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2013年12月15日
最近、富山県在住の読者さんに知らせていただいたが、パナソニックは国内の半導体主力3工場を分社し、イスラエル・ファウンドリー企業(タワージャズ)に株式の過半を売却することで合意した。
売却の対象は富山県魚津市、同県砺波市、新潟県妙高市にある3工場。
海外の半導体工場もシンガポール企業に売却する方向で交渉に入ったそうである。
ちなみにファウンドリーとは半導体チップの製造を専門に行う企業。
パナソニックが不振の半導体部門を切り離す経緯については分からないが、プラズマテレビの生産終了やスマホ事業の縮小計画等で社内構造改革の結果らしい。
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毎日新聞2013年11月28日の地方版
従業員の雇用は守られるのか−−。
パナソニックが、国内3カ所にある半導体の主力工場を別会社化し、株式の過半をイスラエルの半導体受託生産大手「タワージャズ」に売却する交渉を進めていることが分かった27日、対象工場のある妙高市では、先行きを不安視する声が関係者から上がっていた。
交渉は、不振の半導体事業を切り離し、収益改善を図り、経営資源を自動車や住宅など競争力のある事業に集中するためで、別会社化するのは、富山県砺波市、同魚津市、妙高市の工場。社員計約2500人は原則新会社へ転籍させて雇用を維持するとしている。
(中略)
一方、同市観光商工課も成り行きを注意深く見守っている。同課によると、午前9時すぎに工場の担当者から電話があり、「半導体事業に関する報道内容は当社が公表したものではない」などと説明を受けたという。
同課の後藤芳春課長補佐は「(別会社になっても)従業員の雇用が確実に確保されるのかが心配だ。雇用は継続されたとしても賃金水準が維持されるかどうかも分からない」と心配していた。
推移を見守りながら、雇用問題に発展すればハローワークと連携して対応するという。妙高市の工場には関係会社を含む約900人の従業員が働いている。その約9割が上越、妙高市在住。【長谷川隆】」
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20131128ddlk15020029000c.html
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さて、この出来事をテレビや大新聞などのマスメディアがどれほど問題視したのか分からないが、安倍成長戦略(第3の矢)を鑑みて決して看過できない動きであることは念押しできる。
今年の6月に閣議決定された“日本再興戦略”の産業競争力強化法において、税制権限措置への要望が10月に取りまとめられた。
それをみると、経産省は来年2014年の税制改正で、次の3つの投資減税の創設を要望している。
@ ベンチャー投資促進税制
A 事業再編促進税制
B 生産性向上設備促進税制
この中で、Aの「事業再編促進税制」は、出資会社の財務負担軽減の税制措置が予定されている。
経産省が計画するこの「事業再編促進」が実は禍々(まがまが)しい曲者であることを自覚したほうがいい。
この税制優遇措置には次の項目が入っている。
1、 合併
2、 会社分割
3、 株式交換・移転
4、 事業もしくは資産の譲り受けまたは譲渡(外国におけるこれらの譲渡も含む)
5、 出資の受け入れ
6、 他社の株式等の取得
7、 関係事業者の株式等の譲渡
8、 外国法人の株式等の取得
9、 外国関係法人の株式等の譲渡
10、会社もしくは外国法人の設立または清算
11、有限責任事業組合に対する出資
12、保有する施設の相当程度の撤去または相当程度の廃棄
この12項目を注視すると、今回のイスラエル「タワージャズ」社によるパナソニックの半導体工場の買収が重なってくる。
国家戦略特区法も産業競争力強化法も企業活動の活性化において“投資”が前面に出ているが、実はそれと並んで、事業再編という名目で企業合併や企業買収の振興が本命とーなっているような気がして仕方がない。
つまり、安倍政権成長戦略の本当の目玉が、外国資本による日本企業の乗っ取りが企てられているのではないだろうか。
この前段階となっているのが、2007年5月に解禁された三角合併であり、その後外資による邦人企業のM&Aが増大した。
今回の安倍成長戦略はその集大成を狙っているような感がある。
松下電器産業(株)が現社名「パナソニック」に替わったのは2008年であるが、この会社は昭和30年代あたりから全国民に国を代表する電器産業企業として認識されていた。
テレビCMの“明るいナショナル”というイメージソングは右肩上がりの成長期に入った日本人の精神風景にぴったりと重なり、明るい未来を垣間見させてくれた。
その当時の松下電器産業(ナショナル)は、新自由主義が最も似合わない、日本的共同体の精神を持った会社だった。
その会社が、今、従業員2500人を抱える三大工場を外国資本に売り飛ばそうとしている。
これは、隔世の感とかいう情緒モードに浸るのではなく新自由主義に侵襲された日本の象徴として危機感を持って受け止める必要があるだろう。
予定通り、この売却が遂行された場合、地元従業員の2500人は外資の経営感覚で働かせられることになり、労働者のセーフティネットが取り払われて、成果主義や残業代見直しなどによる賃金体系の変更、雇用持続性の崩壊など、労働者の生活不安定化に向かっていく可能性がある。
つまり、外資に譲渡された事業体は、ブラック企業化する可能性が非常に高いのである。
富山県のこの出来事は、かつての日本型企業精神が残存していた松下電器が、アメリカ型企業に変容したことを意味していて、やがてこれが、産業競争力強化法や国家戦略特区の全国的展開によって、日本企業のコーポレートガバナンスがアングロサクソン・ガバナンスや他の欧米の企業風土に塗り替えられるきっかけになるような気がしている。
日本人が日本企業を強め盛り立てて行くことは将来的にも地域的にも理に適っているが、外国資本のために働いても見返りは何もない。
それどころか、やがて目にするものは、荒涼とした労働風景、社会風景なのである。
パナソニックの3大半導体工場が外資に売却されることについては、今年の夏に日本郵政が日本生命を振り切ってアフラックと衝撃の提携を結んだことと強く重なってくる。
日本郵政が、なぜ日本生命ではなくてアフラックと提携したのかという素朴な疑問と同様に、パナソニックの工場も売却先がなぜ日本企業ではないのかという基本的な疑念が浮かぶのだ。
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