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三井物産グループ厚生年金基金の事務所の家宅捜索に向かう警視庁の捜査員
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131212/ecn1312120720001-n1.htm
2013.12.12 経済快説
大手商社「三井物産」のグループ会社などの企業年金を運用する厚生年金基金の元常務理事が、東京のドイツ証券から年金の積立金の運用先として10億円分の金融商品を購入する見返りに、営業担当の社員から高額の接待を受けていたとして、警視庁は元常務理事を収賄、証券会社の営業担当を贈賄の容疑で逮捕した。
元常務理事はドイツ証券の営業担当者から、数十万円に及ぶ飲食の接待を受けていた。だが、証券会社が顧客を接待するのは、「よくあること」。特に、外資系の証券会社は「費用に対して効果あり」と思うと、接待費を惜しまない(筆者は「した」ことも「された」こともある)。これで贈収賄とは穏やかでない。一体どうなっているのか。
実は、「厚生年金基金」の職員は「みなし公務員」なので、彼らに便宜を供与して物事を頼むと「贈賄」(受け取る側は「収賄」)が成立するのだ。
厚生年金基金は企業年金を運営する仕組みの一つ。民間サラリーマンは、原則として国の厚生年金に加入するが、企業が厚生年金に上乗せする独自の企業年金を持とうとする時、厚生年金基金という独立組織を作る方法がある。企業独自の年金の積立金と、国の厚生年金の積立金の一部を合わせて運用する(これを「代行」と呼ぶ)。国の資産を運用するので公的な性格を帯びており、職員はみなし公務員となる。
ちなみに今回問題になった三井物産グループ厚生年金基金は、グループ企業等が作る「連合型」で、先般タイで事務長が捕まった長野県建設業厚生年金基金は地域・業界などの単位で設立する「総合型」だ。
厚生年金基金は一時、全国に1800以上あったが、現在はその3分の1以下に数が減った。将来の年金給付支払いのために予定している運用利回りの達成に苦しんでおり、計算上必要な積立金を保有していない基金も多数ある。そのうちの相当数は、国の厚生年金から代行している積立金にまで不足額が食い込んでいる(「代行割れ」と呼ぶ)。
実は、既に解散した厚生年金基金の多くは、体力のある大企業が設立した「単独型」で、設立母体企業に、損失を穴埋めする体力があった。しかし、現在残っている厚生年金基金の多くは、設立母体企業に損失を埋めて基金を解散する体力がなかったり、解散の合意形成に失敗していたりする基金だ。本来、彼らこそ早く解散すべきだった。
こうした「困っている客」は、金融機関にとって、新奇で手数料の高い運用サービスに引っ掛かりやすい有望な見込み客だ。しかも、厚生年金基金の場合、運用担当者が少数で素人の場合が多い。セールスマンが接待攻勢で落としたくなる気持ちは分からなくもないが、今回は、相手とやり方が何ともまずかった。(経済評論家・山崎元)
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