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国立大教員の「年俸制」導入でどうなるのか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37753
2013年12月15日(日)ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
文科省が国立大学の改革プランを発表したが、その中で、教員の給与システムに「年俸制」を導入することが謳われて話題になっている。下村博文文科相が目指すのは国際競争力のある大学像であり、そのために教員たちのぬるま湯体質を是正したいのだろう。
これまで国立大の偉い先生方は、民間企業に対して「国際競争力をつけるには、従来の年功序列賃金ではなく実力主義の年俸制を導入すべき」と言ってきた。そして、そのためには業績評価が重要だ、と。多くの企業は、やむを得ずその流れに従ってきた。ところが、それがブーメランとなって、国立大の教員にまではね返ってきたのだ。
大学は、官僚にとっての「最後のパラダイス」と言われている。かつては国家公務員になると天下りが保証され、優雅な老後が待っていたが、最近では徐々に厳しくなってきた。それでも、いまだに大学に天下りをするのは楽勝といわれる。というのは、大学の教員は狭い世界にいて世間知らずなので、もともと学生時代に勉強のできた官僚であれば、退職後でも大学教員なら簡単にこなせるというわけだ。
大学は典型的な年功序列社会だ。いったん入ったら、ろくに業績がなくても、上の教授に睨まれなければ、歳をとるだけ偉くなれる。ある年齢になると、もう研究論文を書かない人も多い。講義も毎年同じで工夫のない人もいる。その一方、滅多なことでは降格もない。国際社会でも活躍できる大学の教員は、日本全国で5%もいないと言われている。大学は日本の中で最も国際競争力の欠如した「業界」といわれる所以だ。
ただし、こうした大学のぬるま湯体質に、下村文科相が下した方針は、これまた生ぬるい。今後2年間で年俸制にする教員は1万人だという。現在、年俸制の教員は3500人いて、国立大学の全常勤教員5万人の6%強。1万人にするためにはあと6500人、これは全教員のわずか13%である。これから誰が対象になるのかは、学長ら執行部の判断次第だ。これまで、大学教員は管理もされず、自由奔放に振る舞っていたが、いよいよ年貢の納め時だ。自由に振る舞って、立派な研究をしていればそれも許されるだろうが、そうした人物はごく一握りで、大多数の人は疑問が残る。かつて、日本の一流国立大学を民営化したらどうかと極秘に研究されたが、教員の多くは「不良人材」なので難しいという結果になったという都市伝説もある。
下村改革では、全教員13%の「リストラ候補」のうち4分の1が本当のリストラになり、これは全教員の3%。この人たちにとっては死活問題であるが、予想されている「不良人材」はもっと多いらしい。残り4分の3は年俸制に移行し、実質的には給与減になる。国立大学の教員の平均年収は830万円で、年俸制になるとこれが2割カットされるという。それでも、生活には困らないだろう。
やはり国立大学は官営なので、親方日の丸だ。国立大学の教員の平均年収は830万円だが、トップの東大から地方の駅弁大学まで上下プラスマイナス100万円に全国のほとんどの国立大学が収まる平等主義だ。そこでわずか3%しか影響しないのだから、これまでの20年ほど、民間企業が経験してきたリストラに比べれば甘々である。
とは言え、口ではいつも偉そうなことを言い、一方的に学生を評価する立場の大学教員が、自ら実力を評価されるというのは、ちょっぴり気持ちがいい。
『週刊現代』2013年12月21日号より
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