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転載する記事は、「アメリカの富裕層がますます豊かになり、所得格差は広がり、貧困層がただならぬ割合にまで達している」と表現しながら、「格差が広がる要因ははっきりしない」と書いている。
そのような状況の善悪判断は別として、「アメリカの富裕層がますます豊かになり、所得格差は広がり、貧困層がただならぬ割合にまで達している」のが現実なら、説明できる要因は限られている。
1)経済成長あり:生産される(稼ぐ)付加価値(給与・賞与・配当・利子の原資)の増加分を超えて富裕層が、付加価値をより手に入れている。富裕層以外は、従来よりも手に入れる付加価値が減少してきた。
2)経済成長なし:生産される(稼ぐ)付加価値の配分が、労働者に薄く、経営者・投資家・金融家に厚い内容に変更されてきた。
このような説明は一般論でしかないから、ちょうどリーマンショックによって分けられるブッシュ時代とオバマ時代の違いを考える。
サブプライムローンを含む“住宅バブル”期(ブッシュ時代)は、アフガン・イラク戦争特需や旺盛な住宅建設を軸とした実需があり、住宅価格の上昇に伴う借り入れ許容額増加や株価上昇による資産増価がもたらした消費増大もあるという経済成長の両輪性があった。
しかし、リーマンショック後(オバマ時代)は、“金融システム崩壊”という緊急事態に対応した財政資金投入、その後も低迷を続ける経済状況に対するFRBの量的金融緩和政策(QE)に支えられた経済の動きになっている。
米国経済の回復と言っても、QEが生み出す“カネ余り現象”による株価上昇が「消費微増」→「雇用微増」をもたらすというレベルのものでしかない。ドル紙幣を大量に抱える金融家の投機活動のおこぼれを株式保有の一般国民が享受し、それがもたらす消費行動の活発化が小売やサービスの雇用増加に貢献しているという図式である。
産業と異なり、小売業やサービス業の生産性は低く、雇用条件が悪化していることと相俟って、そこに従事する労働者の給与はひどく悪い。フルタイム就業でも月額700ドルという水準はざらで、日本と違い消費者物価が上昇している米国では、フードクーポンの助けでなんとか暮せるフルタイム労働者も多い。
米国では産業の再生や国内回帰も語られているが、その一つの要因でもあるシェール関連の労働者を別にすれば、賃金水準が下がったことが産業の再生や国内回帰の要因になっているとも言える。
所得格差の急拡大は、米国経済がQEによる下支えから脱却できる条件である就業者の増加と失業率の低下が実現できたとき抑制されるようになるだろう。
金融家や投資家が荒稼ぎした金融利得が多数派国民にもトリクルダウンしていくという状況が米国経済を支えている限り、所得格差の拡大ペースは止まらない。
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[ニューズウィーク日本版12・24 P.18]
ブッシュ時代より超格差社会が加速中
オバマ米大統領は先日、ワシントンの貧困地区にあるコミュニティーセンターを訪れ、残りの任期は所得格差の是正に打ち込むと誓った。だがその意欲と現実には大きな「格差」がある。
アメリカの富裕層がますます豊かになり、所得格差は広がり、貧困層がただならぬ割合にまで達しているのは、もはや驚くほどのことではない。ただし、真剣に憂慮すべきは、その格差拡大が急速に進行していることだ。
格差を示す単純な目安の1つは、所得を順に並べたときに中問に来る中央値と平均年収を比べてみることだ。平均値が高ければ高いほど、所得格差が大きいことを意味する。ここ何年も、平均値は中央値に対して跳ね上がっている。つまり所得の上位半数の層に対して下位半数が中央値の足を引っ張り、貧富の格差が拡大しているというわけだ。
01〜08年までのブッシュ政権下では、この差の中央値に対する比率の上昇率は年平均0.28だったが、09〜12年のオバマ政権1期日は1.24ポイントになった。ブッシュ時代の約4.5倍だ。
格差が広がる要因ははっきりしない。一部の保守派は、格差は能力と労働意欲の差の表れだとして、この問題を軽視。だがリベラル派は、所得格差が小さかった50年前にも能力と労働意欲の差はあったはずだとして、富裕層を優遇する税制など政府の政策を非難する。
いずれにせよ確かなのは、格差が広がれば広がるほど、元に戻すのは難しいということ。そして間違いなく、これはオバマの手には負えない問題だ。
アナ・バーナセク
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