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岐路に立つ100円ショップ業界、競争激化する各社の苦悩と戦略〜ニーズ多様化を捉える
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131208-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 12月8日(日)15時11分配信
11月20日付日本経済新聞の記事『100円ショップ出店攻勢』によると、100円ショップチェーン大手各社は、来年4月の消費税8%への増税を見越して出店ペースを加速させる計画だという。
だが大手4社の国内合計店舗数は2012年度末時点ですでに5000店を突破しており、「決して各社“出店攻勢”という状態ではない」(100円ショップ業界関係者)という声も聞かれる。そこで今回、同業界の実態と各社の戦略について取材を進めると、厳しく、そして複雑な業界事情が透けて見えてきた。
まず、業界トップの大創産業が展開している「ダイソー」の店舗数は、国内だけで約2750店となっており、今年度中には140店舗程度を出店する予定だという。また海外進出もしており、アジア各国やアメリカなど25カ国で約700店舗を展開している。ただ、同社のウェブサイトには「出店ペースは2、3年前より落とすように心がけているのですが、大型SM(ショッピングモール)やショッピングセンター、デベロッパーのみなさんからの出店要請が相次ぎ、なかなか思い通りにいかないのが現状です」と記されており、決して好んで出店攻勢に転じているわけではないようだ。
次いで業界2位の「セリア」は約1150店舗。今年度は90店舗の出店を計画しており、12月1日時点で、そのうち47店舗を出店している。しかし、セリアによると「日経新聞では『前年度に比べ出店を3割増やし、出店攻勢に転じている』と報じられました。これは間違いではないのですが、実は2011年の東日本大震災の影響で一昨年と昨年の出店数が減っていたため、今期でようやく正常のペースに戻せただけなのです」ということらしい。
業界3位の「キャンドゥ」は約850店舗を展開しており、今年度は100店舗の出店を目標として掲げている。ただ、キャンドゥによると「まず今年度からの3年で、店舗数1000店を達成したいという目標があり、そこから逆算したのが今年度の目標である100店舗。というのも、直営店の7〜8割はテナント出店で、テナントの入れ替えや館内リニューアルがあると退店しなくてはいけなくなるんです。そこで仮に年間50店舗が退店することになったとしても、100店舗出店していれば純増数は50店舗になります。そうすれば3年で150店舗増やせる見込みというわけです」と話しており、必ずしも単純に今年度100店舗増加するというわけではないようである。
ちなみに業界4位のワッツが展開している「シルク」や「ミーツ」は合計の店舗数が約900店ほどで、13年8月期決算(12年9月〜13年8月)によると、直営で56店舗純増しており、“出店攻勢”とはいわないまでも、ここ数年は着実に店舗数を増やしているようだ。
以上見てきたように、業界上位4社の動向を調べたところ、決して出店数が急増しているわけではない様子がうかがえる。また、消費税増税によって節約志向が高まり、100円ショップの需要が増すとの声もあるが「10万円を超える高額商品なら増税後の買い控えも起こるでしょうが、100円ショップのような低価格帯の商品の需要が増すということにはつながらないのでは」(業界関係者)と、消費税増税による特需はないとの見方もある。
●多様化する消費者ニーズを捉える
業界全体の店舗数は増え続け、今や当たり前の存在となった100円ショップ。けれど、だからこそ消費者の目はごまかせなくなっているのだろう。「100円であればなんでも売れた」という時代もあったが、今は消費者の需要が多様化しており、その変化を細かく捉えられないと生き残れないのではないだろうか。
例えば「セリア」ではPOSシステムのメリットを生かし、自分でアレンジできる小物入れといった、従来はあまり取り揃えていなかったインテリア用品が売れていることなどに着目。消費者のニーズに合わせて随時品ぞろえを調整し、新しいカテゴリーに挑戦して需要があるかどうかを計測しているそうだ。
また、「キャンドゥ」ではプライベートブランドの「Do! STARS」を展開し、商品の質の向上に力を入れているとのこと。ほんの一例だがフォトフレームのカバーをプラスチック製ではなくガラス製にしたり、洗濯ネットを二重にして強度を上げたりと、細かい配慮が施された高品質の商品展開に注力しているという。
“出店攻勢”といえるほど急激にではないが、店舗数を着実に増やしている各社。不動の業界最大手であるダイソーに肉薄すべく、業界2位以下の企業も切磋琢磨しているという構図が浮かび上がってきた。また、「安かろう悪かろう」のイメージがあった100円ショップも、商品の質を改善し、おしゃれな雑貨屋のように変貌しつつある様子。消費者のニーズをうまくつかむことができれば、まだまだ伸びしろのある業界なのかもしれない。
千葉雄樹/A4studio
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