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米国経済への不安
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52534580.html
2013年12月12日 在野のアナリスト
自公の税制大綱がまとまりました。法人に優しく、個人に厳しく、といった形が鮮明であり、加えて社会補償費の負担増という問題も、個人には重くのしかかります。それで政府がすすめているのは、国土強靭化に伴う公共工事、というのですからさらに罪が重い。しかも、消費税増税で支持率が落ちなかったことから、各省庁は予算の分捕り合戦をはじめており、その財源には増税が必要、との思惑が政治家、官僚に蔓延しているのですから、最悪の展開に陥っています。
約5.5兆円の補正予算も発表されていますが、これにより当初予算と合わせ、98兆円超の歳出になり、過去4番目の大きさです。安倍首相は来年は税収が増える、としますが、アジア開発銀行も日本の成長率を1.7%に下方修正しており、どうも期待とおりの税収増とはならない空気も出ています。そこにきて、米国からちょっと気になる情報が、いくつか出てきました。
まず昨日、米財政協議がまとまりました。茶会系が反発しており、もう少し紆余曲折ありそうですが、問題はここで歳出の強制削減で合意された点です。米国も財政健全化にふみだしており、これが米国の景気回復を阻害する可能性があります。さらにボルカー・ルールの成立です。これは2015年7月から実施、とかなり先の話ですし、骨抜きとはいかないまでも金融機関が怯えるほどの内容は含まれない、とされます。しかし金融機関の高額報酬は制限されますし、自己勘定取引は大きく規制されます。抜け道をさぐって、取引できるとされますが、そんなことをすればJPモルガンなどのように、難癖つけられて、後で大きな賠償額を奪われるのがオチです。つまり800ページに及ぶボルカー・ルールをすべて読み込んでさえ、金融機関には自己規制がかかってしまいます。
一部の金融機関では、すでに対応済みとしていますし、海外の債券や株は規制の対象外ともされますので、影響は軽微という味方が専らです。しかしマインド面は確実に悪化します。そして、来週開かれるFOMCで、テーパリング(金融緩和の縮小)開始が決まるのでは、との思惑が広がっています。ここにきて、FRB理事がテーパリング容認姿勢を語ることが増えているので、二度も市場に誤ったメッセージをだすこともないでしょうから、今回はやる、との見立てが増えています。
さらに、副議長にイスラエル中銀のフィッシャー元総裁を打診、と伝わったことが、ここにきての市場への悪影響を与えています。フォワード・ガイダンス(FG)と呼ばれる、比較的長期にわたって金融政策に言及することで、テーパリング開始後にも、市場に安心感を与えるとみられていましたが、フィッシャー氏はFGに否定的なのです。つまり市場に不透明感が広がってきているのです。
しかし、考えてみれば中央銀行の意図を、そう易々と知ることができるなら、これほど楽なことはありません。むしろFGなど、市場の堕落とも呼べる期待であり、本来は一言一句を精査して、次の政策の予想をたてる、というのが金融機関の役割だったはずです。それが正しいかどうか、でアナリストの能力が評価されるのであり、FGを行えばそれが横並びになる、というだけのことです。
米国にも来年、不透明感がただようかもしれません。それはオバマ政権のレイムダック化と、FRBの不透明感という財政、金融への不安からくるのでしょう。日本には増税の波が、アジア、新興国には一時期のバブルの影響が襲います。堅調な欧州株からは、機関投資家が手を引き、今年は例年の倍近い大きな売りをいれた、という話も伝わります。来年、諸々のことが危険のサインを示します。相場格言なら、辰巳天井ともいわれます。今年の状況をみて、浮かれている今の与党に、来年の不安なんてないのかもしれません。しかし支持率という潮目の変化は、経済面での失政がつづくと大きくなるのは、世界全体で同じです。来年は、倍返しの逆転がおきないよう、今は祈るばかりなのでしょうね。
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