ。
そして、粛清は繰り返されるのがこれまでの歴史だ。ロシア・旧ソ連ではレーニン、スターリン体制下で弾圧や粛清が続いた。恐怖政治は恐怖がなくなったら終わりなので、恐怖を与え続けるのだ。
北朝鮮の場合、金正恩体制を維持するために、短期間で粛清が繰り返される可能性がある。それは結局、金正恩体制の崩壊につながる可能性を秘めている。
北朝鮮の軍部の暴走などが現実のものとなり得る中、中国もコントロールできない状況で、当面の対応として中国と韓国が協調して北朝鮮の押さえ込みにかかるかもしれない。
こう考えると、独裁者の粛清は決して合理的ではないのだが、すでに先の読めない状況に陥ってしまっているのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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