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金融主導型に代わる経済成長モデルを追求するオルレアン氏=東京都内(田村秀男撮影)
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131213/ecn1312130728000-n1.htm
2013.12.13 「お金」は知っている
経済学といえば、英米流新自由主義が世界の圧倒的主流だ。政府の規制は邪魔で自由にすれば、経済はダイナミックに成長するという。モノ・サービスについては、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のように、関税や制度の障壁を除去する考え方が世界の主要国で受け入れられている。
対照的に金融の方は自由化が行き過ぎたために、米国の住宅ローン証券化商品などを膨張させ、バブルを引き起こし、2008年9月にはリーマン・ショックという市場未曾有のバブル崩壊につながった。
しかし、規制はほどほどにして、巨大化した金融資産の市場を元通りにする政策が主流になっている。代表的なのが、「量的緩和」政策で、中央銀行がおカネを刷って、金融資産を買い上げ、国債相場を安定させ、株価を引き上げる。国債金利、つまり長期金利を引き下げ、さらに株価の上昇に気を良くした消費者が消費を増やせば、実物投資も増えるので、景気がよくなるという算段だ。量的緩和政策はいわば、金融主導型経済モデルを温存するわけである。
これに対して、金融規制強化を唱え、金融主導型に代わる経済成長モデルを追求する経済学派がフランスにある。その学派を代表するフランス政治経済学会のアンドレ・オルレアン会長(近著『価値の帝国』=藤原書店)が最近、来日したので、都内で意見交換とあいなった。
――日米欧の量的緩和政策をどう評価するか
「リーマン・ショック後の衝撃を和らげたという点では評価できるが、経済成長を促すかどうか疑問がある。量的緩和が対象とする金融市場は巨大化し過ぎて、経済成長の障害になっている。量的緩和で増発されるマネーは金融市場の内部にとどまり、投機に向かう力を増幅させ、新たな金融危機を起こし、実体経済にとっては逆効果になりかねない」
――量的緩和によって、カネが株式市場に流れ、米国や日本では株価が上昇している。株価上昇によって、米国では設備投資や個人消費が押し上げられているように見える。日本では日銀の「異次元緩和」で株価が上がっているが、私は日本では株価上昇による景気押し上げ効果は米国ほど大きくはないとみる
「株高によって消費が増えるという資産効果は大きくないと、私は思う。株価上昇で低コストの資金調達が容易になるはずだが、多くの経営者の関心は企業規模の拡大よりも自社の株価に向けられ、リスク(損失の危険)がある分野には投資しなくなっている」
――金融主導に代わる経済モデルをどう考えるか
「国によってやり方は異なるが、フランスの場合、国内投資を重視、中小企業への投資を増やすべきだ。産業発展に特化した民間銀行も必要だ」
氏のおカネ、すなわち貨幣論は現実的で、米英の机上理論の解釈に明け暮れる日本の経済学者にはない知的刺激を強く受けた。(産経新聞特別記者・田村秀男)
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