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http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131216/frn1312161636007-n1.htm
2013.12.16
韓国で外資系金融機関の事業縮小、撤退が相次いでいる。英金融大手HSBCが小口金融(リテール)から撤退するほか、シティバンクは20店舗以上を閉鎖するなど、まるで韓国から逃げ出すような撤退ラッシュが続く。「金融市場に影響を与えることはない」(シンクタンク)と平静を装うが、韓国経済が劇的に上向く要素は乏しく、撤退の動きは収まりそうもない。
■店舗閉鎖、事業縮小、希望退職…
英HSBCは7月、リテール業務の新規顧客の受け入れを停止。韓国国内の店舗の大半を閉鎖し、現在は法人営業に軸足を置いている。韓国シティバンクは業績不振を理由に昨年末から店舗削減に乗り出し、今年9月末までに20店舗以上を閉鎖。さらに子会社において希望退職、一部のサービスからの撤退などリストラを進めているという。
英スタンダード・チャータード銀行は8月、業績不振に陥った韓国スタンダード・チャータード銀行が支店数を約100店舗削減するとともに、営業権の帳簿価格を大幅償却する方針を決めている。
朝鮮日報(電子版)によると、2003年以降、銀行13行、保険会社5社、証券会社6社、資産運用会社4社など、計31の外資系金融機関が韓国を離れた、という(今年8月時点)。
■世界の流れと異なる金融規制に困惑
その上で撤退ラッシュについて、韓国金融研究院が公表した報告書の『韓国の金融規制が、過剰また韓国人と外国人間の不平等といった問題ではなく、国際的な整合性が不足しているという問題がある。規制の予測可能性や一貫性の問題も外資系金融機関の韓国離れと関連が深い』といった分析を引用している。
つまり、韓国の金融規制が欧米を中心とするグローバルスタンダードとかけ離れ、その時々で変更されるため、外資系金融機関の営業に支障が出ているというわけだ。日本の金融関係者は「確かに金融研究院が分析しているような理由は大きい。それが店舗閉鎖や事業縮小の要因となっているのは間違いない」と指摘する。しかし、その上で「ただ、それだけなのか…」と疑問を呈す。
■ウォン安で実力以上の国際競争力
韓国の国内総生産(GDP)は、8四半期連続で前期比1%増を下回った後、今年4〜6月に1・1%増を記録。7〜9月も1・1%増と横ばいを維持しており、経済は上向きつつあるとみられている。
2000年代以降、サムスン電子や現代自動車などが躍進し、脚光を浴びた韓国経済。しかし、これは韓国政府の為替介入による通貨安(ウォン安)政策で輸出競争力を高めただけ。サムスンやLG電子などの低価格戦略などで煮え湯を飲まされた関西の家電メーカー関係者も「韓国企業の実力は政府のウォン安誘導でかさ上げされていた」と話す。
韓国ではGDPに占める10大財閥の割合が7割超に達し、サムスン電子グループだけで2割超という。しかも、サムスンの約7割はスマートフォン(高機能携帯電話)といわれ、サムスンのスマホがつまずけば韓国経済がつまずくという危うさをひめている。
■経済成長率は117位に後退
一国の経済としてはきわめて脆弱(ぜいじゃく)な状況からか、米中央情報局(CIA)が毎年まとめる「ザ・ワールド・ファクトブック」によると、12年の韓国の経済成長率は189カ国のうち117位にとどまった。
10年は57位、11年は102位と08年の米リーマン・ショック後は年を追うごとに後退。来年についても10月に国際通貨基金(IMF)は、韓国の成長率見通しを下方修正している。
関西で働く大手銀行関係者は「経済が低成長になり、うまみがなくなったのではないか。欧米系の銀行は商業銀行でなく、目先の利益を追いかける投資銀行が多い。M&A(企業の合併・買収)などのニーズが減っているのだろう」と推測する。
今年2月に発足した朴槿恵(パク・クネ)政権は、情報通信技術と科学技術をベースに、新製品・新サービスを生み出して雇用を拡大するという経済政策「創造経済」を打ち出した。同時に財閥系企業の優遇を改める方針を示したが、いずれも効果が上がっているとは言い難く、相変わらずの財閥頼み、サムスン頼みが続いている。
外資系金融の相次ぐ撤退について、朝鮮日報によると韓国金融研究院は「韓国の金融市場に大きな影響を与えない」と見方を示しているという。しかし、撤退ラッシュは一段落したわけではなく、日本の金融関係者は「現状のままなら外資系金融機関は再び増えることはあり得ない。今後も縮小に動くだろう」と突き放すように話した。
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