http://www.asyura2.com/13/hasan84/msg/384.html
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安倍首相(右)は、政府と経済界、労働界の代表が集まる政労使会議で、賃上げを要請している
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20131211/plt1312110720000-n1.htm
2013.12.11
★(2)
政治というのは、つくづく、国民の生活感覚とかけ離れた世界だと実感する。その1つが来年4月の消費税増税である。17年ぶりとはいえ、一気に3%も上がることが、国民生活にどれほどの影響があるのか、政治は本気で考えたのか。
アベノミクスの実施から約1年、日経平均株価の終値は先週、年初来最高値となり、6年ぶりの高水準となった。円安によって輸出産業の業績は回復基調にあり、特に裾野の広い自動車業界の景気改善は、日本経済全体を牽引する意味でも、いいことだ。
しかし、株価の上昇や円安の恩恵というのは、どれほど広く国民に「日本経済の回復」として実感されているだろうか。国民は自分の収入が増えることを抜きに、その豊かさを実感することはないはずである。
厚労省が行った、従業員5人以上の事業所の「毎月勤労統計調査」によると、10月のサラリーマン1人当たりの現金給付総額は26万7167円で、前年同月比0・1%増だった。だが、この数値に喜んではいられない。9月の同調査では、速報値は0・1%増だったが、確報では0・2%減だったのだ。
実際、サラリーマンの給与ベースは、これから労使交渉で決定して、どんなに早くても来年4月である。それも、大企業で0・1%アップを要求する程度であり、消費税増税3%分がそのまま給与の増額に反映されるなど「夢のまた夢」だ。
その分を5・5兆円の経済対策で穴埋めしようと、先週、「好循環実現のための経済対策」が閣議決定され、実行のための今年度の補正予算案が明後日にも閣議決定される。経済対策に反対ではないが、低所得者や児童手当受給世帯などに一度だけ1万円を給付するのが、どれだけの効果があるのか。これで「対策を取った」と満足されては困る。
本来、消費税増税は、膨らむ一方の社会保障制度の財源として必要であるという理由であった。治療や検査の乱発や終末期医療のあり方など、根本的問題を解決する努力はせずに、国民に負担を強いるのは、立法府としての責任を放棄している。
さらに、批判されるべきは、増税の前提として政治が「自ら身を切る」と言っていた国会議員の定数削減も、衆院では次回選挙から5議席減らすだけである。これも1票の格差是正のためで、「自ら身を切る」ためではないのである。
民間の調査会社の試算によれば、消費税増税で、来年4−6月期のGDPはマイナス5%近くになるという。国会議員がこのような態度で、来年4月の消費税増税を迎えたらどうなるか、真剣に考えてもらいたい。
■細川珠生(ほそかわ・たまお) 政治ジャーナリスト。1968年、東京都生まれ。聖心女子大学卒業後、米ペパーダイン大学政治学部に留学。帰国後、国政や地方行政などを取材。政治評論家の細川隆一郎氏は父、細川隆元氏は大叔父。熊本藩主・細川忠興の末裔。著書に「自治体の挑戦」(学陽書房)、「政治家になるには」(ぺりかん社)
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