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http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131212/frn1312121230004-n1.htm
2013.12.12
年内妥結を断念した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐり、最終交渉の土壇場で参加の意向を示した韓国に対して“失笑”が漏れている。TPP交渉で先行する日本への警戒感を参加理由にあげるが、中国にすり寄りすぎたため、「地域間貿易の枠組みから取り残される」(関係者)ことへの焦燥感も見え隠れする。2国間の自由貿易協定(FTA)を重視してきた韓国の豹変(ひょうへん)は、中国と日米との間で揺れる朴槿恵(パク・クネ)政権の迷走を図らずも露呈する形となった。
■消極姿勢も「結局は参加するんでしょ」
「韓国は『TPPは実益がない』と言い続けてきたが、いずれ参加すると思っていた。本当にあの国らしい…」。関西の商社関係者は皮肉たっぷりにこう指摘する。
韓国は、これまで米国や欧州連合(EU)など2国間のFTAを重視。TPPに関しては、その実効性を疑問視し、参加には消極的だった。
それが突然、TPP交渉への参加を事実上表明したのは、このままでは7月に交渉入りした日本のアジア太平洋地域における影響力が強まることを懸念したためといわれる。家電や自動車など輸出産業で成り立っている韓国。日本がTPPによって輸出市場で攻勢に出れば、同国の産業界は大打撃を受けるため、自らもTPPに参加するというわけだ。
■参加7カ国とFTA締結済み
しかし、それだけが参加理由ではない。TPPの域内人口は約7億8千万人で、貿易規模は約9兆5千億ドルに達するが、そもそも韓国は交渉参加12カ国のうち、すでに米国など7カ国とFTAを結び、豪州など3カ国とも交渉を進めている。
つまり、韓国にとってTPP交渉は事実上の日韓FTA交渉であり、交渉次第では日本製の電子部品や自動車部品などの輸入が増えて対日貿易赤字が膨らむことにもなる。
それでもTPP交渉への参加を決めたのは、日本にアジア・太平洋地域の貿易の主導権を握られたくないという思いととともに「最大貿易国である中国との関係を最重要としつつも、このままでは経済も外交も防衛も、いずれ立ち行かなくなるのを分かっているのだろう」と韓国国事情に詳しい専門家は推測する。
■小中華の限界 中国との軋轢
朴政権の発足以来、韓国は「小中華」と揶揄(やゆ)されるほど中国に擦り寄っているが、両国関係がこのまま良好に進むと考える人は皆無だろう。中国が突如設定した防空識別圏問題では、すでに両国間で軋轢(あつれき)が生じており、韓国側も防空識別圏の拡大を発表している。
中国につくのか。それとも日米との関係を重視するのか。突然のTPP交渉への参加表明は、そんな揺れに揺れている韓国の右往左往ぶりを如実に表している。
ただ、朴政権は日本たたきだけで辛うじて求心力を維持しているだけに、今回の参加理由も「日本に後れを取るな」という相変わらずの日本への“敵意”を前面に出すことで韓国国民の理解を得ようとしているのかもしれない。
■国内調整は難航 「参加撤回」の可能性も
韓国の交渉参加は、参加各国との調整や米議会の手続きが90日必要なこともあり、来年春ごろになるとみられている。シンガポールで行われたTPPの閣僚会合は、関税撤廃や知的財産分野で各国の隔たりが大きく、年内妥結を断念し、来年1月に閣僚会合を行い、再協議するが、それでも韓国がルール作りに関与する余地は少ない。
何よりTPPに参加すれば、韓国の自動車業界などが大きな影響を受けるのは必至で、TPP反対派も多い。政治、経済、外交で迷走を続ける韓国だけに国内調整が難航すれば「参加は撤回」となっても、だれも驚かないだろう。
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