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第4世代携帯電話の広告。中国政府は高速通信網の整備を急いでいる=5日、上海(ロイター)
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131218/ecn1312180724004-n1.htm
2013.12.18 森岡英樹の金融スクープ
中国の工業・情報化部(省)は4日、中国移動通信、中国電信、中国聨合通信の国有携帯3社に第4世代(4G)携帯電話「TD−LTE」サービスの事業免許を与えた。3社は北京や上海など大都市で商用サービスを開始し、年内に全国100都市に通信網を広げる計画だ。
中国の携帯電話利用者は12億1600万人と世界最大。しかし旧式の第2世代(2G)が7割を占め、サービスの高度化が遅れている。このため政府は巨費を投じて一気に先進国並みの高速通信網の整備を進める。
今回の国有携帯電話3社に、中国政府が4Gを認める背景には、日米が中心となって推進している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をにらんだ戦略がある。TPPでは関税の撤廃のほか、投資や商取引のルール、知的財産権などの共通化がテーマとなっており、将来的には中国の参加も視野に入っている。
だが、TPPに中国が参加することは、日米が主導する投資や商取引ルールにくみする必要が生じ、覇権を目指す中国としてはリスクが大きい。そのため参加前に独自の「チャイナスタンダード」を構築することで対抗する考えがある。その象徴が携帯電話事業で、「携帯事業におけるチャイナモデル、チャイナスタンダードを確立するため、国有携帯3社を育成している」(大手商社幹部)とみられている。
携帯3社は基地局などインフラ整備に総額5000億元(約8兆3500億円)を投資し、数年以内にサービス提供地域を全国400都市以上に広げる構想を持っている。通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)などの中国企業を中心にインフラ整備プロジェクトが動き出している。
中国は2国間のFTA(自由貿易協定)には興味があるものの、“広域FTA”のTPPには表面上距離を置いている。だが、これまでの中国の高度経済成長が、WTO加盟を契機に大きく進展したことは紛れもない事実。いずれTPP参加が俎上に上ろうが、TPPには安易に参加できない。なぜなら、TPPは共産主義の中国の在り方そのものを変革しかねない劇薬だからである。
TPPは技術の特許や商標などの知的財産権や環境規制も対象となっている。中国はこれに耐えられるのか。また、自由貿易のベースは私的財産権の保証にあるが、中国では私的所有は基本的に認められていない。さらに、TPPは最終的に通貨問題へ行き着くとみられ、人民元の自由化は避けて通れない。
内閣府の試算によれば、世界のGDPに占める割合は、中国が2009年の8・3%から30年には23・9%に高まる一方、日本は8・8%から5・8%へ、米国は24・9%から17・0%へそれぞれ低下すると見込まれている。台頭する中国を資本主義の世界に取り込むプラットホームがTPPの本質といっていい。
中国もそのことを認知し、かつ警戒している。携帯電話事業でのチャイナスタンダードの構築を急ぐ背景もここにある。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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